民泊が今年6月に解禁される。宿泊需要の受け皿になるほか、増加する空室や空き家の有効利用につながるとして期待が高まる一方で、3月4日に行われたルーシッド株式会社の「民泊解禁に関する意識調査」によると、シニア世代が民泊に抵抗感を抱いていることが明らかになった。
調査は全国15,005世帯のシニア世代を中心にリサーチコムの自動音声、電話調査によって行われ、集まった562件の回答の集計結果が3月8日に公表された。
調査結果によると、6月に民泊を全国で解禁する法律「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されることについての支持率は「賛成」が8.77%、「どちらかというと賛成」が16.43%と、支持派が約25%だった。対する「どちらかというと反対」は26.95%、「反対」は14.83%と、反対派は約42%だった。残りの33%は「わからない」と回答した。
そして、民泊自体への賛否となると「反対」が59.07%と、反対派は半数を超え6割近くだった。反対の理由は「知らない人が入ってくる不安」が最も多く28.29%。「犯罪に使われる危険性」が24.02%、「不良な目的で利用される危険性」が21.71%と続いた。
民泊新法下では宿泊客の本人確認が義務付けられるため、素姓の知れない人が宿泊する心配はない。このような実態の周知と犯罪防止のシステム、宿泊目的などをあらかじめ確認できる仕組みがあれば、シニア層の抵抗の緩和につながりそうだ。
民泊賛成派は民泊によるメリットについての理解があった。賛成の理由として民泊の目的とも言える空き家対策、経済効果、国際交流のほか、雇用が生まれるという点に着目した人が約1割存在した。
国土交通省の調べによると、土地資産の約6割を60歳以上のシニア世代が保有している。民泊を日本で定着させるには、シニア世代からの支持は必須とも言える。しかし、今回の調査では、保有する不動産の民泊活用について「活用したい」と回答したのは約13%だった。
民泊新法について「分からない」人の割合は3人に1人であり、民泊について未知な部分が多いために抵抗があるともみてとれる。よく分からないものに、敢えて挑戦するシニアが少ないのは当然だ。民泊新法の内容をより分かりやすく周知することと、シニア層の不安の種となっている身元確認・宿泊目的の把握・犯罪防止を徹底することが今後の課題となりそうだ。
【参照ページ】世代間資産移転の促進に関する検討
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
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