国が「民泊」の規制緩和を検討していることから、京都市長が厚生労働省を訪れ、観光地のイメージを守るために営業場所や日数などを自治体が独自に規制できるよう要望したと、NHKが11月14日付けで報じた。
政府は民泊の普及に向けて規制緩和を推し進めており、営業日数の上限を年間180日以内とし、旅館業法では認められていない住居専用地域でも営業を認めるほか、現在の許可制に加えて届け出制も導入することなどを盛り込んだ「民泊新法」を2017年の通常国会で提出することを目指している。
京都市の門川大作市長は11月14日、厚生労働省を訪れ塩崎大臣に要望書を提出し、営業する場所や施設の管理方法や営業日数などについては全国一律ではなく、自治体が独自に規制できるようするほか、立ち入り調査など自治体の権限についても強化するよう求めた。
京都市は文化庁の京都移転に向け、文化や芸術を生かした地域活性化を目指している。現時点における民泊に対する姿勢としては、旅館業法は勿論、消防法や建築基準法等の関連法令を厳守し適正に運営されていることを前提に、周辺住民との調和がとれることが重要だとしている。
同市が募った民泊に関する市民の意見によると、「違法民泊については厳しく取り締まってほしい」、「住居専用地域での民泊設置に反対する」、「集合住宅内での民泊は禁止してほしい」との意見がある一方、「ホームステイ型の民泊については規制を緩和してほしい」との意見もあったという。
民泊新法制定後は、宿泊施設不足への対応や不動産の活用手段というより、むしろ京都における新しい宿泊観光コンテンツとして位置付ける方針であり、「民泊」が京都らしい良質な宿泊サービスとなるためには、市独自の「民泊」に係るルールの構築が必要であるとした。その上で、住宅を活用した宿泊サービスを「民泊」と位置づけ、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法と別の法制度として整備していきたい考えだ。
同市公認の京町家の一棟貸民泊物件に関しては、町家を活用した宿泊施設の推進として位置付け、周辺住民との調和もとれていることからフロントの設置義務を免除しているが、民泊新法を無条件に受け入れれば、同市の目指す民泊のスタイルから外れてしまうばかりか、イメージの悪化も懸念されるとする。あくまでも観光地としての利益よりも、前提としている「文化や芸術を生かした地域活性化」を推進していきたい方針だ。
厚生労働省は、今回の要望をふまえ、関係省庁と協議したうえで、来年の通常国会に必要な法案の提出を目指すという。
【参照ページ】民泊 京都市が自治体の独自規制を要望
【参照ページ】「民泊」に対する本市の考え方について
【参照ページ】【広報資料】「京都市宿泊施設拡充・誘致方針(仮称)」に関する市民意見募集結果の公表及び方針の策定について
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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