不動産投資には様々な手法、投資先となる物件の種類があり、「マンション投資の利回りは?」「アパート経営のリスクは大きい?」「民泊投資と賃貸経営はどちらが良い?」などのような疑問を持たれる方も少なくないのではないでしょうか?
これから不動産投資を始めるのであれば。それぞれの投資方法の特徴を理解し、収益性やリスクを慎重に比較検討することが重要です。
そこで本記事では、投資初心者の方向けに、それぞれの投資方法の利回り、リスクを分かりやすく比較します。投資物件を選ぶ際の参考としてみてください。
1.不動産投資における利回りとは?
不動産投資では、利回りという概念がよく使われます。通常、利回りとは、次のように計算されます。
年間家賃収入÷物件価格×100=表面利回り(%)
利回りとは「物件価格に対して年間いくらぐらいの家賃収入が得られるか」という割合になります。1000万の物件があり、表面利回りが10%であったら、年間100万の家賃収入が得られるということです。
これに対して、諸経費まで考慮に入れ、物件価格に対する手取り収入の割合を計算したのが、実質利回りです。実質利回りの計算式は次のようになります。
年間家賃収入÷(物件価格-諸経費)=実質利回り(%)
諸経費は正確な数字を算出することが難しいこともあり、投資用の広告では表面利回りを表示することが多いといえます。
2.マンション投資の特徴
マンション投資は、通常は、区分マンションと呼ばれるマンション一棟のうちの一室を購入して貸出し、家賃収入を得ることで運用します。
RC構造のマンションの法定耐用年数は47年と長く、管理費などを支払う代わりに建物共用部の管理修繕の手間なく、長期間運用収入を得ることができます。
他の物件タイプと比較して売買の流動性も高いことから、運用収入を得たあとに売却することも比較的容易といえます。
1-2.マンション投資の平均利回りは?
利回り相場は、地域や物件の築年数によっても異なりますが、平均的なマンション投資の利回りは、築20年前後で5~6%程度となります。
また、ホームズの賃貸経営サイトでは実際に売りに出されている収益物件と家賃相場から、想定される地域ごとの利回りをみることができます。たとえば、2020年7月現在、東京都目黒区の区分マンションの利回りは、3.9%となっています。
マンション投資では築年数が浅く人口が多いエリアの物件ほど高値になるため、期待利回りが比例して低くなる傾向にあります。このような物件は利回りが低くなる半面、長期間高い入居率を保持できる可能性が高いメリットもあります。
1-2.マンション投資の主な3つのリスク
マンション投資の主なリスクとしては、空室リスク、滞納リスク、金利上昇リスクがあります。
区分マンションは流動性が高いため、運用が厳しくなってきたら売却して手放してしまうという手段を採ることも可能です。他方、他の不動産投資と比較して表面利回りが低くなるため、できるだけリスクを回避して運営しましょう。
空室リスク
空室リスクは、投資用マンションに入居者が付かないリスクです。賃貸需要の多い都心駅近の物件などを購入したり、サブリースにして空室賃料保証を受けたりすることで、ある程度リスクを低減することができます。
ただし、築年数が経過すると賃貸需要が多い地域であっても空室リスクは高まります。マンションの空室率が高くなると家賃の下落やリノベーションなどの対策を講じることとなり、徐々に収益性が下がることとなります。
滞納リスク
滞納リスクとは、入居者が家賃を払わずに居座ってしまうリスクのことです。滞納中は家賃収入がないうえに、居座られると新しい入居者も募集できないことになり、注意しておきたいリスクといえます。
ただし、保証会社の保証に入っておけば家賃保証を受けることができます。また諸費用や期間はかかりますが、強制執行の手続きを踏むことで退去してもらうことも可能です。
金利上昇リスク
金利上昇リスクは、ローンを借りて物件を取得した場合、変動金利により金利が上がって返済額も増えるリスクです。このような事態が生じた場合は、繰上げ返済やローンの借り換え、あるいは物件自体を売却することで対処することができます。
2.アパート経営の特徴
アパート経営は、複数の世帯に貸し出すことのできる賃貸用アパートを一棟ごと購入し、運用するというものです。マンション投資と比べて大きく異なるのは、投資額が大きいこと、と土地が手に入ること、であると言えます。
投資額が大きくなることでその分リスクが増えるものの、スケールメリットも働きます。一戸の区分より、一棟ごと管理を委託した方が管理コストの割合は低くなる傾向があります。
また、マンション投資では土地は区分所有でしたが、アパート経営では土地全体の所有権が手に入ります。
2-1.アパート経営の平均利回りは?
ホームズの賃貸経営サイトでは、実際に売りに出されている収益物件と家賃相場から、想定される地域ごとの利回りをみることができます。たとえば、2020年7月現在、東京都目黒区の一棟アパートの利回りは4.3%となっています。
アパート経営の利回りも地域や築年数によって異なりますが、平均的な利回りは、5~11%程度となります。
マンション投資と比べると、若干、利回りは大きくなる傾向にあります。投資においては、利回りとリスクは反比例する傾向があり、投資額が大きくなりニーズが限定されてリスクも増えることが高利回りという結果に影響していると思われます。
2-2.アパート経営のリスク
アパート経営においても、マンション投資のリスクと同様、空室リスク、滞納リスク、金利上昇リスクがあります。
空室リスクと滞納リスクについては、区分一室ではなく複数室になる分リスクの分散が可能になって、マンション投資より軽減されます。しかし、金利上昇のリスクは借入額が大きい分、マンション投資より大きくなるといえます。
また、マンション投資と比較すると、修繕リスクが増大するのが特徴的です。アパートでは共有部分がなく、一棟すべてがオーナーの所有であるため、アパート全体の修繕費のすべてがオーナー負担になります。
修繕リスクには、オーナー自身が現金を積み立てたり、ローンを組んだりして対応することになります。金利リスクも含め、マンション投資と比べると賃貸事業を経営していく上でのリスク管理が求められるといえます。
3.民泊投資の特徴
民泊投資は、自己所有か賃貸か、区分マンションか一棟物件か、住宅宿泊事業法によるか、旅館業法によるか、など様々な方法があります。
宿泊料が運用のベースになるため、収益性が高いのが特徴です。その分、宿泊事業としての手間やリスクが増えます。
ここでは、民泊の初心者の始め易さや、投資額とリスクをなるべく低く抑えることを考慮し、既に民泊事業を運営していた区分マンションを賃貸で運用する場合の民泊投資を考えていきます。
3-1.民泊投資、利回りのシミュレーション
M&Aサイトで実際に売りに出ている物件を購入し、住宅宿泊事業法で運用した場合を考えてみましょう。利回りは、民泊事業としての実質利回りで次のように算定します。
実質利回り=(年間総売上―年間諸経費)÷物件価格
2019年以前、住宅宿泊事業法で運用していた、渋谷駅徒歩3分、39平米のデザイナーズマンションでの運営権と家具・寝具・小物一式を、売主の希望価格120万円で購入し、運用した場合の利回りを考えます。売主の情報によると、コロナ前の売上は月80万円となっています。
ただし、住宅宿泊事業法での運用では、年間180日(6カ月)の運営しかできないため、残りの期間は一般賃貸の相場でそのまま転貸して利益も損失もでなかったものとします。
家賃は、賃貸ポータルサイトによると、この条件の相場からすると約20万円と予想されます。民泊の運営管理費用は、代行サービス業者や宿泊サイトの手数料を併せて、大まかに売り上げの30%程度と考えられます。
このように考えると、想定利回りは次のように算出できます。
想定利回り=(800,000×70%×6-200,000×6)÷1,200,000×100=180%
コロナ前の売上に戻ると仮定すると、想定利回り180%となり、マンション投資やアパート経営とは比較して非常に高いことが分かります。
3-2.民泊投資のリスク
民泊投資のリスクは、主に宿泊事業に関係するリスクです。コロナショックのように、宿泊ニーズが減少すると運用収入は大きく減ってしまうリスクがあります。
上記の利回りを検討した物件は、2020年6月時点で、売上がコロナ前の4分の1から3分の1程度に落ちています。マンションやアパートの賃貸と比較して、毎月の売上が大きく変動してしまうため、収益性の反面リスクが大きい投資方法ともいえるでしょう。
賃借料が発生していること考えると、おそらく、毎月の収支は赤字と思われます。そのほか、宿泊者は不特定多数の人であり、何らかのトラブルが起きるリスクもあります。
民泊投資は事業投資の側面が強く、マンションやアパートの賃貸経営と比較して大きな経営上のリスクを負う覚悟が必要といえるでしょう。
これから民泊投資を検討するのであれば、まずは少額投資が可能なクラウドファンディングによる投資も並行して検討してみましょう。クラウドファンディングであれば物件を保有して管理する手間やリスクを省きながら、間接的に民泊物件へ投資することが可能です。
不動産投資クラウドファンディングには、1万円などの少額から投資可能な「CREAL」や、全ての投資案件に不動産担保を設定している「LENDEX」などがあります。
【関連記事】クラウドファンディングで民泊投資、物件運用との違いや判断のポイントは?
まとめ
今回はマンション投資、アパート経営、民泊投資の3つの投資方法を比較しました。
マンション投資やアパート経営に比べ、民泊投資は高い利回りで運用可能な物件も見られます。しかし、民泊投資の利回りは宿泊ニーズによって大きく変わります。現在のコロナウイルスの影響によっては赤字となり、経営に苦しむ民泊物件も少なくありません。
それぞれの投資方法のリスクと利回りは反比例する傾向にあります。利回りだけを重視せずにリスクを十分に理解したうえで、自分の背負うことができる範囲のリスクがどの程度なのか慎重に検討することが大切です。
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