コロナショックの影響でインバウンド需要が激減し、民泊投資から撤退する投資家も増えています。投資家の撤退によって、売り出し中の民泊物件の中には以前の相場より安くなっているものもあり、買い時と考える方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、2020年8月時点で未だコロナウイルスの影響は大きく、安易に民泊物件を購入したり、民泊投資を始めるのはリスクが大きいと言えるでしょう。
そこで本記事では、割安の民泊物件を購入して民泊投資を始めようとする民泊投資初心者向けに、注意したいポイントについて解説します。
1.安く売りに出ている民泊物件
コロナショックによって、インバウンド需要が急減している状況下、民泊物件が安く売りに出ているケースが多数見受けられます。
M&A仲介サイト(TRANBIなど)では、賃貸物件で営んでいる民泊運営権が0円から売りに出されています。数10万円の安い案件は大阪や博多などで多く見られますが、新宿や渋谷などの民泊運営権も50万円~100万円程度で売りに出ています。(2020年8月時点)
これは、賃貸物件での営業権とはいえ、AirbnbのホストリスティングやWebサイトなどの無形資産のほか、設備や家具・家電一式などの有形資産も含む金額です。
安く売りに出ている民泊物件は、売上が激減して明らかに経営が立ち行かなくなっているようなものであるとは限りません。
たとえば、東京・池尻大橋の案件では、2019年に2000万円前後の売上高があった旅館業取得済の営業権が、寝具・家電などすべて込みで30万円となっています。有形資産の取得費用だけでも数10万円はすると見られ、割安と言えるでしょう。
2020年6月の売上は約25000円となっていますが、旅館業の営業権であれば365日営業が可能であるため、工夫次第ではコロナ禍を凌いでいくことも可能と考えられます。
また、新宿の民泊営業権の譲渡案件は、コロナ禍でも内需宿泊とマンスリーを組み合わせて営業しており、月8万円程度の利益が出ているにも関わらず、戦略見直し、新規事業への資金捻出のため、90万円で譲渡希望となっています。
このような案件であれば、現状でも90÷8×12=93%の高い利回りが期待できるため、投資としてはかなり魅力的といえます。
このように、投資として十分成り立つ余地があったり、現状でも魅力的な投資であっても、コロナショックの現況下で事業戦略の変更により売りに出ている民泊物件もあります。
2.これから民泊投資を始める注意ポイント
それでは、コロナショックの現況下で、これから民泊物件を買って民泊投資を始めるには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
まずは、民泊物件を選ぶ際に注意したいポイントして、上述した、割安の民泊物件を参考にすると、次の2点が挙げられます。
- 民泊投資としての経営状況に魅力がある物件
- インバウンド需要が戻るまで多角的に運用できる物件
次に、コロナショックで顕在化した民泊投資のリスクを分散させるために、投資家自身が注意したいポイントとして、次の2点があります。
- 他の収入でリスクヘッジできるようにする
- 手元資金に余裕を持たせる
それぞれ以下で詳述していきます。
2-1.民泊投資としての経営状況に魅力がある物件
上述したように、割安の物件の中にもインバウンドの宿泊需要のみに依存せず、コロナショック下でも利益を出している物件や、コロナショック下でも多少の売上を出しておりインバウンド需要回復時には高収益を期待できる物件などがあります。
このように、もともとその物件が民泊投資として可能性があり、コロナショック下の経営状況も悪くない状態といえるかどうか、が民泊投資物件をこれから購入して始める際の第一の注意ポイントといえるでしょう。
2-2.インバウンド需要が戻るまで多角的に運用できる物件
インバウンド需要が戻るまで多角的に運用できる物件であるかどうかも民泊投資物件の選択の際のポイントといえます。
宿泊ニーズであれば、インバウンドだけではなく内需も見込めるかどうか、あるいは、マンスリー、スペース貸し、テレワーク施設などへ転用が可能かどうか、という点です。
特にwithコロナの期間はリモートワークが増え、テレワーク施設ニーズが拡大することが予想されます。立地や広さ、設備などを総合的にみて、転用によって家賃を少々上回る程度の利益が出る可能性があるかどうか、判断してみましょう。
2-3.他の収入でリスクヘッジできるようにする
コロナショックでインバウンド需要が減退している今から民泊投資を始めるのは、投資としてはリスクが高いと言えます。賃貸物件であれば最低限、家賃や水道光熱費の支出が毎月あり、赤字が累積していく可能性も考えられます。
そのような場合に備え、給与収入や他の不動産投資収入、あるいは副業収入などの他の収入でリスクヘッジを図りましょう。リスクヘッジするには、あらかじめ赤字金額を見積もり、それを補填しても生計が破綻しないような収入源を確保した方がいいでしょう。
2-4.手元資金に余裕を持たせる
民泊投資のリスクヘッジをするには、手元資金に余裕を持たせることも重要です。
2020年4月に中小企業庁が公表した「中小企業白書」によると、資本金1000万円未満の宿泊業中小企業の平均手元資金は、固定費の約0.24年(約3カ月)分とされ、他の業種と比べると比較的手元資金が少ないことが指摘されています。
余裕を持たせるのであれば、固定費の6カ月分ぐらいを目安に手元資金を確保しましょう。また、個人事業主の場合は、この他に生計資金を別途残しておくことも重要です。
3.民泊以外の他の投資方法と比較検討する
コロナショックの影響によって民泊物件が安く売りに出ている状況は、民泊投資を始めるチャンスであると同時にリスクの高いタイミングであると言えます。
特に賃貸物件で営んでいる民泊運営権の場合、取得費用は安いものの月々の賃料が発生するため、需要回復までの資金を確保する必要があります。民泊投資を始める前に慎重に検討したい方は、民泊以外の投資方法も比較検討することも重要です。
比較検討したいその他の投資方法として、不動産型クラウドファンディングが挙げられます。不動産型クラウドファンディングでは民泊物件だけでなく、賃貸マンションやオフィスビルなど、様々なタイプの不動産へ間接的に少額投資できるメリットがあります。
不動産クラウドファンディングは民泊投資のように大きな利回りが狙えないデメリットがある反面、少額から投資できるために民泊投資と比較してリスクは低い投資方法と言えます。
【関連記事】クラウドファンディングで民泊投資、物件運用との違いや判断のポイントは?
まとめ
コロナショックで安くなった民泊投資物件の中には割安感のある優良物件もあり、この機会に民泊投資を検討している方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、インバウンドの需要が回復していない中、先行きが不透明な状況での投資はリスクが高い投資方法と言えます。
インバウンド需要が回復した時のために今から民泊の将来性を見込んで投資するという選択肢を採る際は、本記事の注意ポイントに気を付けて慎重に判断しましょう。
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