民泊物件の売却、仲介と買取どちらを選ぶ?メリット・デメリットを比較

民泊物件の売却を業者に依頼する際、仲介と買取の2種類の選択肢があります。

売却の依頼を受け付けている業者には、不動産業者や宿泊事業者、住宅宿泊管理業者、M&A仲介業者など様々な業態の業者があり、業者選びも含めてどちらを選択すべきか迷われている方も多いと思います。

本記事では、民泊物件の売却の際、仲介と買取どちらを選ぶべきなのか、それぞれのメリット・デメリットを整理、比較して、判断ポイントを解説します。

1.民泊物件の売却、仲介と買取を選ぶポイント

民泊物件を売却するとき、まずは、民泊物件の種類や立地によって仲介と買取どちらを選ぶべきか、が大きく変わってくるといえるでしょう。

また、物件を所有している民泊物件を売却するのか、賃貸物件を民泊物件として転用する賃借権型の民泊を売却するのか、という点も仲介か買取かを選択する際に重要なポイントとなります。

その他、検討すべきポイントとして売却によって得られる収入、手間やコストなどの支出の側面も重要です。

仲介と買取では、収入、支出それぞれの側面からメリット・デメリットが異なります。これらのメリット・デメリットについて次章より詳しく解説します。

2.民泊物件を仲介で売却するメリット・デメリット

どのような民泊物件の売却においても検討することのできる仲介ですが、メリットとデメリットを比較して見てみましょう。

2-1.仲介のメリット

民泊物件の売却の際に仲介を選ぶメリットは、物件の種類を問わず、売却先の選択肢が多いこと、売却によって得られる収入が高めになる傾向があること、と言えます。以下で、詳細を説明していきます。

物件の種類を問わず、売却先の選択肢が多い

民泊物件には、物件を所有して運営している所有権型と、賃借して運営している賃借権型があります。また、住宅宿泊事業法上の民泊だけではなく、旅館業法上の簡易宿所もあります。このような物件の種類を問わず、売却先を探すことが可能であるのが、仲介のメリットといえます。

業者側に在庫リスクのある買取と異なり、仲介業者は売主と買主候補とを仲介する役割のため、民泊物件の取り扱い可能な業者を見付けることは比較的容易であると言えます。

ただし、賃借権型の民泊物件では、不動産ではなく事業売却となるため、小規模のM&Aを仲介する業者に依頼することとなります。所有権型の物件であれば、収益不動産の一種として民泊物件を取り扱う不動産業者に仲介を依頼することになります。

高値で売れる可能性がある

仲介であれば、買取よりも高めの価格で売れる可能性があります。

仲介の場合、買主候補の間口が広がる分、様々な事情を持つ買主が現れる可能性があります。長期的にその物件を所有して民泊営業を続けていきたいという投資家が買主になる可能性もあります。また、その物件が所在する地域に拘りを持つ投資家というケースもありえます。

このように、その物件を買いたい理由は、買主候補によって異なります。様々な理由、事情を抱える購入検討者へ広くアプローチできる分、高値で売れる可能性が高まることになります。

2-2.仲介のデメリット

仲介のデメリットとして、時間がかかる可能性があること、手間がかかること、手数料がかかること、が挙げられます。時間や手間がかかるということは、それだけ不確定要素が増え、収支計画を立てる上でリスクになりえるでしょう。

以下で、詳細を説明します。

時間がかかる可能性がある

仲介では、買主候補の間口を広げるため、様々な候補者が現れるのを待ち、それぞれと交渉する必要性が生じてきます。そのため、売却までには時間がかかる可能性があります。

また、買主となる購入希望者が現れても、金融機関の融資審査の時間がかかったり、審査に落ちてまた探し直すなどのケースも少なくありません。仲介による売却では売却時期が大きくずれ込んでしまう可能性がある点はデメリットと言えます。

手間がかかる

仲介では業者の紹介する複数の買主候補の選定など、民泊物件の売主が行う必要のある手続きや手間が発生します。

買主が決まったとしても、民泊業に関連する有形・無形の資産の引き継ぎなどは、買主の条件に合わせて売主であるオーナーが行うこともあります。

このように、仲介では売主であるオーナー自身が行わなければならない手間が多いのがデメリットといえるでしょう。

手数料がかかる

民泊物件の仲介を不動産業者に依頼した場合は、売買価格の3%+6万円(売買価格400万円超の場合)の仲介手数料がかかります。この他にも、土地の境界が確定していない場合には、測量費用がかかることもあります。

一方、M&Aマッチングサイトを運営する仲介業者に依頼した場合、買主のみが手数料を負担するケースが多いでしょう。ただし、事業譲渡においては、買主側が財務面や契約関係の専門的な調査を求めることもあり、このような調査にかかる費用の一部を、売主側が負担することもあります。

3.民泊物件を買取で売却するメリット・デメリット

買取は、すぐに売却できることが大きなメリットですが、対象物件や買取先が限定されてしまうのがデメリットといえます。その他、それぞれ比較して見て行きましょう。

3-1.買取のメリット

民泊物件の売却の際、買取を選ぶメリットとしては、短期間で確実に売却できること、手間や手数料がかからないこと、が挙げられます。民泊物件では、所有していると運営コストが嵩んでいくため、これらは大きなメリットといえるでしょう。

以下で、詳細を説明していきます。

短期間で売却できる

買取では、民泊物件の売却先は決まっています。そのため、仲介の場合のように買主を探す時間がかからないといえます。

また、不動産業者に買取依頼をする場合、複数の買取業者にコンタクトを取って、査定額や買取条件などを比較して買取先を選定することも重要です。

手間・手数料がかからない

所有権型の民泊物件を不動産業者に買取依頼をする場合、仲介手数料はかかりません。

買取では、買主と直接交渉できるため、仲介の場合のように、買取条件を満たすために売主が別途手数料を支払わなければならないことも少ないといえます。

条件がある場合であっても、買取価格と相殺できる可能性が高いでしょう。売主の手続き面での手間が省けるのもメリットといえます。

契約不適合責任がない

所有権型の民泊物件で、個人を買主とする場合、消費者契約法の規制により、不動産の契約不適合責任を免責にできないことがあります。

一方、不動産業者による買取の場合は、売主は不動産の契約不適合責任を負わないとすることが可能です。契約不適合責任を問われると、物件の引き渡し後に買主から追完請求や代金減額請求を受ける可能性もあり、このようなリスクがないのはメリットといえます。

3-2.買取のデメリット

買取のデメリットとして、対象物件や買取先が限定されてしまうこと、売却価格が安くなる傾向があること、が挙げられます。

以下で、詳細を説明します。

買取先が限定される

民泊物件の買取先は、立地や運営形態によって買取先が限定される傾向があります。買取先が不動産業者の場合、立地によって得意・不得意があります。

特に地方の観光地の物件である場合は、地元の不動産業者やリゾート地専門の不動産業者など、買取先が限定される傾向にあります。

賃借型の物件では、さらに間口は絞られてくると考えられます。住宅宿泊事業、旅館業を運営している業者、宿泊業の運営も手掛けている不動産業者などが買取候補になりえます。

売却価格が安くなる傾向がある

買取の場合、買取先の業者は、短期的な期間で利益を得ることを目的として民泊物件を買い取ることが多いといえます。そのため、仲介に比べて買取価格は安くなる傾向があるといえます。場合によっては、実勢価格よりも安くなることがあります。

まとめ

民泊物件の売却では、立地や運営形態により買主が限定されると考えられる場合、間口が広がる仲介を選択することで、結果的に高値で早期売却ができるケースがあります。

そうでない場合は、特に収入面、手間の面に注目して、民泊物件の運営状況、オーナーの投資戦略などに応じて判断したいといえます。

たとえば、手元資金に不安があり、一刻も早く損切りしたいなどの場合は、買取の方が適していると考えられます。

他方、切羽詰まっているわけではないが、投資戦略を見直すために売却したいというのであれば、売却収入が多くなる可能性の高い仲介を検討してみるのも良いでしょう。

このように、民泊の売却では、物件の条件、エリア、状態、収益状況によって適した売却方法は異なり、仲介と買取のどちらが適しているか一概には言えません。それぞれの売却方法を比較し、自身の民泊物件にあった売却方法を模索していきましょう。

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