日本クレジットカード協会(以下、JCCA)は2月28日、調査報告書「民泊とキャッシュレスを両輪とする地域を巻き込んだ観光立国推進に向けて」を公表した。
JCCAはこれまで2014年から2016年度にわたり継続的に観光立国実現に向けた取り組みを推進してきており、2017年度、新たに焦点を当てたのは「民泊」による長期滞在型観光を軸とした地域経済活性化およびキャッシュレス推進への取り組みだ。

民泊新法を契機としたキャッシュレス推進モデル
昨年JCCAが行った検証によると「民泊の拡大による新たな消費需要の拡大は、今までインバウンド旅客の少なかった地域での経済活性化に結びつく可能性が高いこと」、そして「民泊で誘発され新たに訪れるのは訪日外国人、都市部若年層等のキャッシュレス決済に親和性の高い層であること」がわかった。

※「全体」は、調査結果に歪みを与える影響が大きい、現金のみ利用店を除外する観点から、便宜上、単価1,000円未満の消費件別を除外して算出
また、クレジットカード決済による購買単価は全業種平均で1.7倍と、現金決済にくらべて高いことも明らかとなった。このことから、今後のキャッシュレス決済導入は地域経済活性化に向けて検討すべき最重要課題であり、キャッシュレス環境の整備は不可欠であるとしている。
政府は「未来投資戦略2017」のなかで、地方創生の切り札として「観光」を掲げ、国内外の観光客を全国各地に分散および拡大する方針を示していた。
それに対しJCCAは「ゴールデンルート(東京、箱根、富士山、京都、大阪など日本の人気都市をまわる観光ルート)」等の一部の地域に需要の偏りがあること、また、宿泊施設、多言語対応、キャッシュレス等の設備不足が観光立国に向けた取り組みの妨げとなっているとの考えを示しており、今回の調査実施に至った。
訪日外国人の増加にともない、宿泊所の予約や鍵の受け渡し、チェックイン・チェックアウトなど、面倒な手間を介さず、より簡潔に手続きできるサービスに需要が集中している今、決済も例外ではない。
JCCAは今回の検証結果をもとに、民泊による地域活性化をめざす地域を対象に、キャッシュレス推進のための取り組みを行っていく見通しだ。具体的に、小売・サービス事業者をターゲットとしたキャッシュレスの提案、キャッシュレスと民泊に関するセミナーの開催、民泊ゲストへのキャッシュレス環境のアピール、民泊代金のクレジット決済拡大等へ向けた企業・業界との協業を、今後の施策として検討している。
【参考ページ】民泊とキャッシュレスを両輪とする地域を巻き込んだ観光立国推進に向けて
(Livhubニュース編集部)


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