収益向上のため、または厳しいコロナ市況を乗り切るため、民泊運営をおこなっている投資家の方は、民泊運営とあわせて運営、運用できる投資手段を模索していることと思います。
本記事では、民泊運営とあわせて検討できる投資手段、宿泊運営について、5つの方法を解説していきます。
1.民泊稼働率の制限とコロナショック
住宅宿泊事業法による民泊は年間180日の営業日制限を受け、旅館業法の民泊と比較して稼働率は50%を下回るのが原則になります。
地方自治体によっては、上乗せ条例によってさらに営業期間の制限を設けているところもあります。民泊投資の収益を上げたい場合、民泊投資と並行して他の投資手段を取り入れることも方法の一つです。
また、2020年の民泊宿泊実績は、コロナショックの影響で直近の6月~7月期でも前年同時期の4分の1程度と、厳しい状況が続いています。(観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について」を参照)
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、宿泊業全体でも2020年8月の宿泊実績は前年同月の約半分の宿泊実績であり、現況は宿泊需要が極端に冷え込んだ状態です。このような状況の対策として、並行して運用できる手段や一時的に他の投資手段に乗り換えることも検討してみましょう。
2.民泊とあわせて運用を検討したい投資手段
前述したように、コロナショックの影響が大きい状況では、民泊経営とあわせて他の運用を検討しておき、準備しておくことが重要です。主な投資手段には、次のようなものがあります。
- マンスリーマンション
- コロナニーズ(自主隔離・一時帰国)滞在
- テレワーク滞在
- 賃貸マンション経営
- 不動産投資型クラウドファンディング
住宅宿泊事業法の180日制限以外の期間の運用手段としては、マンスリーマンションがあります。
民泊の宿泊業運営の範囲内で、通常の宿泊ニーズとあわせて取り込みたいニーズとして、コロナニーズ滞在、テレワーク滞在、賃貸マンション経営、売却を視野に入れるのであれば不動産投資型クラウドファンディングが挙げられます。
以下で、それぞれの内容を説明していきます。
2-1.マンスリーマンション
マンスリーマンションは、1カ月以上から利用できる家具、家電付の短期賃貸マンションで、マンションに限らず戸建てでも可能です。入居者審査は、通常の賃貸借契約のような保証会社の審査などは設けず、多くのケースにおいて簡単な審査で入居を受け付ける形式になります。
入居者にとっては、契約のハードルが低く、手間もかからず、すぐに生活を始めることができることから、仮住まいや出張、日雇い派遣、受験などのニーズがあります。
民泊用に揃えた家具、家電をそのまま利用することができ、民泊運営から一時的に切り替えて行うには効率がよいといえるでしょう。
2-2.コロナニーズ(一時帰国・自主隔離)滞在
コロナ禍を逆手に取った滞在ニーズを取り込む民泊運営手段もあります。たとえば、政府の新型コロナウイルスの水際対策により、海外からの帰国者には14日間の待機要請がなされています。
既存の民泊に、このような、一時帰国者の自主隔離滞在や、持病を抱えている人の自主隔離滞在のニーズを取り込んで、運営するという手段が考えられます。
通常の民泊施設運営の延長線上で、コロナウイルス対策として、清掃消毒、換気を徹底するなどの対策、PCR検査では陰性であるものの自主隔離する宿泊客の受け入れなど、民泊ならではの柔軟な対応で、一定の需要を見込める可能性があります。
2-3.テレワーク滞在・ワーケーション滞在
コロナ禍により、テレワークを導入する企業が増えています。テレワーク滞在ニーズを通常の民泊とあわせて取り込む手段もあります。
民泊用の家具、家電を備えた部屋に、ワーキングデスク・チェア、Wi-fi環境がなければ新たに設置・整備して対応します。スペースに余裕があれば、ワーキングスペースをある程度区切った方がいいでしょう。
集客は、既に利用登録をしているairbnbなどのサイトでテレワーク対応であることをアピールするほか、旅館業法の許可物件であれば、宿泊サービスサイトのテレワーク特集ページに登録するという方法もあります。
ただし、テレワークニーズを取り込んだ投資を考える場合、宿泊を伴わない時間貸しプランについては、法規制に触れる可能性があるので注意が必要です。
2-4.賃貸マンション経営
民泊運営とあわせて投資手段を検討する場合、コロナ禍が収束するまで、一時的に普通賃貸マンションの運営に乗り換えるという方法も考えられます。
ただし、通常の普通賃貸では、貸主からの中途解約・更新拒絶も原則できないため、民泊運営を再開したいと思っても難しいことがあります。そこで、民泊運営とあわせておこなうには、定期借家による普通賃貸を検討してみましょう。
定期借家であれば、契約で定めた期間が満了すれば、入居者は契約に基づいて退去することになります。
近年は、家具家電付き賃貸物件のニーズも増えており、賃貸物件の大手ポータルサイトには、特集ページも設けられています。民泊運営に戻すことも考慮し、家具家電を残したまま普通賃貸投資をおこなうことも検討できるでしょう。
2-5.不動産投資型クラウドファンディング
最後に、民泊物件を活用する手段ではなく新たな投資手段として不動産投資型クラウドファンディングをご紹介します。
不動産投資型クラウドファンディングとは、自身で不動産を所有するのではなく、複数の出資者によって資金を集め、運営会社が実際の不動産運営を行う不動産投資の手法です。
1万円などの少額から投資することができることや、個人では取得しづらい億単位の物件や商業施設や物流不動産など様々な物件に投資できるメリットがあります。
コロナウイルスの影響が比較的少ない賃貸物件や物流不動産などの収益不動産への投資が出来るため、民泊物件を一時的に売却し、新たな投資先の選択肢として検討できます。
一方、金融機関の融資を受けられないためレバレッジをかけられないことや、不動産を取得しないために税制上のメリットが受けられない点はデメリットとなります。物件の売却を検討している場合は、このような不動産投資手段にも注目しておくと良いでしょう。
【関連記事】クラウドファンディングで民泊投資、物件運用との違いや判断のポイントは?
【関連記事】2020年、不動産クラウドファンディングの市況は?傾向をもとに解説
まとめ
民泊運営とあわせて検討したい投資手段には、並行運用する投資手段としてマンスリーマンションがあります。民泊業の範囲内で、通常の宿泊ニーズとあわせて取り込みたいニーズとして、コロナニーズ滞在、テレワーク滞在があります。
また、一時的に乗り換えを検討するなら、定期借家による賃貸マンション経営が考えられるでしょう。売却を視野に入れるのであれば、不動産投資型クラウドファンディングなど、少額資金で運用できる投資手段もあります。
民泊物件と一口に言っても実際の立地条件や運営状況、契約内容、将来的なリスクなど、運営の実情はそれぞれ大きく異なります。民泊物件の特性に応じて、適した投資手段を選びたいといえます。
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