全国の空き家活用を推進している一般社団法人日本シェアハウス協会は2月24日、民泊の規制緩和に関する検討会を主催する国土交通省に対して現在検討中の規制緩和の問題点を提案し、併せて同協会が昨年開業し、注目されている地方の民泊事例を紹介した。
日本シェアハウス協会が主張する民泊の規制緩和の問題点は「耐震」と「火災の対策」だ。同協会は、新たな宿泊事業においては「施設規模の大小に関係なく安全対策は必須条件とすべき」と提案した。また、現行の建築基準法では「空き家の多い住居専用地域では簡易宿所は開業出来ない」という問題があり、家主同居のホームステイ型も提案されているものの、家主が居る以上は肝心の空き家対策にはならないとした。
また、同協会は民泊がインバウンド(訪日外国人)対応のビジネスチャンスと言われていることにも懸念を示した。民泊は観光市場の2割弱に過ぎず、国内の観光客は宿泊施設不足の影響を受けている。しかも外国人対応が必要な民泊は異なる言語や習慣への対応など事業者側に一定のノウハウが必要で、個人や小規模事業者が多い地方での開業は難しく、結果として民泊が普及するのは都市中心となり、人もお金もますます都市に集中することになると警鐘を鳴らした。
日本シェアハウス協会は、地方民泊のモデル事例として北海道千歳市の空き家を活用した日本人対応民泊事業「おもてなし民泊」を紹介した。同事業の特徴は、日本人対応民泊事業と賃貸としての両機能を持つというものだ。シェアハウスに宿泊、体験入居して入居者との交流や地域の情報交換などができる。この日本人対応民泊は大変好評で、既に夏まで予約が入っているという。
この北海道千歳市の「おもてなし民泊」を成功例として、「賃貸と民泊のハイブリッド型民泊(おもてなし民泊)」と、独自に開発した「離職介護ヘルパー」を提案した。「おもてなし民泊」は、賃貸と民泊のハイブリッド型であるため、民泊需要が減った場合には賃貸をベースにすることで収入が減ることがない。また、空き家活用の他、地方経済に貢献する「新築」で開業できるなど全国で活用が可能だという。「離職介護ヘルパー」っとは、日本シェアハウス協会が独自に開発した「家庭掃除士2級」の資格を得たヘルパーのことだ。食事やリネン作業、ゴミ出し、清掃業務を担当してくれる。1時間あたりの費用は1,500円と高額だが、そもそも「おもてなし民泊」は賃貸家賃の倍近い収入になると見込まれており、その上雇用創出にもつながるという算段だ。
シェアハウスは国の指導で「寄宿舎」としての耐震性はもちろん、消防への届出や消火器、避難はしご、非常照明など基本的な安全対策が講じられている。また、寄宿舎としてのシェアハウスは大半の用途地域で開業できるため、空き家活用の一環として都市部や地方で広がっていることから、同協会は民泊を全国に普及させるにはシェアハウスの活用が最適であるとし、今後も国や全国の自治体などに提案していく方針だ。
地方の民泊事業においては、様々な対策が講じられてきたが、シェアハウスの活用は安全性が高く、リスクも少ない。地方民泊の新たな一手のなるのか、今後の展開に期待したい。
【参照リリース】民泊解禁の問題点と協会が開発した全国対応型民泊の全国展開
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
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