8月12日~15日にかけて行われた徳島市の阿波おどり期間中、宿泊施設不足の解消を目的として今年初めて実施された「イベント民泊」が、ホスト、ゲストからも大好評のうちに幕を閉じた。徳島市から委託を受けて今回のイベント民泊の事務局を務めたパソナによると、民泊用に部屋の提供を採択した数は31件、提供可能部屋数は57部屋、延べ302名の宿泊可能人数に対して、8月11日~16日までの6日間で実際に稼働した部屋数は38、延べ宿泊人数は275名に上ったという。
イベント民泊を利用して徳島にやって来た日本人観光客からは「次の旅の目的ができました。」という声が聞かれたほか、観光客を迎え入れた地元のホストも普段接することのない観光客との新たな出会いを存分に楽しんだようだ。

ホスト宅で浴衣を着付けてもらうゲスト
今回のイベント民泊は、海外からの観光客も数多く利用した。パソナによると、アメリカ、フランス、イタリア、スウェーデン、台湾、中国など幅広い国のゲストが宿泊し、アジアよりも欧米のゲストが多かったという。イタリアからやってきたゲストは「徳島の阿波おどりの美しい雰囲気を経験でき、とてもしばらしかった。ホテルはどこに泊まっても同じだが、民泊は日本の文化を知れるのでよい」と感想を話す。
パソナの加藤遼氏は「イベント民泊をきっかけとして、地域おもてなしホストを始める人や人に会いに行く旅をするゲストが増えてほしいとの想いで企画したが、実際に今回参加した地域住民の方からは継続して民泊に取り組みたいという声も多く頂いており、ゲストからもホストとの交流によって次に徳島を訪れる理由ができたという声もあった」と語る。
また、今回の経験を踏まえた今後の課題は「ホスト募集に充分な準備期間の設定、地域の事業者との連携によるホストに向けたサポート提供、民泊だけではなくスペースや駐車場、ガイドなどのワンストップ提供によるゲスト体験の向上」とのことだ。
徳島市としても初の試みとなったイベント民泊。毎年120万人以上の観光客が訪れる阿波おどりの規模を考えれば、今回の延べ宿泊人数275名という規模はまだまだ十分とは言えないが、それでも過去に他地域で行われたイベント民泊と比較すればはるかに多くの出会いを生み出しており、地元の人々が地元の文化と暮らしとともにゲストをもてなすという「日本ならではの民泊」の形を世界にアピールする大きな一歩になったことは間違いない。
来年はさらに規模が拡大することが予想されるが、今回の阿波おどり民泊をきっかけに同様の取り組みが他の地域へと広がることも期待したいところだ。
【関連ページ】徳島県の民泊・旅館業簡易宿所に関する条例・法律・規制
(Livhub ニュース編集部)


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