日本政策投資銀行(以下、DBJ)は3月30日、アジア8地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア)の訪日外国人を対象として、日本全国および関西における民泊利用の実態や将来推計などについて調査したレポート、「日本における民泊利用の実態」を公表した。
同レポートによると、訪日経験者の12.1%が日本で民泊を経験しており、訪日希望者の26.8%が日本での民泊の利用を希望していることが分かった。既に訪日外国人の民泊ニーズは顕在化していることが明らかになった。
また、地域別の統計では「マレーシア(33.6%)」、「インドネシア(32.4%)」、「シンガポール(29.4%)」の順で民泊利用希望率が高く、年齢別にみると20代の32.7%が最も多く、30代・40代・50代はいずれも約25%となった。
民泊経験者の多くが「配偶者・恋人(63.5%)」と共に訪日しており、訪日動機としては「観光(83.5%)」が最も多かった。民泊滞在日数は平均9.7日で、宿泊箇所は平均3.8箇所、1宿泊箇所あたりの平均滞在日数は2.5日だった。現在、大田区など国家戦略特区を活用した民泊においては民泊施設の宿泊期間が最低7日以上であることが条件とされているが、その条件を満たしている訪日外国人の民泊利用者は限定的であるという現状が浮き彫りになった形だ。
日本の宿泊施設に求めるものとしては「Wi-Fi等の設備(39.7%)」、「低価格(34%)」、「日本文化の体験(24.8%)」、「英語対応(24.1%)」が上位に挙がった。
なお、DBJの全国を対象とする推計によると、2020年時点で必要となる民泊客室数は、訪日外国人が3000万人とした場合「83,297室」となるという。現在、民泊仲介サイト最大手のAirbnbに掲載されている日本国内のリスティング物件数、3万件弱の約3倍に相当する数だ。
DBJは、民泊の潜在的ニーズは相応に高いものの、他の宿泊事業者との公平性など様々な問題も同時に抱えているとの見解を示している。民泊をめぐっては規制緩和の動向も注目されるが、旅館やホテルなど既存の宿泊事業者との公平な競争環境が実現、治安や防災などが今後解決していくべき主要な課題だ。新興サービス企業と既存の観光産業との利害調整や、ニーズと公平性のバランスのとれたルールづくりなど、政府が適切に対処できるかが民泊市場の今後を大きく左右することになりそうだ。
【参照リリース】日本における民泊利用の実態
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
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