民泊事業者に聞いてみた!住宅宿泊事業法準拠・無人運営で安全・安心に民泊を運用する方法

今回、Livhub編集部は、民泊運用に役立つ各種サービスを提供する4社にご協力いただき、住宅宿泊事業法に準拠しながら無人で運営する方法について伺ってきました。無人運営の際にもゲストの安全・安心を確保することには十分な配慮が必要です。ここでは、民泊保険やチェックインシステム、スマートロックなどのサービスの利用方法もふまえながら、安全・安心に民泊を運用する方法をお伝えします。

各社紹介

編集部:今日のテーマは、住宅宿泊事業法に準拠しながら、無人での運営も考慮したうえで人件費を抑えて安全・安心に運用する方法を、民泊運用に携わるサービスを提供する事業者の皆様に伺わせていただければと思います。サービスの詳細は各社様のウェブサイトに掲載されているということを前提に簡単に各企業様の取り組みについてご説明いただきたく思います。よろしくお願いします。

民泊民宿協会:一般社団法人民泊民宿協会代表の大坂です。民泊向けの補償サービス(保険)と多くの事業者が苦戦している24時間365日いつでも事業者様に代わって現地に駆付けるサービスをパッケージで提供しています。

ベイ・コミュニケーションズ:株式会社ベイ・コミュニケーションズ(以下、ベイコム)の原田です。スマートロックとその管理システムを提供しています。

デバイスエージェンシー:株式会社デバイスエージェンシーの田中です。エアサポタッチというチェックインタブレットを中核とした無人チェックインソリューション全般を提供しています。

AFP:ALL Fortune Partners株式会社の代表、矢野です。みなさんのサービスを利用して民泊施設の運営をさせていただいている会社です。

民泊運営にあたって生じうるリスクや責任

編集部:ありがとうございます。それでは、まず、法令を遵守しての民泊運営にあたって生じうるリスクや責任について、民泊民宿協会の大坂様にお伺いしたいと思います。また、御社が提供されている民泊物件向けの保険について、現状と課題、改善点など、お話しいただけますか。

民泊民宿協会・大坂:2018年6月15日に住宅宿泊事業法が施行され、全国どこでも住宅宿泊事業者として届出をすることで、誰でも料金をもらってお客さんを宿泊させることができるようになり、旅館・ホテル以外の宿泊施設の運営が可能となりました。

お金をもらって宿泊させるということは、宿泊者の安全を担保できることを前提に宿泊料金をもらうのであって、運営者には宿泊者の快適な宿泊空間を提供すると同時に、万一の際にお客様の生命を守る義務が生まれます。

皆さん古い話ですが、ホテルニュージャパンのホテル火災事故を思い出して下さい。あの事故は、ホテル側の宿泊者に対する避難誘導の不備が、多くの犠牲者を生んだと言われています。

私達もこのホテルニュージャパンの事故を対岸の火事と軽く流すことはできません。無人の民泊施設で日本語の分からない宿泊者が万一避難中に怪我をしたり最悪命を落とすことになった場合は、事業者として責任をとる義務があります。

たとえば、民泊施設内で宿泊中の外国人旅行者が弾く楽器の音が原因で、隣に住む高齢者の体調が悪化したとして、その因果関係を巡って起きた裁判において、宿泊者と宿泊事業者に対して賠償責任を求めるケースもあります。仮に賠償責任があるという判決が下った場合、賠償しなければなりません。

あるいは、宿泊者が慣れない湯船にお湯はりをしたまま外出し、お湯がバスルームからあふれ、階下の天井や室内まで水浸しにしたような場合、階下の人に弁償を求められたら事業者は賠償する義務があります。

そのようなときに保険金が出るかどうか不明な保険に加入していて、安心して民泊運営ができるでしょうか。当協会が提供する補償サービスは、民泊運営における火災、人身、物損等のリスク専門で補償します。だから安心なんです。

中には、事業総合保険で民泊リスクをカバーできると説明され、そのような保険に加入している方もおりますが、本当に民泊における火災、人身、物損事故に対応ができるか確認することも運営者の義務と私は考えております。

編集部:ゲストに安全・安心に利用してもらうためにも、そのようなリスクも含めて認識したうえで運用することが求められるということですね。

AFP・矢野:ほんとうにそうですね。そもそもそこまで行き届いていない代行会社も多く、間違った内容をホストに説明していることもありますね。

民泊運営のリスクに備えた民泊保険

民泊民宿協会・大坂:保険会社は、保険に加入してもらうときは性善説です。しかし、保険金を支払う側になったとたん性悪説に変貌すると一般的に言われております。加入時の申告にミスがあれば、申告義務違反として保険金はおりません。保険会社はこのような場合に備え、契約時に重要事項の説明をしっかり行い、被保険者にはたしかに説明を受けましたと署名をもらっています。

しかし、被保険者は書面より目の前の保険代理店の担当者を信用して、書面の内容には気を留めない。そこで実際に事故が起きたときに被保険者は驚き、交渉はするものの契約には勝てない、ということがないようにする必要があります。

その点、民泊民宿協会のスキームでは、保険契約者は民泊民宿協会で三井住友海上火災保険株式会社と包括保険契約を結んでおり、重要事項の説明は当協会が三井住友海上火災保険株式会社から受けたうえで、当協会の会員となった方には民泊民宿協会の内規として改めて説明をしております。

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編集部:運営時のリスクに対応できる保険かどうかもきちんと精査したうえで運営することが大切ですね。

民泊民宿協会・大坂:住宅宿泊事業法の施行と同時に平成29年警察庁丁備企発246号・警察庁丁国テ発第489号を受けて、住宅宿泊事業法のガイドラインでは、事業者に対して、宿泊者が宿泊名簿に正確に記載するよう働きかけることが求められています。これから2020年のオリンピック、入国管理法改正などによってテロが起こる可能性が増加することを予測した警察当局のテロ対策によるものです。

しかし、民泊事業者がこの根底にある趣旨を理解したうえで宿泊名簿への記載を求め、管理をしているかどうか、私は疑問をもっています。室内キーを先に渡し、室内に備え付けのタブレットでチェックイン操作を外国人宿泊客にお願いして、すべての宿泊者が求めに応じるとは考えにくい。仮にテロ事件に関与した犯人が、運営する民泊施設に宿泊していて、警察当局から宿泊名簿の提示を求められたときに、正確な入力がなく提出できなかったとしたら、本当に怖い話です。

そこで、デバイスエージェンシーの田中社長にドアにチェックイン機を装着して、チェックイン操作を外国人旅行者全員が終わった後にスマートロックが解除されるドアを作れないかという相談をしたのが8月頃でしたが、ついにその商品が完成し、販売を開始しています。

これは、マンションの一室での民泊や戸建てでの民泊事業者にとって画期的な商品だと思っています。何よりも「法令遵守のない事業はなりたたない」の原則から言っても事業者が安心して運営できるということは、利益を得ることと同じぐらい嬉しいことだと思っています。全国の事業者の皆さんには、安心して運営してもらうためにも、ぜひこのシステムの導入をおすすめしたいです。

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デバイスエージェンシー・田中:課題としては2つありました。1つは、原状回復の問題です。ドアを交換したら、交換したドアはどこに保管するのか。また既存のドアに加工してしまうと、原状回復コストは非常に高額になりますので。もう1つは電源でした。廊下の共有部から電源をとると、共益費部分になりますので、そもそも許可が取れるのかと。両方をクリアできる解決策として、ドアスコープの穴を利用することを考えつきました。これならドアの加工も必要ありませんし、中空ボルトを利用することで、室内から電源供給も行えます。試作とテスト運用を繰り返してやっとリリースできましたのでぜひご利用下さい。現在、民泊民宿協会様との共同キャンペーンも実施中です。

セキュリティに配慮したチェックイン対応

編集部:入室前にチェックインを済ませた後、スマートロックも解除できるとなると、遠隔でのフロント業務を気兼ねなく行うことができますね。今回、新たにリリースされたチェックイン機能について、導入のメリットや導入方法、導入にかかるコストなど、詳しく教えていただけますか。

デバイスエージェンシー・田中:導入方法は、エアサポタッチを申し込んでいただき、オプションのドア設置用取付金具をご購入いただくという流れになります。費用は、エアサポタッチの初期費用が19,800円、ドア設置用取付金具が29,800円です。ドアスコープを利用するので、簡単に取り付けることができます。「工事」というレベルでもありません。必要であれば訪問して設置することもできます。地域と件数に応じて、お見積りさせていただきますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。

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編集部:民泊事業者は法律に則った運営を求められる中で、ゲストの個人情報が漏洩しないかどうか等、セキュリティにも配慮する必要があります。ゲストの本人確認を実施するにあたって、タブレット端末を利用する場合にも、タブレット経由で情報が漏洩しないよう、配慮を求められることと思いますが、エアサポタッチではその点においても心配なく利用できるよう、どのような点を考慮して開発されていますか。

デバイスエージェンシー・田中:タブレットには一切の情報は残さずに、すべてクラウドにあげる仕様にしています。そのため端末が盗難にあっても、個人情報は漏洩しません。またタブレットも弊社が用意して管理することで、悪意のあるアプリなどもインストールできないようにしています。もし悪意のあるアプリをインストールされると、外部よりモニターできるので非常に危険ですので。

編集部:ありがとうございます。AFPの矢野様にお伺いします。御社がエアサポタッチを導入した理由と、ゲスト側から使用感についてどのような声があるか、お教えいただけますか。

AFP・矢野:他社のタブレットだと、手入力の項目が多く、ゲストが入力に手間取ることがあります。実際に6人グループで同時に2組がチェックインするといった状況になったとき、クレームをいただいたことがありました。それでエアサポタッチに乗り換えました。エアサポタッチはパスポートのOCR機能があって、パスポートの写真を撮影すると、自動的に文字を入力してくれるので、ゲストの負担は非常に軽くなったと思います。

デバイスエージェンシー・田中:導入されたホスト様からの一番の要望が「ゲストの負担を軽減したい」でした。無人チェックインはホストにとっては便利ですが、ゲストにとってはチェックイン作業など何もしないほうが楽ですし、ホストとしてはチェックインの難しさでゲストから悪いレビューを書かれたくない。その解決策として、パスポートのOCR機能を実装しました。このパスポートOCR機能を実装したチェックインタブレットは弊社だけだと思います。結構コストもかかりましたが。

AFP・矢野:これは便利な機能ですよ。他社のチェックインタブレットを利用していたときに、悪いレビューを書かれることが何回かあったので、本当にありがたいです。

エアサポタッチは、特区民泊・民泊新法・簡易宿泊所施設向けに開発されたセルフチェックインタブレットだ。複数の部屋管理やスマートロックに対応するほか、宿泊施設におけるゲストの本人確認、パスポートチェック、チェックイン・チェックアウトを遠隔で行い、一元管理することができる。英語、韓国語、中国語(簡体・繁体)、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、日本語の8か国語に対応するほか、コールセンター呼出し機能も設けられている。サービスは月額3,980円から利用可能だ。また、アップデートにともない、AIによりパスポート写真とチェックイン時に撮影した写真を解析し同一人物チェックを行う機能や、AIによるOCR機能によりパスポートの自動文字入力を実装し、ゲストのチェックイン時の効率が向上した。

無人運営におすすめのスマートロック

編集部:チェックインと入室がストレスなくできたら、ゲストも満足してくれますね。運営側もチェックイン・本人確認にあたってのリスクなく無人運営ができるのはこれまでにない導入メリットがあると思います。ありがとうございます。それでは、スマートロックについてもお教えいただきたく、ベイコムの原田様にお伺いしたいのですが、スマートロックも各種あるなか、御社が提供するスマートロックについて教えていただけますか?

ベイコム・原田:チェックインされるすべてのゲストに個別の時限パスワードを発行することができるクラウド対応したIoTスマートロックは、今後の民泊運営に必須であると思われます。その中で、当社が提供する「インテリジェントホーム・スマートロック」を導入していただくメリットは3点あると考えております。

1点目は取付方法です。他社サービスのように既存ドアへの穴あけ加工などが不要であるため、工賃が安く、現状回復費も不要です。2点目はすでに国内数万台の設置実績があり、安心してお使いいただけます。3点目は「インテリジェントホーム」は米国ケーブルテレビ最大手のコムキャストの基幹システムですので、特にセキュリティ面の信頼と実績には自信があります。費用については、初期費用が0円、月額利用料が1,750円~です。また、将来的にクラウド対応したスマートロックを導入予定の施設向けに、スマートロック単体で770円でご利用いただけるレンタル提供もしています。

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AFP・矢野:初期費用0円というのは魅力的ですね。キーボックスを利用していると、鍵の紛失や入れ間違い、鍵のコピーなどのセキュリティ面のリスクが伴うので、早くスマートロックに変えたいと思っていました。ただ、導入コストが予想以上に高くて…。例えば弊社の1棟30室ある物件で普通にスタンドアローンのスマートロックを購入して取り付けると、それだけで100万円以上かかるんです。その点、ベイコムさんだと自分でつけたら初期費用0円で導入できるのでいいですよね。各社のPMSともAPI連携しているので、自動的に各ゲストにパスワードの付与と送信をしてくれるので管理も簡単です。スマートロック単体提供プランだと、初期費用無料で毎月770円で導入することができるので、リネン室など毎回パスワードを変更する必要がない場所で試してみて、そこから本格導入なんていうのもありですね。

ベイコム・原田:ちなみに、3年間ご利用いただくと、機器本体は無償譲渡になります。

デバイスエージェンシー・田中:それとエアサポタッチをご利用される方であれば、ベイコムとの共同キャンペーンで、100~400円の値引きがありますので、最安価格は670円からご利用いただけます。あわせて、ぜひご検討下さい(笑)。

編集部:導入が容易でも本体が外れてしまうかもしれないスマートロックを取り付けるのは、民泊運営においてゲストの安心・安全を確保するという面やセキュリティ面で不安が生じることは、これまでにお伺いした中からも課題となることがわかりました。その点、インテリジェントホームのスマートロックであれば、安心して活用できそうですね。

スマートロック比較表

インテリジェントホーム
スマートロック 
リモートロック
(RemoteLock)
リンキー
(L!NKEY)
製造国 韓国 アメリカ 韓国
鍵形式 本格錠 本格錠 本格錠
原状回復 〇(錠前流用)
対応メーカー数◎
×(穴開け加工) 〇(錠前流用)
対応メーカー数△
施行性 〇(引戸〇) ×(引戸×) 〇(引戸〇)
鍵穴残し ◎(選択可) 〇(鍵穴付き) ×
遠隔開錠 暗証番号/URL 暗証番号 暗証番号
電池寿命 1年 3か月 1年
エントランス対応 〇(12万円~) 〇(60万円~) ×
機器代 0円(機器保証あり) 37,800円 64,800円
工事費 DIYの場合0円(16,200円~) 32,400円~ 16,200円~
月額料金 1,750円/台~
(※機器単体プランは770円)
1,620円/台~ 540円
総コスト(3年) 63,000円 128,520円 100,440円

AFP・矢野:ちなみに、オートロックの場合はどうされていますか?チェックイン機がそもそもオートロック内にあると、事前に共通キーの管理番号を教えないといけないですよね。民泊専用マンションだと問題ないけど、一般の居住者との混在の場合、クレームになることもありますよね。

ベイコム・原田:この要望については当社も認識しており、デバイスエージェンシー様と共同で開発し、既に提供可能です。専用取付金具をマンションエントランスに設置することで、今あるインターホン等の設備を残したまま、当社スマートロックを利用してオートロックに対応可能です。

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デバイスエージェンシー・田中:近日中に、エアサポタッチPMSというサービスを開始します。このサービスを利用いただくと、オートロック用と各室用の時限キーを2つ、自動で管理できるようになります。

編集部:最後に、法律に則った運用のために、このサービスを利用して運用すれば問題ないというサービスの組み合わせ方を教えていただけますか。

デバイスエージェンシー・田中:室外に設置したチェックインタブレットとお客様ごとに発番できるスマートロックの組み合わせは必須です。あわせてサイトコントローラーPMSを利用することで、業務を効率化できます。

編集部:これまでのお話しで、法令を遵守しながら無人運営を安心して行うことができるように仕組みが整ってきており、運用工数も削減しながらゲストに満足してもらえるようにできることがよくわかりました。皆様、ありがとうございました。

編集後記

ここまでの座談会の内容から、無人運営の際にはゲストの安全・安心のためにも、セキュリティを高めるために必要となる最低限のコストも考慮しながら運用することで、ゲスト満足度の向上を図りながら上手に集客し、対応することができることがおわかりいただけたのではないかと思います。今回ご紹介した各社のサービスを参考にしながら運用手法を工夫することで、無人運用でも収益をあげつつ、ゲストの快適な滞在を実現してみてください。

※インテリジェントホームは、イッツ・コミュニケーションズ株式会社の登録商標です。

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(Livhub編集部)