JNTO、台湾・香港・英国・豪州の4市場における訪日旅行への新型コロナの影響と旅行者ニーズを調査

日本政府観光局(JNTO)は、訪日旅行の主要21市場1地域からピックアップした台湾・香港・英国・豪州の4つの市場を対象に、2020年9月、訪日旅行市場における新型コロナ感染症の影響と需要回復局面の旅行者ニーズと志向に関するオンラインのアンケート調査を実施した。

調査対象は、過去3年間にレジャー性海外旅行を実施した者。なお、英国・豪州のロングホール市場では、過去5年間にロングホールのレジャー性海外旅行を実施した者が対象となる。

今回の調査の検討事項は5つ。「需要回復が早い市場はどんな市場か」「同様に需要回復をリードするセグメントとはどのような人々か」「何が需要回復の契機となるか」「ウィズコロナの旅行トレンドはどう変わるか」「これを踏まえJNTOのプロモーションはどんなことに留意する必要があるか」だ。

まず、「需要回復が早い市場はどんな市場か 」という検討事項において、「次の海外旅行について検討していますか」と質問した。結果、調査期間中の新型コロナ感染者数がもっとも少ない台湾が、約50%と4つの市場の中で一番少ない比率となり、海外旅行に慎重だった。もっとも高い数値となったのは英国で、約82%。これは夏季のEU圏内における旅行規制の緩和が影響している可能性が考えられる。

次に、「訪日旅行をする時期、または、次に訪日旅行をしたいと考えている時期は直近でいつ頃になると思いますか」との質問には、台湾・香港は5割以上が2021年中の訪日旅行を希望しているのに対し、英国・豪州では5割近くが2022年以降と回答した。

そして、コロナの危険性に関しては、台湾・香港の方が英国・豪州より厳しく認識しているが、訪日旅行再開の時期に関しては、近距離の台湾・香港の方が英国・豪州より「早い」と回答する比率が多かった。

また、「同様に需要回復をリードするセグメントとはどのような人々か」という検討事項では、年代別、収入別による相関はあまりみられなかった。しかし、訪日経験者の方が、早期に訪日したいという意向が出ている。「訪日旅行の頻度は以前と比較して変わると思いますか」との質問に対しては、台湾では半数以上が訪日頻度が下がると回答し、香港でも「今までより増える」よりも「今までより減る」の比率が上回った。一方、香港と豪州では「今までと変わらない」との回答者が半数以上いた。

回数別に見ると、台湾は訪日経験4回以上の人も「今までより減る」の比率が半数以上を占めた。香港でも訪日経験4回以上で「今までよりも減る」の比率が「今までよりも増える」を上回った。一方、英国・豪州の場合、1回と2回以上のどちらでみても「今までより増える」の比率が「今までより減る」を上回るか同率となっており、香港・台湾とは回答の傾向が異なった。

そして、「何が需要回復の契機となるか」という検討事項においては、4市場ともに「治療薬の発見」「治療法の向上」「ワクチン接種」などが契機内容で、入国時・帰国時の隔離措置の解除よりも上位という結果となった。

「ウィズコロナで海外旅行のトレンドは変わるか」という検討事項では、海外旅行における訴求コンテンツに大きな変化は見られない結果となった。ただ、「自然体験」という回答のアクティビティのみが、4市場ともに以前より「増える」と回答した比率が多くなった。これは人が密集しない可能性から考えられる結果といえる。

これをふまえ、訪日旅行に関するプロモーションは、今後、通常の観光情報に加え旅行の行程上で起こりうるさまざまな懸念に対応した情報がセットで求められる。例えば、感染症対策の状況や感染者数の統計情報などだ。一方で従来から提供されてきた観光地の混雑状況や入国時の待ち時間といった現地情報も必要とされている。

各市場で、政府の対応の違いや文化の違いにより、新型コロナウイルスに対する認識に差異はあるが、訪日旅行への頻度は以前よりも低下する恐れがある。そのため、今後の訪日旅行需要の回復には、感染の抑制とともにプロモーションの方法が重要となる。

【参照ページ】日本政府観光局(JNTO)

(Livhubニュース編集部)

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。