民泊物件、相場の調べ方や査定方法は?売却までの手順、注意点も

民泊物件を売却しようと検討している方の中には、民泊物件の相場の調べ方や査定方法についてお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。

民泊物件は収益性のある事業用不動産のため、通常の不動産とは異なる指標で物件価格の評価がなされています。不動産としての価値に加えて、収益が高いかどうかという視点も重要なポイントとなることから、個人で売出価格を設定するのはやや難易度の高い物件と言えるでしょう。

そこで本記事では民泊物件を売却するまでの流れと相場の調べ方、査定方法や売却活動の注意点について解説していきます。民泊物件の相場の調べ方や査定方法についてお調べの方はご参考下さい。

1.民泊物件を売却するまでの流れ

はじめに、民泊物件を売却する流れをおさえておきましょう。売却の主な手順は以下の通りです。

  1. 廃業の届け出を行う
  2. 物件資料で条件の確認を行い、相場を調べる
  3. 収益性を計算しておく、家具・家電等を引き継ぐか決める
  4. 複数の不動産会社に一括査定を依頼
  5. 不動産会社を絞り、訪問査定を依頼
  6. 売却価格の決定、不動産会社が売却活動を行う
  7. 購入希望者の内覧、条件のすり合わせ
  8. 売買契約の締結
  9. 物件の引き渡し

これらの売却手順の中でも、「廃業届け出」「収益性の確認」「家具・家電の引継ぎ」の3点は、通常の住宅売却では行わず、民泊物件の売却時に必要な事項となります。住宅の売却経験がある方も、上記の流れをよく確認しておきましょう。

民泊は、住宅宿泊事業法(民泊新法)、国家戦略特別区域法(特区民泊)、旅館業法(簡易宿所営業)のいずれかの許可・認可を得てスタートしますが、それぞれの法に則り廃業の届け出を行います。

民泊は「投資用物件」にあたるため、購入希望者は投資用物件として運営するケースが多く、物件の収益性が重要となります。買主の意向にもよりますが、住宅に設置してある家具や家電等を引き継ぐのか、撤去するのかも考えておきましょう。

物件を売却する際は相場を調べ、適正な価格を把握することで、スムーズな売却活動を行う事ができます。物件の査定には「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」があり、まずは一括で机上査定をしたもらった後、数社に絞り訪問査定という流れになります。

2.民泊物件の相場の調べ方

民泊物件のおおよその売却額は、レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システム、ポータルサイトで、周辺に所在する似た条件の物件価格を調べる事で確認することができます。

2-1.レインズマーケットや土地総合情報システムで調べる

指定流通機構(REINS)が提供する「レインズマーケットインフォメーション」や国土交通省による「土地総合情報システム」では、物件の取引価格を調べることができます。

条件が似た住宅を検索するためには以下の点に注意しましょう。

  • 物件のエリア
  • マンション・戸建てなど種類
  • 築年数
  • 木造鉄筋コンクリートなど、物件の構造
  • 床面積

民泊物件は居住用物件より数が少ないため、民泊物件のみに絞り込むと自身の物件と似た条件の不動産を探すことが難しい可能性があります。共同住宅型の民泊物件はシェアハウス、一軒家を改築した民泊は戸建て物件等で条件が近い物件を探しましょう。

2-2.不動産ポータルサイトで調べる

民間の不動産投資・不動産売却のポータルサイトで条件が似た物件を探し、売却価格の相場を知る事ができます。

ポータルサイトは物件の写真や利回りなども掲載されており、相場感をつかむ参考にしやすいメリットがあります。しかし、ポータルサイトに掲載されている物件価格は売出価格であり、成約価格ではないことに注意が必要です。

不動産の売買取引では買主側の資金調達の事情や、売主側の希望売却期間などによって価格交渉が行われるケースも少なくありません。実際の売買価格はポータルサイトより低くなる可能性があるため、参照する際は注意しましょう。

2-3.複数の不動産会社に査定を依頼する

民泊物件の査定依頼をする際は、民泊物件や投資用不動産を取り扱う不動産会社に一査定を申し込みます。この時、1社だけではなく複数の不動産会社に査定を依頼し、複数の査定結果や査定の根拠を比較することが重要です。

複数の不動産会社に査定依頼をするのであれば、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトでは、民泊物件も含む様々な不動産の査定依頼を複数社に同時依頼することが可能です。

下記は、主な不動産一括査定サイトの一覧です。ここでご紹介している不動産一括査定サイトは悪質な不動産会社の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 2006年にサービスを開始。2020年で15年目を迎える。独自の審査で厳選した700社の優良不動産会社が掲載。収益物件情報を掲載する姉妹サイトを持ち、他サイトと比較して投資用不動産の売却に強みを持つ。
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国1300社の不動産会社を厳選。HOME4Uでは査定依頼をする際に、大手企業と地域密着型企業の両方への依頼を推進。
イエウール 株式会社Speee 全国1,600社が参加。「地方・地域密着」企業を多数掲載し、地域情報を交えたより詳細な情報から査定を追求。

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なお、より良い業者と取引するためには、担当者のレスポンスの早さや対応にも注意して不動産会社を選ぶことが重要です。不動産会社によっては、査定担当者が買主側の営業担当となるケースも多く、対応が悪い担当者だと売却価格やスピードに悪影響を与える可能性があるためです。

不動産一括査定の後は、業者を2~3社に絞り、実際に物件を見てもらう「訪問査定」を依頼しましょう。訪問査定で提示された査定額や対応内容を比較し、仲介を依頼する不動産会社を選びましょう。

3.民泊物件を売却する際の注意点

民泊物件を売却するにあたっては、以下の4点に注意しましょう。

  • 物件の付加価値をアピールする
  • Airbnbに登録している物件は評価の確認
  • 民泊物件を売却するタイミング
  • 場合によっては買取を検討する

それぞれ詳しく解説します。

3-1.物件の付加価値をアピールする

新型コロナ感染拡大の影響で民泊を廃業、売却する事例が増えています。観光庁の「令和2年9月末時点における民泊物件について」によると、民泊物件は半年間で11,347 件の減少が確認されています。

このような状況では市場での競合が多くなり、相場価格が低下します。民泊物件を高く売却するには、物件の価値をアピールする必要があります。

例えば、民泊以外にも利用できそうな物件は賃貸用・シェアハウス等への用途変更ができる点をアピールすると購入希望者の幅を広げられる可能性があります。民泊物件から別の事業に転用してから売却することも検討してみると良いでしょう。

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その他、キッチンが広い、シャワーだけではなく湯船が付いている、プライベート空間がありながら他のゲストと交流できる空間がある等、競合物件と差が付けられる箇所がある場合は売却活動の際にアピールすることで売却価格が高くなる可能性があります。

3-2.Airbnbに登録している物件は評価の確認

物件をAirbnbに登録しており、宿泊者から高評価を得ている場合には物件価格に良い影響を与える可能性があります。

新型コロナウイルスの影響によりインバウンドの観光客数が減少している状況では、売り上げが低下している民泊物件が少なくありません。しかし、新型コロナウイルスの流行が収まりインバウンドが回復した際、その後の売上回復が期待できるかどうかという視点は、民泊物件の価格設定において重要なポイントとなります。

そのため、突発的に収益性が低下していても、過去の評価や実績が評価されることで高値売却できる可能性を高められる可能性があります。Airbnbに登録している物件は、ゲストからの評価をチェックしておきましょう。

3-3.民泊物件を売却するタイミング

民泊の売却価格の相場、査定額には「売却のタイミング」も影響があります。例えば、オリンピックや大阪万博等、大きなイベント前にはインバウンドの増加を見込めることから、開催地周辺の物件は売却価格が高くなる可能性があります。

ただし、物件取得時に不動産投資ローンを活用していた場合は、毎月の返済金と収支のバランスを考え、売却時期まで所有することが可能かどうか、慎重に検討することが大切です。

3-4.場合によっては買取を検討する

手早く売却が必要なケースや買い手がなかなか見つからない場合は、業者に物件の買取を依頼する事が出来ます。買取の際も民泊物件に強い不動産会社を数社選び、査定を依頼、比較して検討しましょう。

「買取」では、買取価格が決定してすぐ契約へ移行することができますので、スムーズな売却が可能です。ただし仲介による売却より売却価格が2~3割ほど低くなる傾向にあります。売却においてスピードと売却価格のどちらを優先するか、検討した上で売却方法を決定しましょう。

【関連記事】不動産売却、買取相場を知る方法は?売却価格の調べ方や仲介との比較も

まとめ

民泊物件を売却する際には、事前にレインズマーケットやポータルサイト等で売却価格の相場を調べ、民泊物件や投資用不動産に詳しい不動産会社に査定を依頼しましょう。査定は1社だけでなく、複数の不動産会社へ依頼し、それぞれの査定価格や根拠を比較することが大切です。

その他、民泊物件のもつ付加価値のアピールや、新型コロナウイルスの影響が収まったあとの収益性が期待できるような情報を揃えておくことも重要なポイントとなります。ただし、不動産投資ローンの返済などで所有が難しく、売却を急いでいる時は、不動産会社による「買取」もあわせて検討してみましょう。

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Livhub 編集部

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