【取材レポート】シェアエコ×民泊を学べる!パソナの「シェアリングワークカレッジ」

Livhub編集部は2月5日、人材派遣会社パソナが提供するシェアリングエコノミーによる地方での就労機会の拡大と地域活性化を促すセミナー「SHARING WORK COLLEGE(以下、シェアリングワークカレッジ)」のオープニングイベントに参加してきました。

当日は地域でホームシェアリング(民泊)サービスを提供する3名のゲストスピーカーによる講演が行われ、兵庫県で民泊を営む85歳のスーパーホストの経験談や、安全な民泊利用のためのAirbnbの取り組み、そして地方自治体での民泊推進の事例という、民泊をこれから始めたい方や、民泊分野でのシェアリングワークの活用事例に興味がある方にとってぴったりなお話を聞くことができました。

ここでは、当日の様子をレポートしてみたいと思います!

シェアリングワークカレッジは、新しい働き方を学ぶ場所

Sharing work college

「シェアリングワークカレッジ」とは、個人の持つ知識やスキル、資産の共有をサービスとする新しい働き方「シェアリングワーク」を推進するセミナーです。

シェアリングワークにおいて共有するものは主に3つあり、そのうちの1つは不動産です。地域の空き家や、あまり使わなくなった別荘、空きスペースを貸し出すことです。2つ目は動産。ユーザーが高齢になって使わなくなったバイクや自転車などです。3つ目は知的財産です。スキルや知識、具体的には料理や歴史などを共有します。

シェアリングワークカレッジは、地域で民泊事業を始めたい個人(ホスト)、ホストとゲストをつなぐAirbnbやHomeAwayなどの中間支援プラットフォーム、そして全国の自治体の3者を対象として行われます。

参加者は「ホームシェアリング」分野におけるシェアリングワークに関わる法制度や、保険と確定申告、民泊プラットフォームサイトの活用方法などを学べるほか、外国人観光客のおもてなしのための基礎知識や他の地域での事例も学ぶことができ、シェアリングワークによる新しい働き方のための第一歩を踏み出す知識をつけられます。

セミナーは今年3月から東京都、大阪府、岩手県、宮城県、徳島県などで行われ、普段からさまざまな働き方を提案するパソナならではの取り組みに基づき、随時情報が追加される予定です。

シェアリングワーク推進におけるパソナの役割とは?

続いて、パソナがシェアリングワークにどのように関わっていくかということなのですが、民泊に興味のある個人向けの研修はもちろん、地域の自治体や企業と連携して地域活性化を促したり、民泊のゲストに向けた商品の開発をしたりと、個人や地域性に合わせた支援サービスの提供を行うようです。今までパソナが実際に行ってきた民泊支援の事例もあわせて聞くことができました。

ひとつは、昨年8月の徳島県の阿波踊りイベント民泊。夏の徳島市阿波踊りの時期にあわせて26人のホストが協働し、ゲスト273人とのマッチングが実現しました。それもただの家の貸し出しではなく、阿波踊り道場や中小企業の駐車場もシェアします。この経験にやりがいを感じた人たちが、その後簡易宿泊所の許可をとって民泊事業に取り組むなど、シェアリングワークを行うきっかけとなったそうです(関連:徳島市初の阿波おどりイベント民泊は大好評。延べ270人以上が宿泊)。

ほかにも宮城県の人との交流体験をする「人に会いに行く旅」をコンセプトとしたサイトの運営や、地域民泊コミュニティの形成、さらには農水省とコラボレーションして農山漁村地域の伝統的な生活を体験する「農泊」のコーディネートなど、さまざまな活動を通して日本全国でシェアリングワークを推進していくとのことです。

ホスト・中間業者・自治体による講演

今回は地域で民泊事業に密接に関わるホスト、ホストの中間支援プラットフォーム、そして自治体の3つの立場からの講演がありました。ここではその内容のダイジェストをお伝えします。

1. シェアリングワーカーのライフスタイルを知る

まずは、兵庫県淡路島の自宅でホームシェアリングを行う85歳のスーパーホスト、中川暎子氏による民泊運営経験のお話です。息子である中川欣也(きんや)氏が補助ホストとなってAirbnbで予約管理を行い、中川氏の自宅には老若男女、そして国籍問わずさまざまな旅行客が訪れます。この3年間で、200組ほど滞在されました。

中川氏は生前のご主人の定年を機に淡路島に移住し、それから10年間、海外で人気を集めていたB&Bスタイルの簡易宿舎「Retreat Nakagawa (リトリートナカガワ)」の経営をしていました。その経験を活かし、現在は一人暮らしの自宅をシェアするという事業を3年間行っています。在宅型で、部屋の清掃や料理の補助など簡単な手伝いのみを行うようです。

同氏の講演のなかで印象的だった言葉は、民宿を運営するうえで大変だと感じることがあまりないということでした。予約の時点で欣也氏がさまざまな問い合わせに対応し、打ち合わせておくため、現地ではマナーを守った行動をする人が多いのだそうです。

旅行客が現地のホストと楽しい思い出が共有できるだけでなく、自分の家に泊まった外国人観光客が逆に自国での食事会に招待してくれることもあったようでした。ホームシェアリングをするホストならではの素敵な経験談でした。

2. 安心・安全を提供するAirbnbの取り組みを知る

次に、Airbnb Japan株式会社の公共政策本部長である山本美香氏から、世界191か国で400万物件を取り扱うAirbnbの安全な民泊への取り組みについてのお話しがありました。

マス消費ではなく自分だけの体験ができる旅の需要が高まるなかで、シェアリングエコノミーをうまく活用した大手民泊プラットフォームAirbnb。その安全対策は「摩擦を残したシステム設計」にあると山本氏は語ります。

Airbnbでは、アカウント登録をしてから、電話番号や住所、パスポートなどの認証やSNSアカウントの連携をすることにより、利用者は詐欺アカウントではなく本当に存在するということを証明する仕組みを採用しています。

泊まりたい部屋を見つけても、ホスト側の承認がなければ予約は完了しません。支払いに関しても、ゲストがチェックインしてから24時間経ってはじめてホストに入金され、さらに宿泊後には、ホスト側がゲストと同じ立場でレビューをすることもできるため、ゲストも気持ちのいい利用を心がけます。このように、利用プロセスを少し工夫することによって、ホストとゲスト間のトラブルが予防できるということでした。

さらに24時間27言語対応のカスタマーサポートを提供し、トラブル解決センターも設備されています。問題が多く寄せられ、改善が見られないホストに対しては、アカウントの削除も行うことができるとのことでした。

近年、Airbnbはホームシェアリングだけではなく、現地人によるガイド付きの散歩などの体験のシェアも行えるプラットフォームにもなっています。近年の「体験」を中心とした旅の需要や、このような安全性を高める取り組みにより、今後ますます利用者は増えていく可能性があるでしょう。

3. 民泊によって地域活性化を進める自治体の取り組みを知る

最後に、徳島県の政策創造部・地方創生推進課の係長である加藤貴弘氏から徳島県での民泊の事例を聞くことができました。

同氏によると、徳島県としてはインバウンドが活性化し、宿泊施設が不足する現状で、ホームシェアリングを積極的に支援していきたいという考えのようです。たとえば、山奥の古民家を改修した民宿や、空き家を改修した「ウィーク神山」というサテライトオフィスなどが、観光客から人気が高まっているようです。

徳島県西部の東みよし町では農泊も盛んです。近年、ジビエが食べられるということで若い女性が多く訪れており、なかには狩猟免許を取ってくる人もいるようです。このように、従来のレジャー目的ではなく、現地の生活の雰囲気を感じながらのんびり長期間滞在するような旅の需要が高まっていることがわかりました。

ほかにも、徳島県の阿南市(あなんし)が、災害時には民宿を避難所として活用する形態「シームレス民泊」を提唱し、これを市町村が協働して広げています。その第一号として、四国八十八箇所に数えられる平等寺がお遍路さんや一般の旅行客も宿泊できる民泊「坊主の宿」を境内に開業しました(関連:徳島県「シームレス民泊」第一号「坊主の宿」開業

さらには規制緩和を行うなど、民泊には積極的な姿勢を見せています。高齢化や過疎化が問題視される徳島県で、あまっているリソースを活用する民泊を積極的に推進し、地域活性化を促そうということでした。

まとめ「個人の遊休資産とスキルを活用した地方創生」

今年6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行が予定されており、個人が自宅や空き部屋などを宿泊施設として提供する民泊サービスが全国的に広がると言われています。

ホスト、中間支援プラットフォーム、そして自治体。どの立場においても、今後はどれだけ安全性と信頼性を高め、健全な民泊運営ができるかがポイントとなります。

さらに、シェアリングワークに関する知見を深めることで、空き不動産を活用した地域活性化や、ホームシェアリングによる収益化といった新しい働き方を模索する良いきっかけとなりそうです。

シェアリングワークを通じて地域社会に貢献したい方、そして民泊の運営に興味がある方は、ぜひシェアリングワークカレッジのセミナーに参加してみてはいかがでしょうか?

【参照サイト】個人の“遊休資産” “スキル”を活用した地方創生 パソナ 自治体向けに「シェアリングワークカレッジ」開始

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Livhub 編集部

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