民泊の廃業・継続を判断するポイントは?廃業する際の手順も

民泊事業は賃貸経営のように一定の賃料が得られない反面、人の移動が激しい観光地やビジネス街であれば高収益が見込める宿泊事業です。

しかし、2020年2月に問題が顕在化した新型コロナウイルスの終息が不透明な状況で、民泊の廃業・継続をどのように判断すればよいか、悩んでいる投資家の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、民泊の廃業・継続を判断するポイントと、廃業する際の手順について解説していきます。

1.累積赤字の予測と余裕資金

民泊事業では、一定の固定費がかかるため、稼働できなくてもその分の支出が赤字として累積していくことになります。また、撤退した場合にも一時的に費用がかかります。

民泊の廃業・継続を判断するには、これらのコストと手元の余裕資金とを比較して、許容レベルを計るのが一つのポイントになるでしょう。早めの判断をしたい場合、再参入費用との比較もポイントになります。

1-1.累積赤字の予測から許容限度を計る

まず、1月ごとなどの期間を区切り、このまま民泊の稼働を続けた場合に累積していく赤字を見積もります。家賃などの固定費から、現状の稼働状況から推測される宿泊料収益を控除することで赤字を推計できます。

これに、家具などの処分費、部屋の原状回復費などの撤退コストを加え、廃業までにかかる費用の総額を算出します。

そして、民泊投資に回すことのできる余裕資金と比較して、現時点からいつまで営業できるかを見積もります。余裕資金が底をつきる時点が、民泊の廃業時点の一つの判断ポイントといえるでしょう。

1-2.コロナ終息まで資金が続くか推計する

余裕資金があるとしても、資金を失う前に早めに廃業・継続の判断をしたいという場合もあります。そのような場合、コロナ終息までの累積赤字を見積もって、余裕資金が続くかどうかを判断基準にするという方法が検討できます。

2020年12月現在、感染第3波が拡大しており、ワクチン開発は、まだ臨床試験が開始されたばかりの段階であるため、ここでは終息まであと1年程度はかかると予想してみましょう。

1年間の累積赤字を予測し、余裕資金と比較して資金が途中で尽きるようだったら、早い段階で廃業して、残りの資金を他の投資に充てることも検討した方がよいといえます。

最悪の事態も考え、宿泊料収益が全くなくなった場合、コロナ終息まで余裕資金が底をつかないかどうかも推計してみましょう。

1-3.再参入費用と累積赤字を比較する

「資金を失いたくはないが、今後の民泊事業に可能性を感じている」というような場合、再参入費用と比較して判断する方法もあります。上述で推計した、コロナ終息までの累積赤字と再参入費用とを比較して、再参入費用の方が少なければ撤退を選択するという方法です。

ただし、現状の民泊物件と同条件の物件が、コロナ終息後に市場に出回っているとは限らず、出回っていたとしても参入費用が高くなっている可能性もあります。また、コロナ終息後もインバウンド需要がコロナ以前のように回復する保証もありません。

どの方法を基準にするにしても、民泊の廃業・継続の判断は、民泊投資をおこなう投資家それぞれの経営判断であり、各人が許容できるリスクと民泊に期待するリターンによるといえるでしょう。

2.廃業の手順

民泊を廃業することを決めた場合、どのような手順でおこなうことになるのでしょうか。民泊の廃業手続きの手順と、借入の減免を受ける場合の廃業手続きに分けて説明します。

2-1.民泊の廃業手続き

民泊事業の廃業は、次のような手順でおこないます。

  • 取引業者への対応
  • 賃貸物件の明渡し・所有物件の転用・売却
  • 廃業届の提出
  • 法人の清算

以下で、それぞれについて説明します。

取引業者への対応

民泊事業で取引をしていた各業者に対し、廃業の連絡と必要な解約手続きをおこないます。宿泊予約の仲介サイト業者をはじめ、清掃業者やリース業者などとの取引を解約します。

賃貸物件の明渡し・所有物件の転用・売却

民泊事業を賃貸物件でおこなっていた場合、明渡し作業があります。明渡しの際、多くの場合、賃貸借契約に基づき原状回復工事が必要です。

一方、民泊物件を自己所有していた場合、他の運営方法や用途に転用するか、物件の売却をするかを選択することになります。

【関連記事】民泊運営とあわせて検討したい不動産投資手段は?5つの方法を解説

廃業届の提出

住宅宿泊事業法による民泊をおこなっていた場合、開業を届け出た都道府県知事に事業廃止の届出が必要になります。

旅館業法による簡易宿所をおこなっていた場合も、同様に、許可を受けた都道府県の担当部署に営業の停止・廃止届を出す必要があります。

法人の清算

民泊事業を法人でおこなっていた場合、廃業とは別に、法人を清算する手続きが必要になることがあります。

法人の清算は、株主総会等で清算人を選任し、解散時の残余財産を株主へ分配することによっておこないます。最終的には、法務局に登記し、税務官庁にも届け出が必要になります。

2-2.借入の減免が必要である場合

借入の減免等をおこなう場合、裁判所を利用した法定手続きが必要になります。法人の場合と個人の場合とで手続きが異なります。それぞれ詳しく見て行きましょう。

※以下の内容は2020年12月時点、裁判所「倒産手続」を参照し記述しています。

法人の場合

民泊事業を法人でおこなっており、借入の減免等を受けたい場合、破産手続、民事再生、特別清算、の手続きが考えられます。

破産手続は、裁判所が破産管財人を選任して、債務者の財産を債権者に配当する過程で、借入の返済が免責されるものです。民事再生は、裁判所を通して債務者が債権者に対し再建計画を提示することで、借入の減免を図るものです。

特別清算は、裁判所の監督下におこなわれますが、清算人は会社が選任し、財産の処分をある程度柔軟におこなって会社を清算することができます。債権者の同意が得られれば、借入の減免等を受けることも可能になります。

個人の場合

民泊事業を個人でおこなっており、借入の減免等を受けたい場合、個人破産、個人再生、の手続きが考えられます。個人破産も、法人の破産手続と同様です。裁判所が選任した破産管財人の主導の下に債権者への配当がおこなわれます。

借入の返済の免責もその過程でおこなわれます。個人再生は、通常の民事再生を簡素化したものです。裁判所を通して債務者が債権者に対し再生計画を提示することで、債務の減免を受けることができます。

まとめ

民泊の廃業・継続を判断するポイントの一つは、累積赤字が余裕資金の許容限度を超えた段階といえるでしょう。余裕資金の限度を超えると、民泊投資が生計を圧迫したり、あるいは、借入をしたりしなければならなくなります。

また、早めの判断を下すのであれば、コロナ終息までの累積赤字を見積もり、それが再参入費用を超えるのであればいったん廃業して、タイミングを見計らって再参入するという方法もあります。

いずれにしても、投資家自らが、民泊事業で背負うことのできるリスクと期待するリターンとの兼ね合いで判断してみましょう。

廃業の手順では、各取引業者への対応と、行政機関への廃業の届出が必要になります。借入があってその減免を受けたい場合は、破産手続や民事再生などの裁判所手続きを検討しましょう。

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