東京都・銀座の中銀カプセルタワービルで、一室を1か月から借りることができる「マンスリーカプセル」の受付が10月22日から中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトにより開始された。
1972年に竣工した中銀カプセルタワービルは、建築家の黒川紀章氏が設計したメタボリズム建築の代表作であり、独立した複数のカプセルを組み合わせた形状が特徴だ。築30年が経過してから老朽化にともなう建て替えや大規模修繕の実施が検討されつつもその方針が定まらない問題を抱えるなか、その歴史的価値から保全を望む声があがっている建築物だ。
日本はもちろん、海外からの人気も高く、2015年9月まではAirbnbをとおし民泊として使用されるカプセルが複数あり、多くの外国人観光客が訪れた。当時Airbnbが発表する世界の人気宿泊先トップ40にアジアで唯一ランクインしたほか、建築、デザイン、アート関係者が多く宿泊し、常に満室の状態が続いていた。管理組合が民泊を禁止してからも、宿泊を希望する問い合わせは絶えない。
今回は、民泊ではなく賃貸借契約を結ぶことで1か月から借りることができる形態で運用される。居室のインテリアコーディネートは無印良品が手掛けた。これは、カプセルでせまくても快適さを追求する中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトと、無印良品の提唱する「Compact Life」の考えが合致し実現したものだ。マンスリーカプセルの賃料は、敷金・礼金なし、電気、水道料込みで12万円。備品としてデスクや椅子、シングルベッド、エアコン等を備えている。
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトは、中銀カプセルタワービルの保存を目的に2014年に設立された団体だ。設立以降、中銀カプセルタワービルの見学ツアー開催や、使用されていないカプセルをリノベーションして、それに投資をすることで保存活動に参加できる「カプセルファンド」を立ち上げている。その後、2018年8月には、東京都の重要な観光資源としてのカプセル保全を呼びかけるべく、小池百合子東京都知事宛にchange.orgを通じた署名活動を行っている。
歴史的建造物を民泊、マンスリーとして利用することで、建物の保全に役立てるとともに、宿泊者は歴史を身近に感じる貴重な体験ができる。一方で、建て替え問題で物議を醸している中銀カプセルタワーが今後どのような経過をたどるか注目だ。
【ウェブページ】中銀カプセルタワービル|マンスリーカプセル
【サービスページ】Compact Life | 無印良品
(Livhubニュース編集部)
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