京都市「所在地不明な民泊」半数を上回る

京都市は5月9日、民泊仲介サイトに掲載されている施設を対象とした、「京都市民泊施設実態調査」の結果を公表した。

調査の対象となった民泊の施設数は2,702件であるが、その中で所在地を特定できた施設は1,260件であり、半数以上の施設が所在地を特定できなかった。これについて京都市は、運営者がどのように営業しているかという実態が不明であることから、具体的なトラブルが発生していなくとも不快感・不安感を抱くことにつながっているとしている。また、宿泊者への適正な管理ができていないとも推測されている。

所在地を特定できた施設においては、旅館業法上の許可施設数は189件(7%)、旅館業法上は無許可と推測される施設数は1,847件(68.4%)、所在地が特定できないものを含む用途違反の施設数は322件(11.9%)であり、違法民泊は合法民泊の約10倍も存在することが判明し、宿泊客と住民の安心・安全の観点から問題があるとした。

また、最低宿泊日数が1泊の施設は1,452件(53.7%)、国家戦略特区を活用した外国人滞在施設経営事業における最低宿泊日数である6泊以上の施設は44件(1.6%)であった。人気観光地の京都であっても、1件の施設に6泊以上も滞在する旅行者は少ないと推測される。

民泊代行事業者に対するヒアリングでは、多くの民泊運営者が、現在運営している施設で旅館業の許可を取得することは困難と考えており、手間やコストを問題視し許可を取得しようと思っていないという回答となっていた。

また、京都市内では、民泊施設の増加によりゲスト獲得のための競争が激化し、価格競争が始まっており、民泊運営者としては価格を下げると質の低い宿泊客が集まるという懸念もあることから、京町家での宿泊体験や、運営者によるおもてなし強化など、今後は価格以外のサービスに工夫を重ねる必要があると感じている民泊運営者も多いという声もあった。

京都市の民泊事情は混迷を極めているが、世界的にも人気の観光地のため、明確なルールの確立が最も急がれる都市といえるだろう。

京都市は、京都にふさわしい宿泊施設の増加策や、簡易宿所営業におけるルールをはじめとした民泊対策などを盛り込んだ京都の宿泊施設全体にかかる「宿泊施設拡充・誘致方針」の素案を作成し、パブリックコメントを行い、方針を策定していく見通しだ。

【参照リリース】京都市民泊施設実態調査について

(Livhubニュース編集部 平井 真理)

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