朝ラーメン、お茶、地酒。静岡県藤枝市の味を囲みながら、首都圏に暮らす出身者やゆかりのある人が出会う夜が、11月13日に東京・大手町で開かれる。
この催しを開く藤枝市は、関係人口や二地域居住者を増やすため、産学官が連携する「関係人口・二地域居住促進協議会(藤枝推し活協議会)」を設立し、2026年10月5日に設立総会を開いた。人口減少が進むなかでも、持続可能で活力ある地域をつくるのがねらいだ。
協議会は、市内3つのエリアの特徴を生かした関わり方を用意していく。今年度は首都圏の企業などと組み、副業や事業化につながるモデルプログラムづくりにも取り組む。
関係人口とは、移り住んで暮らす「定住人口」でも、観光で一時的に訪れる「交流人口」でもなく、仕事や趣味、応援などを通じて特定の地域と継続的に関わる人々を指す言葉だ。
二地域居住は、都市と地方など2つの地域に生活の拠点を持つ暮らし方を指す。
協議会が増やそうとしているのは、藤枝を好きになり、何度も訪れ、地域を応援してくれる人たちだ。市はこうした人を「藤枝推し(エダオシ)」と呼んでいる。
設立総会では、藤枝市の北村正平市長が決意表明を行った。
市長は「人口減少が進む中、従来の移住・定住施策に加え、藤枝を好きになり、何度も訪れ、地域の魅力をともに高めてくれる『エダオシ』との関係を深めることが重要である」と述べた。
あわせて、市外の多様な知識や経験を持つ人々とのつながりが地域に新たな活力をもたらすとし、官民一体の「オール藤枝」で、藤枝ならではの関わり方をつくっていく考えを示した。
移住・定住を促すこれまでの施策に加えて、住まいを移さない人との関係づくりを柱に据えた点が、今回の協議会の出発点になっている。
基調講演は、総務省自治行政局地域政策課の地域情報化企画室長が務めた。「ふるさと住民登録制度」の仕組みや今後の展望を交えながら、関係人口の拡大が地域の担い手確保や活性化、地域経済の好循環につながる意義を解説した。
東京で始まる「#0」のファンミーティング
協議会の取り組みの第一弾が「藤枝(エダ)推し!#0 藤枝ファンミーティング」だ。
11月13日(金)の午後6時30分〜午後8時30分に、東京都千代田区大手町の「3×3Lab Future」で開かれる。
対象は、首都圏に住む藤枝市出身者や、家族・友人・仕事などを通じて藤枝にゆかりのある人だ。
市の案内ページには「藤枝に詳しくなくても大丈夫です」とある。「ちょっと気になる」「久しぶりに藤枝を感じたい」という気持ちからの参加も受け入れる姿勢を示している。
当日は、市の紹介に続いて、藤枝の「食」を紹介し、試食の時間を設ける。朝ラーメンやお茶、地酒、藤枝の新しい食などを囲みながら、同郷の人や藤枝に縁のある人たちと出会う場にするという。
ゲストトークには、藤枝市出身で、ABC Cooking Studio代表取締役会長の志村なるみ氏が登壇する予定だ。交流タイムのほか、藤枝との関わり方を紹介する時間も組まれている。
申し込みは10月1日から10日までの先着順で受け付けられ、藤枝市の発表によると定員に達した。
市は今後も参加者とのつながりを深め、来訪や地域活動への参加、情報発信など、さまざまな形で藤枝と関わるきっかけをつくっていくとしている。
3つのエリアで、関わり方の入口を変える

藤枝市は独自のアンケート調査などを踏まえ、4つの柱で施策を進める。①きっかけづくり、②受入体制の整備、③継続的な関わりの促進、④連携による推進体制の構築だ。
最初の入口として市が挙げるのは、アンケートでニーズのあった農作業やスポーツイベントの支援など、気軽に参加できる関わりだ。そこから少しずつ、市のまちづくりと連動した活動へつなげていく。
そのうえで、市内を3つのエリアに分け、それぞれ異なる関わり方を用意していく方針だ。
JR藤枝駅南口周辺の中心市街地は、スタートアップの活動が進むエリアだ。副業や企業へのコンサルティング、イベント運営の支援などを通じて関わる人を迎え、ビジネス拠点の形成や新しい産業づくりにつなげる。
旧市街地では、ミュージシャンの活動が活発になっている。音楽イベントの運営支援や商店街の活動を入口に、文化を生み出し続ける土台と、人とのつながりを育てていく。
中山間地域では、革新的なアートによる地域づくりが進んでいる。陶芸センターの支援、援農、里山保全を通じて、陶芸文化の発展や農家の販路開拓など、地域が自立して発展できるようにしていく考えだ。
仕事、音楽と文化、自然と陶芸と、エリアごとに関わり方の切り口が分かれているのが特徴だ。市は「訪れるだけでなく、仕事や文化、自然体験などを通じて継続的に藤枝と関わる人を増やしていきます」としている。
今年度の重点事業は、首都圏の企業などとの連携だ。企業のビジネススキルと地域資源をかけあわせ、副業や事業化につながるモデルプログラムをつくる。
藤枝市の発表によると、この事業は国土交通省の「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」に9月29日付で採択された。
国交省はこの事業を、二地域居住などをめぐる中長期的な課題の解決に向けた先導的な取り組みを支援し、課題や効果・影響を検証して、対策や取り組みの実装を図るものと位置づけている。
今回、国交省はこの事業(3次公募)と「特定居住支援法人モデル構築実証調査(2次公募)」をあわせて、15件の採択を決めたと発表している。
気軽な手伝いから始めて、まちづくりや仕事へと段階的に関わりを深めてもらう。旅行者やファンにとどまらず、首都圏で働く人のスキルを地域の担い手につなげるところまでを一つの流れで描いている点が、藤枝市の取り組みの特色といえる。
旅先で出会った地域と、帰ってからもつながっていたい。藤枝推し活協議会の取り組みは、そうした気持ちを、農作業やイベントの手伝い、音楽、陶芸、そして仕事へと広げていく入口を、市の側から用意しようとするものだ。
関わってみたいと感じたら、ファンミーティングの窓口になっている市の広域連携課を手がかりにしてはどうだろう。連絡先はファンミーティングの案内ページに載っている。
地域に通う暮らしを住まいの面から考えたい人には、Livhub の二拠点・多拠点居住・コリビングの記事や、定額住み放題サービス「ADDress(アドレス)」の料金や仕組みを紹介したページも参考になる。
【参照記事】
- 藤枝市、関係人口・二地域居住の創出に向け「藤枝推し活協議会」を設立 | 藤枝市役所のプレスリリース(静岡県藤枝市(藤枝市役所)、2026年10月22日)
- 「藤枝(エダ)推し!#0 藤枝ファンミーティング」を東京で開催します!/藤枝市ホームページ(静岡県藤枝市、2026年9月25日)
- 報道発表資料:二地域居住の促進に資する取組を支援します!
~令和7年度補正予算による2事業の交付決定~ – 国土交通省(2026年9月30日)
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