使用していない不動産を所有していても固定資産税や都市計画税などの税金がかかるため、有効活用の手段として太陽光発電を検討している人も多いと思います。
しかし、太陽光発電ではどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
この記事では、太陽光発電のメリットとデメリット、2020年以降のFIT制度について解説します。
1.太陽光発電の3つのメリット
住宅の屋根や畑の一角、山奥などに太陽光パネルが設置されている光景を見かけることが増えてきました。住宅に設置されている太陽光パネルは、住宅で使用する電力を補うことで電気代を少しでも抑えることを目的としているケースがあります。
一方、畑の一角や山奥などに設置されている太陽光パネルは太陽光発電で生じた電力を売却することによって利益を得ています。
太陽光発電は、賃貸経営のように空室リスクを気にせず済むため、使用していない不動産の有効活用としても検討できるでしょう。
しかし、太陽光発電はメリットだけでなくデメリットも伴うため、太陽光発電を始める前に双方をしっかり確認しておくことが重要です。
太陽光発電の主なメリットは以下の3つです。
- FIT制度による収入が期待できる
- 融資を利用しやすい
- 人口が減少している地域でも取り組みやすい
まずはそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1-1.FIT制度による収入が期待できる
FIT制度(固定価格買取制度)とは、太陽光発電で獲得した電力を一定期間、固定価格で電力会社が買い取ってくれることを国が保証している制度のことです。(*経済産業省「固定価格買取制度とは」を参照)
通常、太陽光発電による電力の売却価格は一定ではないため、買取価格が下落してしまうと収入が低下してしまう可能性があります。FIT制度は、固定価格による買取を保証することによって太陽光発電の導入のハードルを下げ、再生可能エネルギーの普及を目指した仕組みと言えます。
FIT制度を利用することで一定期間は固定価格での買取を期待できるため、収支計画も立てやすい点は太陽光発電のメリットと言えるでしょう。
1-2.金融機関の融資を利用しやすい
使用していない不動産を有効活用する際は、リフォーム費用などの初期費用が必要になるケースがあります。初期費用が自己資金だけでは不足するという方は、金融機関の融資の利用を検討している人も少なくないでしょう。
しかし、再建築が必要となるような大掛かりなアパート経営や、老人ホームの運営などは金融機関の審査も厳しくなり、収支計画によっては融資を利用できないケースも少なくありません。
一方、太陽光発電はFIT制度による固定価格による買取が期待できることから、金融機関の融資を比較的利用しやすい傾向があります。金融機関の融資によって、自己資金が比較的少ない場合でも太陽光発電を始めやすい点はメリットと言えるでしょう。
1-3.太陽光発電は人口が減少している地域でも取り組みやすい
使用していない不動産で賃貸経営やコインランドリー経営を始める際、人口や需要などが少ないエリアだと期待した収益を得られない可能性が高まります。
一方、太陽光発電は人の需要に関わらず、周囲に高い建物がなく太陽光パネルに安定して光が当たる環境を整えることが重要になります。駅から離れていても全く問題がないため、立地条件をそこまで気にせずに済むということは大きなメリットと言えるでしょう。
2.太陽光発電の4つのデメリット
太陽光発電はFIT制度に収入が期待できるため、使用していない不動産の有効活用には適していると言えます。
しかし、以下の4つのデメリットも伴うため、メリットとデメリットをよく踏まえた上で太陽光発電を始めるかどうかを決めることが重要です。
- 買取価格が年々下がっている
- FIT制度には期限が設けられている
- 修繕や災害のリスクを伴う
- 初期費用が大きい
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1.電力の買取価格が年々下がっている
FIT制度が導入された2012年の電力の買取価格は40円/kWhでした。しかし、経済産業省「買取価格・期間等(2020年度以降)」によると、2019年・2020年の買取価格は以下のように推移しています。
事業用太陽光発電 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|
10kW以上50kW未満 | 14円 | 13円 |
50kW以上250kW未満 | 14円 | 12円 |
上記のように電力の固定買取価格は年々下落傾向にあることが分かります。これは太陽光発電の設備費用が下がっていることにより、コストが効率化された適正な市場を形成するために固定買取価格も比例して下落している背景があります。
太陽光発電を検討する際は固定買取価格だけを重視するのではなく、設備投資にかかる費用や発電量の予測など、その他の面から多角的に判断することが重要になります。
2-2.FIT制度には期限が設けられている
FIT制度の事業用太陽光発電には、20年(10kW未満の場合は10年)という期限が設けられています。そのため、期限を経過した後は電気の買取が保証されていないので注意が必要です。
年間の想定利回りが5%の場合、初期投資を回収するのに20年以上かかることになり、FIT制度の期間内に投資資金を回収できない可能性があります。
太陽光発電を始める際は、FIT制度の期限内に初期投資を回収できるかよく考えてから始めましょう。
2-3.太陽光発電設備のメンテナンスや修繕、災害のリスクを伴う
太陽光発電を始めると、設備に何らかのトラブルが発生して修繕を行わなくてはならない可能性があります。修繕を行わないとその分の収入が減少してしまったり、発電できなくなく可能性があるため、修繕費用の負担を考慮しておかなくてはなりません。
また、地震や台風といった自然災害によって、設備に影響が生じる可能性もあります。自然災害の影響を完全に防ぐことはできませんが、損害保険に加入するなどのリスク対策を事前に検討しておくことも重要です。
2-4.太陽光パネルを設置する初期費用が大きい
太陽光発電を始める際は、太陽光パネルの設置費用だけでなく砕石や伐採といった土地の造成費用、送電網と発電所をつなぐための費用など初期投資が大きいというデメリットがあります。
初期投資の費用として規模によっては1,000~2,000万円程度かかることもあります。投資資金の負担を少しでも抑えながら不動産を有効活用したい人には、あまり適した有効活用の手段とは言えないでしょう。
その他の不動産活用方法と並行して検討したい場合
太陽光発電だけでなく、その他の不動産活用方法と並行して比較したい場合は「HOME4U」の土地活用サービスも利用を検討してみましょう。こちらのサービスでは最大7社まで土地活用の収益プランを比較可能なうえ、自分が選んだ企業以外から連絡がくることは一切ありません。
様々な会社の太陽光発電を含む他の活用方法による収益予測や、初期費用を比較することも可能です。どのような活用方法が適しているのか比較したい場合は利用を検討してましょう。
3.2020年以降のFIT制度はどうなる?
2020年度以降はFIT制度にとって1つの節目であると言われています。その理由は、設定当初から2020年度末に抜本的な見直しを行う旨が規定されているためです。
再生可能エネルギー発電賦課金という費用が電気料金に上乗せされており、FIT制度を続けると国民の負担がさらに大きくなります。
FIT制度が終了した場合も、既に太陽光発電を開始している人は、20年の電力買取が保証されているので問題ありません。
FIT制度が終了した後は、他の制度による買取が継続する可能性はありますが、買取価格が大幅に下がる可能性もあります。太陽光発電による不動産活用を始める場合は、FIT制度が終了する前に開始することも検討してみましょう。
まとめ
使用していない不動産の有効活用の手段として太陽光発電が挙げられます。太陽光発電は賃貸経営のように空室リスクや家賃滞納リスクを伴いません。
FIT制度によって一定価格で一定期間電力を買い取ってもらえるメリットがある一方、FIT制度には20年の上限が設けられている、太陽光発電は初期投資が大きいなどのデメリットがあります。
そのため、太陽光発電を始める際は、20年間で回収できるか利回りをしっかり確認し、メリットとデメリットをよく理解してから開始しましょう。
※この記事は金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」より転載された記事です。
【元記事】https://hedge.guide/feature/photovoltaic-power-generation-merit-disadvantage-2020-fit.html
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