公益財団法人マンション管理センターは7月27日、同センターに登録している管理組合を対象に実施した「民泊対応状況管理組合アンケート」の調査結果を公表した。
調査結果によると、105の管理組合のうち、101が住宅宿泊事業法による「民泊を全面禁止した」と回答した。また、一部許容、全面許容した組合はなく、「何も定めていない」が3、その他が1だった。
民泊を禁止した101組合の「規定方法」は、「管理規約で規定した」が77で最も多く、「理事会で方針を決議した(次の総会に管理規約の改正等をする予定)」が12、「総会で方針を決議した」が10だった。
これらの組合が民泊を全面禁止とした理由は「騒音・ゴミ廃棄など迷惑行為の懸念」が67、「防犯・安全面の懸念」が57、「不特定多数の立入りによるいざこざ」が21だった。また、少数みられた意見は、意思疎通が困難なことや生活文化の違い等による外国人利用に対する懸念、不安感、共用施設の管理の支障などが挙がった。
続いて「違法民泊の状況」に関する質問に対しては「行われていない」が92で、約9割だった。一方「行われているようだが確証はない」が6、「行われており確証がある」が2、「わからない」が5だった。民泊が行われているかを把握するのは難しい実情がうかがえる。
このうち、民泊が行われているかその可能性があると回答した8組合に対して「違法民泊への対応状況」について質問したところ「民泊禁止等の掲示をした」が6、「部屋の区分所有者に注意した」が4、「なにもしていない」「その他」が1ずつだった。
最後に「分譲マンションにおける民泊への対応について」について自由意見を求めた。
これによると、反対意見として「居住専用マンションでの宿泊行為は認めるべきではない」「違法民泊が行われ、騒音等で迷惑をこうむった」という声があった。
そして、中立意見としては「一律に禁止すべきではないが、不適切行為が行われた時の管理組合の負担が増大するので禁止するしかない」「区分所有者全員の意見の統一、管理規約改正はハードルが高い」という声があった。
さらに、運営を前提とする意見では「良いこと悪いことを含めた民泊の事例を紹介してほしい」「ネガティブ情報だけでなく、民泊新法施行後の情報が欲しい」「違法民泊が行われた時の対処方法を知りたい」「違法民泊の取締りを十分やってほしい」「民泊とホームステイの区別が部外者からわからないので、取り扱いがむずかしい」等の意見がみられた。
マンション管理者の多くが懸念しているのは、住宅宿泊事業法が施行される前と同じく、近隣住民と居住者の生活環境への悪影響や、建物、共用部の損壊等に対するものだ。また、民泊に関する情報が不十分であるため、漠然とした不安をもつ意見も多い。各自治体等が、具体例を用いた情報共有の場を積極的に設けることで、それぞれの意見に基づく判断ができるよう引き続き期待したい。
【参照ページ】公益財団法人マンション管理センター|調査・研究
(Livhubニュース編集部)
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