楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY株式会社(以下、楽天LIFULL STAY)と、宿坊ポータルサイトおよび宿坊予約サイト「テラハク」を運営する株式会社和空(以下、和空)は7月18日、宿坊施設の宿泊販売および運用代行に関する業務提携に合意したことを発表した。
同提携は寺社振興と地方創生を目的として行われたもので、両社は共同で日本全国の宿坊施設の宿泊販売に取り組んでいく。
具体的に、和空は全国各地の寺社の宿坊施設の改修・整備を行い、同社が運営する宿坊予約サイト「テラハク」で宿坊の宿泊販売を行う。
一方、楽天LIFULL STAYは同社が運営する民泊・宿泊予約サイト「Vacation STAY」と国内外の提携宿泊予約サイトを通じて、宿坊施設の販売を行うとともに、和空のリクエストに応じてハウスマニュアルの作成や販売管理などの運用代行を行う。今後は、7月18日よりテラハクの一部宿坊施設の宿泊販売を「Vacation STAY」と提携先の宿泊予約サイトで開始し、8月1日より滋賀県大津市の「三井寺」の宿泊販売を開始、2018年下旬より民泊向け宿坊物件の運営代行を進めるとともに、多種多様な宿泊施設の拡大を図る。
なお、三井寺には楽天グループの楽天コミュニケーションズ株式会社が提供する民泊運営支援サービス「あんしんステイIoT」を導入する。導入により、タブレット端末で宿泊者のチェックイン時の本人確認や鍵の管理、宿泊者サポートを行うことができるため、宿泊施設運営者や宿泊者の負担軽減につながる。
和空が行う「テラハク」は、寺社への宿泊や体験を利用者に提供することで、地方創生に貢献することを目的としたサービスだ。例えば、テラハクのサービス開始にあたってテラハクに登録した日本天台三本山のひとつである「三井寺」では、寺社の文化財鑑賞、山伏体験、座禅体験、写経・写仏体験、ビーズブレスレット(腕輪念珠)作りなどの特別な体験ができる。
昨年6月、テラハクは日本国内向けのサービスとして公表していたが、今年3月にはAirbnbとの業務提携、5月には「Booking.com(ブッキング・ドットコム)」の日本法人ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社とのパートナーシップ契約を締結しており、国内ゲストに限らずインバウンド旅行客まで対象を広げている。
7月18日に東京白金の八芳園で行われた楽天LIFULL STAY、和空、ブッキングドットコムによる共同記者会見では、楽天LIFULL STAY代表取締役の太田宗克氏、和空代表取締役の田代忍氏、ブッキング・ドットコム・ジャパン西日本地区統括部長の高木浩子氏が登壇し、太田氏と田代氏は提携の内容について、高木氏はブッキング・ドットコムのデータに基づきインバウンドの民泊需要について話した。
その中で高木氏は、インバウンドの国別割合は北アジアが53%と多く、観光庁のデータと同様の傾向があり、また、アジア圏の伸びが落ち着き、欧州からの訪日が急増していると述べた。
また、和空の田代氏は、これまでのブッキング・ドットコムやAirbnb、今回の楽天LIFULL STAYとの提携により「テラハク」という言葉が世界に広がっており、OTAが扱っている旅館業法取得済みの寺社は約150という現状で、住宅宿泊事業法下で運営したいという宿坊が30あるというのは割合が高いと話した。また、インバウンド需要だけでなく、国内需要増にも期待しており、年内に100施設、3年後に1000施設の登録を目指すと意欲を見せた。
海外メディアでもブッキング・ドットコムと「テラハク」の提携に関しては多く報じられ、宿坊に宿泊できる点で注目を集めている。そして、今回、楽天LIFULL STAYと和空が提携したことで、宿坊宿泊の販売チャネルがさらに拡大し、利用者が大幅に増加することが見込まれる。今後、日本の寺社の認知とともに、宿泊者の心に残る特別な体験が広がることに期待が高まる。
【サービスサイト】テラハク
【関連ページ】寺に宿泊できる「テラハク」6月サービス開始に向け、Airbnbと業務提携
【関連ページ】「テラハク」運営の和空、ブッキング・ドットコムとパートナーシップ契約締結
【コーポレートサイト】株式会社和空
【コーポレートサイト】楽天LIFULL STAY株式会社
(Livhubニュース編集部)
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