近年、少子高齢化や人口減少などによる「空き家」の増加が問題になっているのをご存知だろうか。2018年度に発表された総務省統計局の調査によると、日本の住宅の13.6%、約848万戸が空き家なのだという。そしてこの数値は年々増加傾向にある。こうした空き家問題の解決にむけて、新たな価値を創造すべく株式会社On-Coは、借りたい想いに物件が集まるマッチングサービス「さかさま不動産」を2020年に開始した。
通常、空き家を売却する際は、空き家の賃貸・売却を希望する所有者の情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したいと考える人に紹介する「空き家バンク」などの制度を利用するのが一般的である。一方「さかさま不動産」のやり方は、その逆。物件情報でなく、借り手が空き家を借りて挑戦したいことや目標など、借り手の「想い」がウェブサイトには並び、その想いに共感した空き家の所有者が借り手にアプローチをする。合意に至れば、マッチング成立となり、空き家の契約が交わされる仕組みだ。
これまでマッチングが成立したのは、「地元愛知県で本屋を開業したい」といった想いを実現するための書店。「海洋プラスチック問題を解決したい」という想いを実現するための海洋プラスチックを使ったアート製作場など6件。そして、今回7件目の成約となったのは、「常連が集う、接客とクリエイティブに凝ったシーシャ屋さんを名古屋市大須エリアに作りたい」という想いをもった水橋サスケさんの案件。
水橋さんに物件を提供したのは、同市内で事業を営む家主。物件は倉庫として引き合いはあったものの、出来れば面白い人や活気のある場所にしてくれる人に貸したいと考えていたなか、さかさま不動産を通じて、水橋さんの想いや目標に行きつき、今回の成約に至った。家主は、「面白いことをしたいと考えている物件オーナーは多い。ただ、従来の不動産の仲介の仕組みでは先に借り手の想いや目標を知るのは難しい」と話している。
さかさま不動産を運営する株式会社On-Coが目指しているのは、やりたい想いを発信すれば街全体が応援してくれる未来。この取り組みが、空白の街を想いと活気で一杯に満たしてくれる未来が楽しみだ。
【参照サイト】さかさま不動産
【参照サイト】総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 特別集計」
むなかたりょうこ
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