民泊物件の運営の方法の一つに、自宅の空き部屋を民泊の部屋として活用する「半居住型民泊」があります。
この半居住型民泊の運営は、どういったメリットとデメリットがあるのでしょうか。その特徴を詳しく見ていきましょう。
1.半居住型民泊とは
まず、半居住型民泊とはどのような特徴のある民泊運営方法なのかを見ていきましょう。
1-1.自宅と民泊物件が同じ建物の中にある
半居住型民泊物件は、自宅の建物内に、自宅部分と民泊に利用できる個室がそれぞれ設けられている民泊物件のことを指します。
例えば3階建ての建物の場合、1階が民泊用の部屋、2階と3階が自宅という構成が考えられます。
1-2.自主管理が基本である
民泊物件を運営する場合、清掃や管理は専門業者に任せるケースがありますが、半居住型民泊物件の場合は、自宅のすぐ近くに民泊用の部屋があるので自主管理を行うことが可能です。
入居者とのコミュニケーションを取ったり、清掃を自分で行ったりできるので、管理コストを削減しながら民泊物件を運営できます。
また、宿泊室の床面積合計が50㎡以下であれば、宿泊施設ではなく住宅としてみなされるため、自動火災報知器の設置が不要になる特徴があります。
【関連記事】民泊とは?法規制・種類・課題を徹底解説!
2.半居住型民泊のメリット
次に、半居住型民泊物件はその他の民泊物件と比較してどのようなメリットがあるのか確認して行きましょう。
2-1.住宅ローンを利用できる可能性がある
半居住型民泊物件の大きなメリットとして、住宅ローンを利用して民泊物件を購入できる可能性がある点が挙げられます。
金融機関の融資によって民泊物件を購入する場合、主に金融機関のアパートローンなどのローンを利用する方も少なくないでしょう。しかし、多くのアパートローンの金利は2%以上で設定されており、融資を受けられる期間も建物の構造や築年数によって異なります。
一方、半居住型民泊物件では、建物内の面積のうち50%以上を自宅として利用していれば住宅ローンを利用して融資を受けることができる金融機関もあります。
ただし、民泊向けの住宅ローンには通常の住宅ローンよりも厳しい条件が設けられているケースも少なくありません。実際に利用検討する際は金融機関に問い合わせ、詳細を確認しておきましょう。
2-2.自主管理が行いやすくコストを削減できる
半居住型民泊物件は民泊用の部屋が自宅と同じ建物内にあるため、オーナーが直接物件の管理運営を行うことができます。
民泊物件の清掃を業者に委託した場合、清掃1回あたり5,000円以上のコストが発生することもありますが、自分で清掃すればそのコストを削減し、大幅に収益性を上げることが可能です。
3.半居住型民泊物件のデメリット
次に、半居住型民泊物件のメリットだけではなく、デメリットについても確認をしておきましょう。
3-1.民泊物件として利用できるスペースが限られる
半居住型民泊物件の購入で住宅ローン控除を利用する場合、民泊として貸し出せるのは、建物の50%未満の面積に限られます。そのため、収入面では同規模の民泊経営と比較して利回りが低くなる傾向があります。
建物の全てを民泊物件として利用する場合には、住宅ローンではなく不動産投資用ローンに借り換える必要があります。民泊物件の運用で大きな利益を得たいという人は、半居住型民泊物件だけでなく、民泊物件専用の建物の購入も比較して検討しましょう。
3-2.プライバシーが保てない可能性がある
また自宅と賃貸部分が同一の建物にあるために、プライバシーの問題が発生する可能性もあります。
民泊物件に泊まる人は外国人観光客も含まれるため、生活習慣が違ったり、夜騒ぐ人が出てきてしまう可能性も少なくありません。また、自宅の中に見知らぬ人が寝泊りしているという状況を、許容する必要があります。
プライバシーをそれほど気にしない人もいるかもしれませんが、全く知らない人が自宅の中に居ることの違和感は、半居住型民泊物件の運営を始める前によく意識しておくことが大切です。
また、プライベートな空間が同じ建物内で共有されることで、防犯にも気をつけなくてはいけないこともあります。建物の防音・防犯性は、自分の家族と宿泊客両方のために、気を配っておくと良いでしょう。
3-3.周囲との近所付き合いに気を使う
半居住型民泊で民泊物件を運営する際は、立地条件にも注意が必要です。
半居住型民泊物件は住宅街の中にあることが多く、民泊新法に則って民泊物件を運営する場合は、民泊物件であることの告知義務があるため、家に看板を掲げなくてはならず、周辺に宿泊客が訪れることも多くなるでしょう。
住宅街の中で観光客が宿泊すると、騒音等の問題で周囲とのトラブルが発生する可能性もあります。近所付き合いにおけるリスクが生まれることも、運営を始める前に注意しておきましょう。
4.半居住型民泊の注意点
反居住型民泊の注意点として、住宅宿泊事業法(民泊新法)で設けられている施行規則があります。特に注意しておきたいのは、自宅を不在にしても良い時間が原則1時間と定められている点です。
例えば、一人暮らしの方で通勤が必須の職業である場合、外出が1時間以上あることから反居住型民泊での運用が出来ず、「家主不在型」の民泊として届け出を行い、民泊運営の管理委託をする必要があります。
その他、前述した運営上のデメリットもあります。反居住型民泊を運営するのであれば、メリットだけに注目するのでなく実際の運営にかかる手間も考慮しながら慎重に検討することが大切です。
また、これまでに民泊運営の経験のない方であれば、不動産投資型クラウドファンディングなど、少額から投資が出来る方法も比較検討してみましょう。
不動産投資型クラウドファンディングであれば、民泊物件を含む様々な不動産へ間接的に投資することが可能です。実際の民泊運営のようにゲストとの交流がなく、自身で運営が出来ない点はデメリットとなりますが、運営にかかるコストや手間を省けるメリットがあります。
【関連記事】クラウドファンディングで民泊投資、物件運用との違いや判断のポイントは?
まとめ
半居住型民泊物件は住宅ローンを使って民泊物件を購入できる可能性がある点や、運営コストの削減も可能であるなどのメリットがあります。
ただし、民泊施設の運営が観光客の減少により難しくなっているときには、空き部屋を観光客以外の人に貸すなど、臨機応変な運営方針が求められます。自宅を不在にしても良い時間が原則1時間と定められている点にも注意が必要です。事前にシミュレーションを重ね、しっかりとプランを練ってから運営を始めていきましょう。
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