民泊投資を運営していくうえで、収益をアップさせるために稼働率をできる限り上げたいと思う方が多いと思います。
稼働率を上げたり、民泊投資の収益を向上させるには、どのようにすれば良いのでしょうか。本記事では、民泊投資の収益向上の3つのコツと注意点についても解説していきます。
1.民泊稼働率は法令制限の範囲
2018年6月の住宅宿泊事業法の施行によって、民泊は年間180日の営業日制限を受けることになりました。したがって、稼働率は50%を下回るのが原則になり、地方自治体によっては上乗せ条例によってさらに営業期間の制限を設けているところもあります。
そのため民泊投資を行う事業者としてできることは、「民泊事業としての稼働率を法令の制限の範囲内でどれだけ稼働率を上げるか」がポイントになります。
2.民泊の稼働率を上げる方法
まずは、民泊事業の稼働率を上げる方法について考えていきましょう。民泊の稼働率を上げる方法としては、Airbnbなどの民泊仲介サイトをどれだけ効率的に利用して集客できるかがポイントの一つといえます。
民泊仲介サイトを効率的に利用するために、以下3つの項目が重要となります。
- リスティングの最適化
- リスティングの写真改善
- ホストの評価向上
今回は主にAirbnbの利用を想定し、上記の3つの項目ごとにサイト内の検索順位や評価を上げる方法を説明していきます。それでは詳しく見て行きましょう。
2-1.リスティングの最適化
民泊仲介サイトに掲載する宿泊施設の紹介全般を「リスティング」と言いますが、特にAirbnbでは、リスティングはゲストが予約を決めるポイントになり、その内容を最適化することが重要になります。
リスティングの最適化では写真が大きな要素を占めますが、ここでは写真以外の要素について、リスティングを最適化するには、主に次の4つ重要なポイントとして挙げられます。
- タイトルで物件をアピール
- アクセス、設備などの説明は具体的に
- レビューの改善
- 検索順位を上げるには
タイトルで物件をアピール
物件のアピールをするリスティング作りにタイトルは重要なポイントです。タイトルはキャッチーな見出しにすることと、物件の最大の強みを入れること、を心がけましょう。
物件の魅力を伝えるには、観光スポットに近い、駅から近い、季節感、などがポイントになります。たとえば、観光名所なら「Tokyo Tower」、駅からの利便性なら「1 min station」、季節感なら「Cherry Blossoms view」など、具体的にアピールしましょう。
アクセス、設備などの説明は具体的に
物件についての説明はなるべく具体的に記載するよう、心がけましょう。
アクセスは最寄り駅名だけでなく路線名まで記載し、観光スポットへのアクセスも分かりやすく記載しておくことが大切です。また、コンビニ至近などの買い物の利便性も記載するとよいでしょう。
部屋の間取りは1Rなのか2LDKなのか、ベッドサイズはシングル、セミダブル、ダブルのいずれなのか、なども細かく書くといいでしょう。アメニティもゲストは一つ一つチェックしているため、丁寧に細かく書くといいでしょう。
レビューの改善
Airbnbでは、利用したゲストからのレビュー数と平均レビュー値が表示されます。
ユーザーは、レビューを参考にして予約を決めることが多く、レビューが高いほどリスティングも高く表示されます。したがって、レビューを改善することが稼働率アップには非常に重要になります。
レビューを改善するには、リスティングを正直に作成し、ゲストとコミュニケーションを取ることが大切です。
リスティングの内容と明らかに異なるような物件だと、ゲストが実際に宿泊したときに期待値が高くなっている分、レビューが下がる傾向にあります。
また、ゲストとコミュニケーションを取ることはホストの評価向上にもつながる非常に重要なポイントです。特にチェックイン時の対応についてのコミュニケーションはレビューに大きな影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
検索順位を上げるには
Airbnbでの検索順位を上げるとゲストの目に止まりやすくなり、稼働率は上がる傾向にあります。Airbnbでは、検索アルゴリズムの決定要因の一部を公表しており、検索者からの反応、リスティングの評価、予約のしやすさなどから決めているとしています。
このうち、検索者からの反応を上げるにはリスティングページの更新頻度を増やしたり、テキスト量を増やしたりすることも有効といえるでしょう。
2-2.リスティングの写真の改善
Airbnbを検索するとまず写真に目が行くため、リスティングの写真は物件のリスティングのなかで重要なポイントの一つです。
ユーザーは説明文よりも前に目につきやすい写真で物件を選別することが多く、ページのクリックが増え、予約に結び付くといえます。稼働率を上げるには物件の魅力を最大限に引き出す写真を掲載すると良いでしょう。
写真を掲載する際に最低限意識したい点は、明るさと清潔感です。晴れた日に撮影し、採光をおこなって明るい写真になるようにしましょう。整理整頓し、寝具などが清潔に見えるよう工夫することも大切です。
広く見えるように、部屋のコーナーの高いアングルから撮影したり、降格レンズで撮影したりするとよいでしょう。様々な角度から撮影し、水回りなどの設備の写真も掲載するなど、情報量を多くするのも効果的です。
また、窓からの景色やマンションのロビー、観光地の写真など、部屋の写真以外にもアピールできるポイントがあればそれらの写真も掲載しましょう。写真の見栄えをよくするために、花やクッション、食器などの小物を置いて撮影するのもゲストへのアピールになります。
リスティングに掲載する写真は宿の第一印象です。実際の設備などがどんなによくても、写真の質がよくないと予約ページまでゲストがたどり着かず、稼働率が低くなる傾向があるので注意しましょう。
2-3.ホストの評価向上
Airbnbでは、ユーザーがホストの評価も重視して予約をするため、ホストの評価を上げることも大切です。
ホストの評価を高くするポイントは、ゲストとのコミュニケーションです。コミュニケーションはゲストからの問い合わせへのスピードと、チェックイン時の対応内容が重要となります。
現地へのアクセスと鍵の受け渡しについては、ゲストに不明点がないように、事前に説明しましょう。チェックイン時にトラブルがあった時、ホストに連絡が取れるようにしておきましょう。
2-4.複数の仲介サイトの利用
Airbnb以外にも、HomeAway、Flipkey、Agoda、AsiaYo.comなど、世界で知名度を持った民泊仲介サイトが多く出現しています。日本国内では、STAYJAPAN、スペースマーケット、Relux、一休.com、AirTripなどが民泊仲介を行っています。
これらの複数の仲介サイトに登録することでそれぞれのサイトを利用しているゲストにアプローチすることが出来るため、稼働率を上げることができる可能性が高まります。
ただし、複数の仲介サイトを利用するときはダブルブッキング阻止システムを導入し、ダブルブッキングをなくす対策を立てるように注意しましょう。
3.民泊の収益を向上させる3つのコツ
ここまで民泊物件の稼働率を上げる方法について解説していきました。その他、収益向上のコツとして次のような3つの対策が考えられます。
- 室内設備・サービスの質の向上
- 運営管理業務の効率化
- 価格設定の見直し
それぞれについて内容をみていきます。
3-1.室内設備・サービスの質の向上
収益を上げるには、サービスの質を上げるという対策が考えられます。さらに設備投資をして高級志向の家具、インテリアに仕様変更するという方法もあるでしょう。
WIFI環境を導入していない場合は、導入すれば宿のサービス向上につながります。様々な国からのインバウンド需要を取り込むために、多言語対応を行うのもよいでしょう。
3-2.運営管理業務の効率化
運営管理業務を効率化することも収益向上につながります。チェックイン時のカギの受け渡しは、最大の効率化を考えるべきポイントといえます。IoTの活用により、タブレット端末などで宿泊者受付、決済、オートロック管理などを行うシステムもあります。
さらに、ゲスト対応には多言語のネイティブが対応するコールセンターを利用することで、運営管理業務の効率化と併せて、サービスの質の向上にもつなげることが可能です。
3-3.価格設定の見直し
価格設定を稼働率に応じて見直すことも収益向上のコツの一つです。稼働率の低い平日は単価を安くしたり、稼働率の高い週末や観光関連のイベントがある日は高めの単価にしたりすることで、全体の収益を増やすことができる可能性が高くなります。
4.民泊運営で気を付けたい注意点
これまで、民泊投資で収益を向上させるコツや稼働率を上げる対策について説明してきましたが、運用に関しては注意点もあります。
- ゲストの個人情報の管理
- チェックイン対応とウェルカムガイド
- クレームを出さないためには
こちらもそれぞれ見て行きましょう。
4-1.ゲストの個人情報の管理
民泊運営では宿泊者の本人確認と記録を取る必要があります。これら宿泊者の個人情報の管理には細心の注意を払いましょう。
個人情報は個人情報保護法によって厳しく保護規制がなされています。もし、個人情報が流出したりすると宿の信用が低下するだけでなく、刑事責任や民事責任に問われる可能性もあります。
4-2.チェックイン対応とウェルカムガイド
民泊運営においてチェックイン対応は最も気を付けたいポイントです。
チェックイン時にトラブルがないよう、事前にアクセスの詳細やカギの受け渡し方法などについては丁寧に説明しておき、トラブルがあった時のホストへの連絡方法についてもご案内しておきたいといえます。
チェックイン後、ゲストが備品の使用やチェックアウト、その後の旅行などに困ることのないよう、ウェルカムガイドはできる限り細かく作成しておきましょう。できれば、多言語対応のものを用意した方がよいでしょう。
4-3.クレームを出さないためには
クレームを出さないようにするには、ゲストとのコミュニケーションを密に取ることが必要です。ゲストから問い合わせがあった時は、なるべく早く返信するようにしましょう。
予約時の条件やリスティングの内容と実際の部屋、宿泊条件が異なることがないようにすることも大切です。複数の民泊仲介サイトに登録している場合には、ダブルブッキングには気を付けましょう。
また、オーナーと共用の部屋を利用する場合にはその旨を事前に明確に伝え、トラブルとならないように注意が必要です。リスティングの内容は、正確に、正直に、を重視し、ゲストの期待感を裏切らないように気を配ることが重要となります。
5.民泊の収益改善が難しい、出来ない場合
民泊は観光客や海外渡航者が主なゲストとなるため、賃貸用不動産と比較して景気の影響を受けやすい事業です。特に、2020年2月頃に問題が顕在化した新型コロナウイルスの影響によって、2020年7月現在でも多くの民泊事業者が収益減となっています。
今回ご紹介した収益改善の方法を実施しても改善が見られない場合、もしくは対策が困難である場合には物件の売却を視野に入れておくことが大切です。
まずは不動産一括査定サイトで複数社による査定を受けておき、今売却したらいくらになるのかを調査しておきましょう。物件査定でおおよその売却額を事前に知っておくことで、民泊投資を継続するか中断するかの判断材料となります。
不動産一括査定サイトは物件情報を一度登録すると、複数の不動産会社による査定が受けられるサービスです。複数社の査定結果を比較したり、そのまま売却を依頼することもできるメリットがあります。
投資用不動産の売却実績が豊富な「リガイド」や、提携企業数が1600社以上の「イエウール」、悪徳会社を徹底排除で顧客満足度90%の「HOME4U」など、これらの不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。
まとめ
民泊投資の収益向上には、運営管理業務の効率化などの方法もありますが、制限の範囲内で稼働率を上げることが最も重要なポイントと言えます。
稼働率を上げるには、今回ご紹介した4つの項目を見直し、民泊仲介サイトのリスティングを充実させることで収益の改善が期待できます。本記事を参考にして、リスティングの差別化を図ってみましょう。
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