箱根町、オーバーツーリズム対策の新たな取り組み。相乗りワゴンタクシー「カンモビMOVE」始動

東京から気軽に行ける観光地として人気の高い、箱根。
温泉は然り、美術館や景勝地など四季を通じて魅力的なスポットが満載だ。
しかし一方で、現在懸念されているのが観光客の多さ。
観光事業を営む人たちにとってはありがたいことでも、そこには住む人たちもいる。
誰もが心地よく過ごすためにも、オーバーツーリズム対策を進めなければならないのが現状だ。

そこで箱根町での観光をより快適に、そして持続可能なものへと進化するべく立ち上がったのが、関西電力と株式会社NearMeだ。オーバーツーリズム対策として新たに導入する相乗りワゴンタクシー「カンモビMOVE」がその鍵となる。

相乗りワゴンタクシー「カンモビMOVE」とは

「カンモビMOVE」は、関西電力がスマートモビリティ社会の実現に向けて展開するモビリティサービスの一環として行っている相乗り移動サービス。このサービスの特徴は、株式会社NearMeの独自AIを活用した最適なルーティング技術「シェア乗りシステム」にある。ドアツードアでの相乗りを実現するためのルートを自動的に計算し、利用者が効率的に目的地に到達できるようになっている。また、外国語対応や事前WEB予約が可能で、国内外の観光客にとって使いやすい設計だ。

運行エリアは神奈川県足柄下郡箱根町内の一部エリアを除く範囲で、運行時間は毎日8:00から18:00まで。2024年8月1日から2025年7月31日までの期間、箱根町内で実証運行される予定だ。運行台数は10人乗りの車両が4台、5人乗りの車両が1台の計5台。料金体系は1回利用、1日乗り放題、2日乗り放題のプランが用意されており、予約はWEBサイトまたはLINEで可能だ。

道路の混雑緩和やCO2排出量の削減に期待

「カンモビMOVE」の目的は、車両1台あたりの乗車率を向上させ、町内を走行する車両台数を削減することにある。これにより、観光地の混雑緩和やCO2排出量の削減が期待されている。特に、アフターコロナの時代において増加するインバウンド観光客に対応するための対策としても注目されている。

関西電力のソリューション本部開発部門開発部長、齋藤宏輔氏は、「本実証を通じて、箱根観光の魅力を高めると共に、観光地における本サービスの受容性を検証し、2025年度以降の事業化と他の観光地への展開を目指す」とコメントしている。さらに、株式会社NearMeの代表取締役社長、髙原幸一郎氏は、「相乗りサービスがオーバーツーリズム対策として有効であることを発信していきたい」と述べている。

これまでも地域ごとの交通課題解消を行なっているNearMe

株式会社NearMeは、2018年に設立されたソーシャルデザインカンパニーであり、独自のAI技術を活用した最適なルーティングでタクシーのシェアサービスを提供している。特に、空港送迎型のエアポートシャトルサービスは、2019年8月のサービス開始以来、延べ80万人以上が利用している。NearMeは、地域ごとの交通課題解消を目指し、さまざまな実証事業を展開している。

箱根町をより快適な観光地へ

「カンモビMOVE」の導入は、箱根町の観光地としての魅力を高めるだけでなく、持続可能な観光地づくりの一助となるだろう。オーバーツーリズムの課題に対する効果的な対策として、他の観光地への展開も期待される。将来この実証実験の結果が実用化されれば、観光客にとっても、地域住民にとっても、より快適で持続可能な移動手段が実現する日が来るだろう。

【参照サイト】カンモビMOVE
【参照サイト】株式会社NearMe
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