ANAとJR西日本が二地域居住の移動を支援。鳥取3市町のお試しへ鉄道で

紅葉の山あいの渓谷に架かる赤い鉄道橋と杉林

新大阪駅から新幹線と特急やくもを乗り継いで、鳥取県米子市へ。その往復で、JR西日本の「WESTERポイント」が9,800ポイントもらえる。

全日本空輸(ANA)と西日本旅客鉄道(JR西日本)は2026年10月21日、二地域居住を支える共同の取り組み「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE with JR西日本」を始めた。第一号の舞台は鳥取県の米子市・智頭町・北栄町だ。3市町の「お試し二地域プラン」に関西圏から鉄道で参加する人に、移動費の一部をポイントで補う。

対象期間は2027年2月28日まで。関東圏からの空路はANAが、関西圏からの鉄道はJR西日本がサポートする。両社のねらいは、西日本エリアの関係人口を増やすことだ。

この取り組みは、両社が2026年4月30日に結んだ「西日本エリアの社会課題解決に向けた連携強化」に関する協定にもとづく、具体的な取り組みの一つとして位置づけられている。

中心になるのは、ANAグループが展開する二地域居住の支援ポータルサイト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE」だ。鳥取県の3市町のプランでは、これまでもANAが羽田からの航空便に「ANA SKY コイン」を付与してきた。今回は、そこに関西圏から鉄道で向かう人へのサポートが加わった。

二地域居住とは、普段の住まいとは別の地域にも拠点を持ち、行き来しながら暮らすスタイルのこと。両社の資料は「お試し二地域プラン」を、二地域居住に踏み出すための「お試し体験」と説明している。

参加者は実際に地域に滞在して、暮らしやすさを確かめる。さらに、地域との関わりを体験できる各地域独自の体験メニューに参加すると、移動の負担軽減サポートを受けられる。

付与されるポイントとコインは、大人1人・1往復あたり次のとおりだ。

  • 米子市:新大阪駅〜米子駅間(新幹線+特急やくも)で往復9,800 WESTERポイント。羽田=米子線なら往復2万ANA SKY コイン
  • 智頭町:大阪駅〜智頭駅間(特急スーパーはくと)で往復5,200 WESTERポイント。羽田=鳥取線なら往復2万ANA SKY コイン
  • 北栄町:大阪駅〜由良駅間(特急スーパーはくとは倉吉駅または鳥取駅まで)で往復6,200 WESTERポイント。羽田=鳥取・米子線なら往復1万5,000ANA SKY コイン

WESTERポイントは、JR西日本グループの共通ポイントサービスだ。今回の取り組みでは、JR西日本の特急列車などに使えるポイントとして付与される。

空と鉄道が、出発地で役割を分ける

旅客機の窓から見た主翼と、青空に湧き上がる白い雲

今回の発表で目を引くのは、ANAとJR西日本の役割分担だ。ANAは航空ネットワークを使って関東圏からの移動を、JR西日本は鉄道で関西圏からの移動をサポートする。同じ鳥取へ向かう旅でも、出発地によって担当する交通機関が変わる。

航空会社と鉄道会社は、区間によっては同じ旅行者を取り合う関係にもなりうる。その2社が一つのポータルサイトでサポートを用意したことで、関東からも関西からも、同じ町に通いやすくなったと考えられる。

もう一つの特徴は、サポートが「地域と関わること」と結びついている点だ。移動の負担軽減を受けるには、各地域の体験メニューに参加する必要がある。運賃を下げて人を呼ぶだけでなく、滞在のなかで地元の暮らしや人に触れてもらう仕組みになっている。

両社が掲げる関係人口とは、観光で一度訪れるだけの人でも移住した住民でもなく、地域と継続的に関わる人々のことだ。往復を重ねるたびに移動の負担が少しでも下がれば、通い続けるきっかけになると考えられる。

ただし、移動費がポイントですべてまかなえるわけではない。付与されるWESTERポイントは、指定区間の運賃・料金の一部だ。残りは参加者の負担になる。鉄道サポートを使うには、指定の経路で移動する必要もある。

森の町、農の町、山と海に囲まれた町

3市町では、それぞれ違う暮らしを体験できる。両社の資料では、3市町は次のように紹介されている。

米子市は、鉄道・高速・空港が整う便利な町だ。大山(だいせん)と日本海に囲まれた豊かな自然、温泉、食の魅力も豊富だという。

智頭町は、面積の93%を山林が占める「杉のまち」だ。森林セラピーや森のようちえん(森などの自然の中を主な場にした幼児教育・保育の活動)など、森林資源を生かしたまちづくりが特徴とされる。

北栄町は、日本海と大山を望み、農産物に恵まれた町だ。民泊を始める人への支援や、駅前へのコワーキングスペース(共有型の仕事場)の設置にも取り組んでいる。

森に囲まれた暮らし、農のある暮らし、街の便利さ。何を確かめたいかによって、選ぶ町は変わってくるはずだ。

鉄道サポートの対象期間は、2026年10月21日から2027年2月28日まで。滞在の対象期間は、10月21日以降に準備ができたところから2027年2月28日までとなる。

申し込みは、利用日のおおむね3週間前までに行う。人数に達した時点で募集は終わる。利用条件の詳細は、JR西日本の特設ページで案内されている。

鳥取県は、この取り組みの「第一号」の舞台と位置づけられている。ほかの地域で実施するかどうかは、今回の発表では明らかにされていない。

二地域居住の考え方や始め方はLivhubの二地域居住・多拠点居住の特集で紹介している。多拠点居住サービスの一例は「ADDress」の紹介記事で取り上げている。

一度きりの観光では、その町の暮らしまではなかなか見えてこない。通う理由があり、通い続けやすい移動の仕組みがあってはじめて、地域の人との関係は育っていく。

関西に住む人なら、2027年2月28日までの間、新幹線や特急に乗って鳥取での「もう一つの暮らし」を試せる。定員に達すると締め切られるので、気になる町があれば、早めにプランの内容を確かめてみてはどうだろう。

【参照記事】

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Livhub 編集部

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