本日は、Airbnbに次ぐ民泊仲介サイト大手、Home Away(ホームアウェイ)の国内掲載物件に関する分析をご紹介したいと思います。日本では「民泊=Airbnb」というイメージの方が多いかもしれませんが、実は世界にはAirbnb以外にも非常に数多くの民泊仲介サイトが存在しており、その代表格とも言えるのがこのHome Awayです。
Home Awayの歴史と特徴
アメリカのテキサス州で始まった民泊仲介サイトのHome Awayは、Airbnbよりも3年早い2005年に創業しており、現在世界190ヶ国で100万件以上の物件を掲載している業界のリーダー的存在でもあります。
Airbnbはまだ未上場企業ですが、Home Awayは2011年にナスダックに上場しており、2015年12月にはオンライン旅行予約世界最大手のエクスペディアに買収されて話題となりました。
Home Awayの特徴は、これまでVRBO.comやVacationRentals.com、Travelmobなど数多くの民泊仲介サイトの買収を通じて成長を重ねてきた点です。昨年の買収によりエクスペディアグループとなったHome Awayですが、Home Away自体もまた複数の民泊仲介サイトを傘下に束ねています。
また、Home Awayは都心部の物件が多いAirbnbとは異なり、リゾート地の別荘などを一定期間貸し出すバケーションレンタル物件を強みとしている点も特徴だと言えます。
強大な旅行者ネットワークを有するエクスペディアグループの一員となり、民泊とそれ以外の物件をシームレスに検索できるプラットフォームを通じた集客が可能となったHome Awayが、今後Airbnbにどのように対抗していくのか、注目されています。
また、日本についてはこれまで日本法人がありませんでしたが、今後は拠点を置いて本格的に日本国内での利用者拡大に向けて普及に取り組んでいくということですので、これからの動きにも期待がかかります。
Home Awayの日本国内の現状
さて、このように今後の成長が期待されるHome Awayですが、日本国内における現状の物件掲載状況はどのようになっているのでしょうか? BnB Insightで取得した最新データ(2016年4月26日時点)に基づいて、簡単にご紹介したいと思います。
日本国内の掲載物件数は3,000件以上(2016年4月時点)
Home Awayの日本国内における物件掲載状況は、下記のようになっています。
全体の掲載件数は3,223件で、件数自体はAirbnbの約10分の1程度となっています。物件タイプ別に見ると、「アパート」が80%、「一軒家」が16%となっています。Airbnbでは「アパート」が71%、「一軒家」が21%となっていますので、Airbnbよりも若干アパートが多い傾向があるようです。
また、部屋タイプ別に見てみると、「まるごと貸し切り」が73%で最も多く、次いで「個室」が26%となっています。Airbnbでは「まるまる貸し切り」が69%ですので、こちらはそれほど変わりません。
都道府県別の掲載物件数
次は、都道府県別の掲載物件数について見てみましょう。掲載物件数が多い都道府県ランキングは下記のようになっています。
最も多いのが東京都で1,455件、次いで大阪府が1,039件、京都府が382件となっています。この3都道府県で全体の89%を占めており、4位の神奈川県(51件)、5位の福岡県(40件)、6位の沖縄(39件)、7位の北海道(37件)まで含めると全体の95%におよびます。現状では日本の中でも特に人気が高い観光地に掲載物件が集中していることが分かります。また、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、富山県、三重県、山口県、佐賀県、大分県の10県については掲載物件が0件となっています。
市区町村別の掲載物件数
続いて、市区町村別に掲載物件数を見ていきます。
市区町村別に見てみると、掲載物件数が最も多いのは大阪市中央区で332件、次いで東京都新宿区が292件、東京都渋谷区が248件となっています。上位30位までは東京、大阪、京都の3地域が独占しており、その他の地域としては32位に福岡市中央区が23件で初めてランクインしてきます。地域別の物件分布としては概ねAirbnbと同様の状況となっていることが分かります。
ホスト数の増加推移
現在日本ではAirbnbを利用して部屋を貸し出すホストの数が急増していますが、Home Awayではホストの増加状況はどのようになっているのでしょうか?BnB Insightで取得したホストのサービス開始年月を基にして、2012年12月からの過去約4年間でホスト数がどのように増加しているのかを集計してみました。
2016年4月現在、Home Awayのホスト数は960名となっており、2015年以降、急速に増加していることが分かります。特に2015年後半からは毎月30名~70名、2016年以降は約100名ずつのペースでホスト数が増加しており、ここ最近ではAirbnbと同様に指数関数的な伸びを見せています。
既に東京や大阪などの都心部ではAirbnb内におけるゲスト獲得競争が激化していますので、新たなる集客手段としてHome Awayを活用するホストは今後さらに増加していくことが予想されます。
参入するなら今がチャンスか
いかがでしたでしょうか? Home Awayは掲載物件数ではAirbnbには劣るものの、ホスト数や物件数は着実に増加を見せており、今後もこの傾向は続きそうです。
また、既にアメリカではエクスペディアの予約プラットフォーム上にHome Awayの民泊物件を表示させる試みも始まっているとのことです。世界屈指の集客力を持つエクスペディアが送客手段に加わるとなれば、民泊だけに特化しているAirbnb以上にHome Awayの集客力が高まる可能性もありますので、集客を強化したい民泊ホストの方は早めにHome Awayへの掲載も進めることをおすすめします。
【転載元】BnB Insight「エクスペディアグループの民泊仲介サイト、Home Awayの日本国内物件掲載状況を分析」
【参照サイト】BnB Insight
(Livhub 編集部)
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