個人宅を旅行者に有料で貸す「民泊」について、国が今年4月からフロント(玄関帳場)を設置しなくとも営業許可が得られるよう規制緩和したにもかかわらず、47都道府県、20政令市、東京23区の約4割にあたる35自治体において現在も条例でフロント設置を義務付けていることが判明した。毎日新聞が報じている。
政府は、4月から民泊を旅館業法が定める「簡易宿所」と位置付けて営業できる場所などを制限する一方、一般住宅にはないフロントの設置は許可要件から外すことを決め、営業許可を出す自治体に必要な条例改正などを促す通知を3月末に出した。
これは、「フロントの設置」が現状のワンルーム型の民泊スタイルと折り合いが悪く、簡易宿所の許可を取得することへの足枷となるとみられていることから、緩和されたと推測される。政府は今後さらに民泊の規制緩和を進める構えだ。
これに対し、自治体は慎重であり、世田谷区は「良好な住環境を悪化させる必要はない」、渋谷区は「民泊利用者の安全確保にも必要な規制だ」と指摘したという。また、都内各区に4月以降に民泊を簡易宿所として許可したケースがあったかを聞いたところ実績はゼロだったという。
中でも台東区は国の通知と逆行する形で3月末に条例を改正し、フロント設置要件を加えた。区はすでに行われている民泊の多くが旅館業法の許可を得ず、ごみ出しや騒音などに関して近隣の住民とのトラブルになっていることや、無許可での営業でありながら宿泊施設として使用したマンションにおいてベランダからの転落事故が起きたことをふまえ、今回の国の規制緩和がこのような事態を拡大させる危険性を指摘している。
政府の規制緩和の動きに対し、自治体は民泊の拡大に慎重であり、近隣トラブルの増加や既存の旅館・ホテルからの反対を懸念している。政府は自治体に対し、必要に応じて条例の弾力的な運用や改正の検討を要請していくとしている。
【参照ページ】35自治体、緩和せず…フロント設置義務付け
【参照ページ】民泊サービスと旅館業法に関するQ&A
【参照ページ】議員提出第3号議案 「東京都台東区旅館業法施行条例の一部を改正する条例」 提案理由説明
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
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