二拠点生活の費用の目安は?住まい・移動・暮らしで考える6つの判断軸

実った稲穂の田んぼの奥に並ぶ古い民家と山並み

二拠点生活の費用の目安は?住まい・移動・暮らしで考える6つの判断軸

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金曜の夜に都市の部屋を出て、海の近くの町へ向かう。月曜の朝には、いつもの仕事の机に戻っている。そんな暮らしを思い描いたとき、最初に引っかかるのは「結局、月にいくらかかるのか」という問いかもしれない。

二拠点生活の費用は、住まい・移動・暮らしの3つを足したものだ。ただ、その中身は、どのくらいの頻度で通うのか、行き先の地域とどう関わりたいのかで大きく変わる。同じ「月に10泊」でも、部屋を借りるか、サブスク住居を使うか、定額で住み替えるかで、お金の出ていき方はまるで違う。

費用を節約の計算だけで見ると、新しい土地での暮らしの手ざわりを取りこぼしやすい。自分がその場所とどんな関係を結びたいのかから逆算すると、無理のないかかり方が見えてくる。

1. 二拠点生活の費用は「住まい・移動・暮らし」で組み立てる

室内で電卓を操作して金額を計算する手元

二拠点生活とは、2つの地域に生活の拠点を持ち、行き来しながら暮らすことだ。その費用は、大きく3つに分けて考えると見通しがよくなる。

  • 住まいの費用: 2つ目の拠点の家賃や月額料金、契約時の初期費用、家具・家電をそろえる費用。
  • 移動の費用: 拠点のあいだを行き来する交通費。往復の回数が増えるほど大きくなる。
  • 暮らしの費用: 光熱費・通信費、食費、地域での買い物や行事への参加など、滞在中の生活にかかるお金。

誰にでも当てはまる「月◯万円」という平均は出しにくい。距離も、通う回数も、選ぶ住まいも、人によって違うからだ。

そのかわり、次の式に自分の数字を入れると、自分にとっての目安がつかめる。

月の費用 = 住まいの月額 +(往復の交通費 × 月の往復回数)+ 滞在中の暮らしの費用 + 初期費用を使う月数で割った額

1-1. 試算例: 式に当てはめてみる

料金が公式に示されている2つのサービスで、住まいの部分だけを埋めてみる。空欄には、自分の経路の交通費と、滞在中に使いそうな額を入れてほしい。

  • 例1: 月に1往復し、まとめて滞在する。住まいはADDressの5枚プラン(予約チケットが月5枚付く。月額1万9,800円、税込)。月の目安 = 1万9,800円 +(往復の交通費 __円 × 1回)+ 暮らしの費用 __円
  • 例2: 月に2往復し、宿に泊まる。住まいはHafHの500コイン(500コイン × 32円 + 基本料金200円 = 月額1万6,200円)。月の目安 = 1万6,200円 +(往復の交通費 __円 × 2回)+ 暮らしの費用 __円

この2例なら、住まいの部分はどちらも月1万円台に収まる。ただし、チケットやコインで何泊できるかは、泊まる家・宿によって変わる。そして、月の目安を大きく動かすのは残りの空欄だ。遠い拠点に何度も通うなら、交通費が住まいの額を上回ることもある。目安を知る近道は、住まいの額より先に、自分の往復の交通費を1回分調べてみることだ。

この式のどこが大きくなるかは、次の6つの軸で決まる。

2. 二拠点生活の費用を左右する6つの判断軸

2-1. 通う頻度と、1回あたりの滞在の長さ

費用の構造を最初に決めるのは、月に何日を2つ目の拠点で過ごすかだ。月に数日なのか、毎週末なのか、月の半分なのか。

滞在日数が少ないほど、毎月決まった額がかかる住まいは割高になる。反対に日数が多いほど、使った分だけ払う形より、固定の住まいのほうが落ち着きやすい。

確かめ方: これから3か月分のカレンダーに仕事や家族の予定を入れ、そのうえで通えそうな日を書き出す。理想の日数ではなく、実際に動ける日数で数えるのがこつだ。

よくある失敗: 「毎週行くはず」と長めの賃貸契約を結んだものの、仕事の繁忙期に通えない月が続き、空いた部屋に家賃を払い続けてしまう。最初の数か月は、通う頻度そのものを試す期間と考えると気が楽になる。

2-2. 地域とどう関わりたいか

同じ町の同じ家に通い続けると、商店や近所の人と顔見知りになり、地域の行事に声がかかることもある。いくつもの地域を巡る暮らしなら、出会いの幅が広がる。

通い続けるうちに、関係は少しずつ育っていく。最初はただの客だった八百屋で、ある日「今週も来たんだね」と声をかけられる。都市で桜が散ったころに、もう1つの町ではまだつぼみがふくらんでいる。2つの土地で季節の移ろいを重ねて感じられるのは、行き来する暮らしならではの楽しみだ。

どちらがよいという話ではない。望む関わり方によって、合う住まいのかたちが変わる。

1つの町と深く関わりたいなら、その町に部屋を借りる選択が視野に入る。行き先がまだ決まっていない、いくつかの地域を見比べたいなら、定額で住み替えられるサービスのほうが身軽だ。

確かめ方: 「その地域で何をしたいか」を3つほど書き出す。畑を手伝う、地元の店に通う、子どもと自然の中で過ごす、などだ。答えが1つの町に集まるか、いくつかの町に散らばるかで、方向が見えてくる。

よくある失敗: 月額の安さだけで拠点を決め、地域と関わるきっかけがつかめないまま、ただの「寝る場所」になってしまう。費用は、暮らしの目的とセットで比べたい。

2-3. 住まいの持ち方: 借りる・サブスク住居・定額で住み替える

2つ目の拠点の住まいは、大きく3つのかたちに分けられる。サブスク住居とは、家具・家電付きの部屋を月単位で借りられる住まいのサービスのことだ。それぞれ、費用のかかり方が違う。

※表は横にスクロールできます。

住まいのかたち 費用のかかり方 料金・手数料の例(2026年10月時点) 特徴 おすすめな人
一般の賃貸を借りる 毎月の家賃が固定でかかる。契約時の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)や、家具・家電の購入費もかかりやすい 物件・地域によって異なる 自分の部屋として、荷物を置いたまま使い続けられる 通う町が1つに決まっていて、滞在日数が多い人
サブスク住居・家具付きの短期賃貸(シェアハウスを含む) 月単位で借りる。初期費用を抑えたしくみを用意するサービスもある クロスハウス: 賃料は物件ごとに異なる。敷金・礼金・仲介手数料0円/unito: 初回登録料9,800円 家具・家電をそろえずに始められる お試しで暮らしたい人、都市側の拠点を身軽にしたい人
定額で住み替える多拠点サービス 月額料金を払い、付与されるチケットやコインで家・宿を予約する ADDress: 月額980円〜19万9,600円の7プラン(税込)/HafH: 月額=コイン数×32円+基本料金200円(100コインで3,400円、2,000コインで6万4,200円) 予約しだいで、さまざまな地域の家・宿に滞在できる 行き先を決めきれていない人、いくつもの地域を巡りたい人

「費用のかかり方」の欄は一般的な傾向をまとめたもので、料金の例は各サービスの2026年10月時点の公式情報をもとにしている。詳細と最新の条件は、各社の公式情報で確かめてほしい。

ADDress は、月々のチケット付与枚数に応じたプラン制だ。コミュニティプラン980円、2枚プラン9,800円、5枚プラン1万9,800円、10枚プラン3万9,600円、15枚プラン5万4,400円、30枚プラン9万9,800円、60枚プラン19万9,600円(いずれも税込)がある。

入会時には10枚プランと60枚プランは選べない。980円のコミュニティプランを契約している間も家に滞在でき、一定期間使うと特典で予約チケットが1枚付く。チケットを使うには、日本国内で発行された本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提出が要る。

HafH は、毎月のコイン数を100〜2,000コインのあいだで50コイン刻みで選び、そのコインで宿を予約する。1コインは32円で、月額料金はコイン数×32円に基本料金200円を足した額になる。

確かめ方: 3つのかたちを、「1か月で何泊、どこに泊まれるか」に置き換えて比べる。定額サービスなら、行きたい家・宿の予約に必要なチケットやコインの数から、月の泊数を逆算する。

よくある失敗: 月額の数字だけを横に並べてしまう。サブスク住居の月額は1つの部屋を押さえる料金で、定額サービスの月額は予約に使う枠の料金だ。同じ「月額」でも、払って得ているものが違う。

2-4. 初期費用と、最初の数か月の支払いのタイミング

表示されている月額や賃料と、最初に実際に払う金額は同じではない。二拠点生活の予算が崩れやすいのは、この最初の数か月だ。

一般の賃貸では、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用に加え、家具・家電をそろえる費用もかかる。2つ目の拠点でこれをもう一度そろえると、最初の出費は大きくなりやすい。

サブスク住居や家具付き賃貸には、この部分を軽くしたしくみがある。クロスハウスは、敷金・礼金・仲介手数料が0円だ。

一方、unito は初めて使うときに初回登録料9,800円がかかる。2回目以降の利用や、契約終了後に期間が空いた場合はかからない。

支払いのタイミングも見落としやすい。unito の場合、契約完了日が1〜8日なら当月27日に「初期費用+初月賃料」を払う。9日〜月末なら、翌月27日に「初期費用+初月賃料+2か月目の賃料」をまとめて払う。月の後半に契約すると、最初の支払いに3つが重なるわけだ。

確かめ方: 月額のほかに、登録料・契約料・清掃費・退去時の費用がかかるかを、契約前に料金ページや規約で読む。キャンセルや中途解約の条件も、この段階で読んでおくと安心だ。

よくある失敗: 月額だけで予算を組み、初月にまとまった支払いが来て慌てる。最初の3か月の支払いを一覧にしておくと、手元の資金計画が立てやすい。

2-5. 移動の費用と、移動にかかる時間

移動の費用は往復の回数に比例して増える。通う頻度が上がるほど、月の費用の中での存在感が大きくなる。

確かめ方: 実際に使う経路と手段(電車、高速バス、車、飛行機など)で往復の交通費を調べ、月の往復回数をかける。車なら燃料代や高速料金、駐車場代も入れる。移動にかかる時間も、仕事に使えない時間として一緒に書き出しておく。

よくある失敗: 住まいの月額だけで拠点を比べ、移動費を「あとで考える」にしてしまう。住まいが安い遠くの拠点より、少し高くても近い拠点のほうが、月の合計では軽くなることもある。

移動の時間を、本を読んだり景色を眺めたりする時間として楽しめるかどうかも、続けやすさに関わる。数字に表れない部分だが、通い続けられるかを左右する大事な点だ。

2-6. 暮らしの固定費が二重になるかどうか

2つの拠点で暮らすと、光熱費・通信費・家具などが二重にかかりやすい。一般の賃貸を2つ持つと、電気・ガス・水道・インターネットの契約もそれぞれに必要になる。

サブスク住居では、どこまでが料金に含まれるかがサービスや物件によって違う。unito も、設備や料金に含まれる内容は物件ごとに違うとしている。

二重の固定費を抑えるには、都市側の住まいを軽くする考え方もある。unito の「リレント」は、家に帰らない日をアプリで申請すると、その日数に応じて家賃が下がるしくみだ(部屋によっては対象外)。unito の公式サイトによると(2026年10月時点)、月額18万円の部屋で10日リレントすると、その月の家賃は12万円になる。地方にいる間の都市の部屋代が下がるので、二拠点の暮らしと相性のよいしくみといえる。

地域で暮らす費用も見ておきたい。滞在中の食費や日用品に加え、車がないと動きにくい地域では、レンタカーやカーシェアの費用がかかることもある。地域の行事への参加や地元の店での買い物は、費用であると同時に、その土地との関係をつくる時間でもある。

確かめ方: 2つ目の拠点で暮らす1週間を想像し、食事・移動・通信・地域での過ごし方にかかるお金を書き出す。料金に含まれるもの・含まれないものは、契約前に住まいの案内で読んでおく。

よくある失敗: 都市の家の固定費をそのままにして、地方の拠点の費用を「上乗せ」で考えてしまう。2つの暮らしを合わせて組み直すと、軽くできる余地が見つかりやすい。

3. あなたはどのタイプ?暮らし方別の住まいの選び方

6つの軸を、暮らし方のタイプに当てはめると、合う住まいのかたちが絞れてくる。

3-1. 地方に軸足を移し、都市の拠点は身軽にしたい人

平日の多くを地方で過ごし、都市には仕事や用事のときだけ戻る。そんな暮らしなら、都市側の住まいを小さく軽くしておくと、固定費を抑えやすい。

クロスハウスは、シェアハウスや家具家電付き賃貸を扱う。賃料は物件ごとに異なり、敷金・礼金・仲介手数料は0円だ。2つ目の拠点のために家具・家電を買いそろえる必要がないので、最初の出費を小さくしたい人に合う。

向いていない人: 台所や水まわりを人と分け合うのが苦手な人には、シェアハウスは合いにくい。その場合は家具家電付き賃貸のほうが落ち着ける。共益費などを含めた月の支払いは、契約前に物件の案内で読んでおきたい。

3-2. 都市の部屋でも、人とのつながりがほしい人

オークハウス公式サイト

画像出典:オークハウス(2026年10月時点)

地方では地域の人と関わり、都市に戻れば同じ家に住む人たちと食卓を囲む。拠点が2つになっても、どちらでもひとりきりにならない暮らし方がある。

オークハウスは1992年創業のシェアハウス運営会社で、家具・家電付きのシェアハウスやアパート、大規模なソーシャルレジデンスを運営している。ソーシャルレジデンスとは、個室を持ちながら、ラウンジやキッチンなどの共用スペースで住人同士が交流できる集合住宅のことだ。

敷金・礼金・仲介手数料は0円で、連帯保証人は要らない。最短1か月から契約できるので、都市の拠点を短めに持ちたいときにも使いやすい。空室の情報は15分ごとに更新され、問い合わせは日本語・英語・韓国語・中国語・フランス語で24時間受け付けている。

向いていない人: 都市の部屋を「荷物を置く場所」と割り切っている人には、共用スペースの魅力は生きにくい。気になる物件の家賃・共益費・退去の条件は、問い合わせの前に物件ページで読んでおくとよい。

3-3. まずは短い期間、知らない町で暮らしを試したい人

goodroom サブすくらし公式サイト

画像出典:goodroom サブすくらし(2026年10月時点)

二拠点生活を始めるかどうか、まだ決めきれていない。そんな段階なら、いきなり部屋を借りるより、短い期間で暮らしを試すほうが、費用の失敗が小さく済む。通う頻度や移動のしんどさも、実際に暮らしてみると数字で見えてくる。

goodroom の「サブスくらし」は、全国のホテルやマンスリーマンションに、1か月から(ホテルは最短14日から)住み替えながら暮らせるサブスクだ。家具・家電が付いていて、最短で翌日から入居できる。

初期費用は初回の9,800円だけで、敷金・礼金・仲介手数料は0円(24か月の賃貸プランは除く)。毎月の費用は、goodmembers の会員費980円と、施設ごとに違う家賃だ。拠点によっては、ラウンジやコワーキングスペース、サウナといった共用部も使える。

向いていない人: 1つの町に腰を据え、自分の家具を置いて暮らしたい人には、ホテルやマンスリーで暮らす形は落ち着かないかもしれない。

3-4. 通う先を決めず、いくつもの地域を巡りたい人

行き先を1つに絞らず、季節や仕事に合わせて滞在先を変えたい人には、定額で住み替える多拠点サービスが合う。ADDress はチケット、HafH はコインで予約するしくみで、月に使う量に合わせてプランを選べる。

料金のしくみや拠点の特徴は、定額住み放題サービス「ADDress(アドレス)」の口コミ・評判・料金と、旅のサブスク「HafH(ハフ)」の評判と口コミで詳しく扱っている。

向いていない人: 毎回同じ家に泊まりたい人や、荷物を置いたままにしたい人には、自分の部屋を借りる形のほうが合う。

3-5. 都市の部屋を、留守のあいだも無駄にしたくない人

都市に住まいを持ちつつ、月の何日かを地方で過ごす。この形で気になるのは、留守中も払い続ける都市の家賃だ。2-6で触れた unito のリレントのように、外泊した日数に応じて家賃が下がるサブスク住居は、その悩みに応える選択肢になる。

物件のタイプや初期費用の考え方は、サブスク住居「unito(ユニット)」の評判と口コミで扱っている。

向いていない人: リレントの対象外の部屋もあり、留守にする日を申請する手間もかかる。外泊が月に数日しかない人は、割引の効果を感じにくい。

4. まとめ

二拠点生活の費用は、住まい・移動・暮らしの合計で決まる。その中身を左右するのは、次の6つの軸だ。

  • 通う頻度と、1回あたりの滞在の長さ
  • 地域とどう関わりたいか
  • 住まいの持ち方(借りる・サブスク住居・定額で住み替える)
  • 初期費用と、最初の数か月の支払いのタイミング
  • 移動の費用と、移動にかかる時間
  • 暮らしの固定費が二重になるかどうか

どの軸も、出発点は「どのくらい通い、その土地で何をしたいか」だ。安さだけで選んだ拠点より、関わりたい暮らしに合った拠点のほうが、結果として無理なく続きやすい。

次の一歩として、3か月分のカレンダーに通えそうな日を書き出し、1章の試算例の空欄を自分の数字で埋めるところから始めてみてはどうだろう。自分の目安が見えたら、3章でタイプが近かったサービスの紹介ページを読むと、具体的な選択肢がぐっと絞れてくる。

※この記事は、2026年10月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

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Livhub 編集部

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