一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社情報通信総合研究所は4月9日、共同で実施した「シェアリングエコノミー市場調査2018年版」の結果を発表した。
調査によると、2018年度のシェアリングエコノミー市場規模は、2016年度調査を大きく上回る1兆8,874億円で、現状のペースで成長した場合は、2030年度に海運、アパレル業と同規模の5兆7,589億円となる見込みだ。そして仮に成長課題やシェアリングエコノミーの認知度、法制度の整備、トラブルなどの安全面における不安などが解決された場合(以下、課題解決シナリオ)、2030年度には約6倍の11兆1,275億円まで拡大すると予測した。
また、シェアリングエコノミーサービスを通じて個人が得た収入が製造業やサービス業などの既存産業へ及ぼす経済波及効果(各産業の生産額の増加額)について、2018年度は1兆4,120億円、「課題解決シナリオ」における2030年度は8兆1,381億円と算定した。シェアリングエコノミーサービス提供者(以下、シェアワーカー)の収入の増加により、商品やサービスの購入が増え、製造業から運輸業などにも好影響を及ぼす見立てだ。
さらに、シェアワーカーの約3割が「シェアリングサービスによって生活が充実するようになった」と回答し、シェアリングサービスに対しては価格重視よりも幸福度が向上することも実証された。シェアサービスを利用する理由として「低価格」であることをあげた回答は多いが、いずれのサービスにおいても「他では利用できない」と回答した割合が高かった。また、企業が提供する類似のサービス(民泊の場合はホテルや民宿、対面型スキルシェアであれば家事代行サービスなど)と比較して価格が高い場合でも利用するかを尋ねたところ、モノのシェア(売買)以外は半数以上が「高価格でも利用する」と回答し、繰り返し利用する人も多かった。
また、シェアリングサービス利用者と未利用者を「幸福度」「社会とのつながり」という設問で比較すると、幸福度では「社会から認められている度合」「生活の安心・安全度」、社会とのつながりでは「自然とのつながり」「地域活動で積極的参加」などすべての項目でサービス利用者の数値が上回った。特に、社会とのつながりの項目で充実感が高かった。
同調査では「民泊サービスの提供をやめた理由」についての質問も実施され、43名が回答した。まず、2017年まで民泊を運営していたが、2018年の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行以降に運営をやめた割合は50%だった。そのうち、やめた理由で最も多かったのは「民泊新法の手続が面倒」で約60%、続いて「民泊新法の条例で民泊ができなくなった」が約27%だった。そのほか「期待した収入が得られなかった」が約23%、「近隣住民からの苦情があった」が約16%、「ゲストとのトラブルが嫌になった」が約2%だった。
今回の調査は、拡大するシェアリングエコノミーの市場規模の全体像と、利点や課題を具体的にするため、全国の20~60代の男女(プレ調査2万9,629人、本調査2,509人)を対象にアンケート形式で行われた。また、シェアリングエコノミーのサービスは、インターネット上で資産やスキルの提供者と利用者を結びつけるもの、利用したいときにすぐ取引が成立するものを対象とした。シェアリングエコノミーが大量生産・大量消費型に代わり、新たな消費スタイルをけん引するか、引き続き注目だ。
【参照ページ】シェアリングエコノミー関連調査結果
(Livhubニュース編集部)
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