民泊サービスの中で最も有名なのが、言わずと知れた米国サンフランシスコ発のAirbnbです。Airbnbは2008年の創業以降、個人間で部屋の貸し借りができるオンラインコミュニティマーケットプレイスとして成長し、2015年11月時点で、世界190ヶ国、34000以上の都市で2000万件以上の物件を網羅する世界最大の民泊サービスに成長しています。既にAirbnbを利用した累積ゲスト数は6000万人以上に上っており、世界を旅する人々の旅行スタイルを大きく変えました。
このAirbnbは、スタートアップ企業の成功例としてだけではなく、「シェアリング・エコノミー」という新たな21世紀型の経済モデルに合ったビジネスとしても世界中から注目を浴びています。皆さんの中には「シェアリング・エコノミー」という言葉を一度は聞いたことがある方もいるかもしれません。この「シェアリング・エコノミー」とは一体何なのでしょうか?
シェアリング・エコノミーとは?
シェアリング・エコノミーとは、日本では「共有型経済」と訳されることもあります。モノやサービスを「所有」するのではなく「共有」するという仕組みによって新たな生まれる経済モデルやサービス、市場のことを総括して人々は「シェアリング・エコノミー」と呼んでいます。
シェアリング・エコノミーが求められる背景
今、なぜこのシェアリング・エコノミーが注目されているのでしょうか?その背景には、世界が抱えている様々な問題があります。2050年には世界の人口が90億人に増えると予想されており、中国やインド、東南アジア諸国をはじめとする新興国の経済成長が今後も見込まれています。
人口も増え、一人あたりの豊かさも増えるとなると、当然ながら世界が必要とする資源の量はその掛け算のぶんだけ増えることになります。しかし、実際には地球は一つしかありませんし、その地球上にある資源は有限で、しかも刻一刻と減っています。
そのため、今、世界の経済は従来からの大量生産・大量消費モデルから脱却し、無駄な生産や消費を減らして環境・社会に対する負荷を最小限にとどめながら成長をしていくという新たな形が求められているのです。そこで注目されているのが「シェアリング・エコノミー」という概念です。
シェアリング・エコノミーにおいては、個人や企業によるモノやサービスの所有は最小限に収め、必要なものを必要なときに「シェア」するというオンデマンド型の取引を行うことで、無駄をなくすことができます。
例えば、Airbnbが対象とする不動産の場合を考えてみましょう。日本の場合、東京や大阪など都市圏のホテルは既に稼働率が上限に達しつつあり、宿泊価格も高騰傾向にあります。一方で、都心部でも空き家や利用されていないマンションの部屋などは数多く存在しています。せっかく誰も使用していないスペースがあるのに、これらを活用せずに新たなホテルや旅館を建設するのは、経済的な観点だけではなく資源の利用という観点から考えても望ましいことではありません。空き部屋という不稼働資産を活用すれば、今のままでも十分に需要を満たすことができるからです。
特にシェアリング・エコノミーが重要性を増す都市部
国連の推定によれば、2050年には世界人口の70%が都市で生活するといわれています。都市に人口が密集すればするほど、当然ながらスペースの余裕はなくなります。横に面積を広げることができない都市は、高層ビルやタワーマンションなど縦に面積を増やすことで人口の吸収を続けてきましたが、それにも限界はあります。
今、世界中の都市で、部屋や車、家具といったあらゆるモノ・サービスを一人一人が個別に所有するのではなく、お互いにシェアすることで都市空間としての機能性を高めるための設計が求められているのです。その上で、Airbnbに代表されるようなシェアリング・エコノミー型のサービスは問題解決の大きな可能性を秘めています。
今、日本における民泊の議論は主に法規制との兼ね合いが中心となっていますが、世界全体の経済や社会状況というより大きな文脈の中で見てみると、世界の中でも飛びぬけて不動産価格が高騰しているサンフランシスコでAirbnbのようなサービスが生まれ、それが東京のような人口密集都市にやってきているというのは、ある種必然の流れとも言えるのです。
おすすめの民泊関連ソリューション
民泊運用に役立つおすすめのサービスを厳選ピックアップし、ご紹介しています。民泊ホストの皆様はぜひご活用ください。
(Livhub 編集部)
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