日本民泊協会がGoToトラベルキャンペーンの第三者機関として登録されたことで、民泊物件もキャンペーンの適用を受けることが可能になりました。一定の条件を満たした民泊施設は日本民泊協会とGoToトラベルキャンペーンに登録し、旅行代金が35%割引で販売、旅行先で使える地域共通クーポンを配布する事ができます。
民泊事業を行っている方にとっても旅行者の獲得が期待できるメリットの大きいキャンペーンですが、新しい制度であるため適用条件や申し込み方法が分からない方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は民泊事業者の方向けに、GoToトラベルキャンペーンの適用条件や申し込みの手順を解説していきます。申し込みの他に自社ホームページ作成や感染対策等も必要となりますが、より多くの旅行者に利用してもらい今後のリピートに繋げていきましょう。
1.日本民泊協会が、業界初のGoToトラベルキャンペーン対象に
2020年7月22日より開始されたGoToトラベルキャンペーンですが、一般社団法人日本民泊協会が民泊業界で初めてGoToトラベルキャンペーンの第三者機関に登録されました。
これにより日本民泊協会への会員登録とGoToトラベルキャンペーンに登録した全国の民泊施設は、宿泊者に旅行代金を35%割引で販売、旅行先で使える地域共通クーポンを付与することが可能になります。
旅行代金の割引は旅行者が旅行後に還付申請を行い、事業者または第三者機関を経由してGoToトラベル事務局から旅行者に還付される仕組みとなっています。地域共通クーポンはGoToトラベル事務局が事業者に発行し、事業者が旅行者に配布します。
GoToトラベル「事業者向け申請サイト」によると、「新型コロナ感染拡大により打撃を受けた観光業への支援に加え、旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関等で使用できる地域共通クーポンを発行し観光地の消費を促す政策である」旨が記載されています。
民泊は通常の旅館と比べ、古民家や木造物件等通気性のある家屋が多く、元々無人フロントや他の旅行者と接触しない一軒貸し切り等のサービス等があることから換気の悪い密閉空間、多くの人の密集、会話や発声といった人との密接という「3密」を作りにくい傾向にあります。
感染のリスクを抑えつつ、旅行者に旅行を楽しんでもらい観光業を復興させるためにGoToトラベルキャンペーンで民泊を利用してもらいましょう。
2.GoToトラベルキャンペーンの適用条件
民泊・宿泊施設のGoToトラベルキャンペーンの適用条件は以下の通りになっています。
- 2020年7月22日以降に開始する国内旅行の代金※例えば7/21~23の宿泊旅行など、7/22をまたぐ旅行であっても出発日が7/21より前の場合は対象外。地域共通クーポンは9月以降に別途通知がある予定。
- 旅行者がGoToトラベルキャンペーンの参加事業者として登録した事業者の提供するキャンペーン適用商品を申し込み・購入。
- GoToトラベルキャンペーン開始前の旅行の予約も対象となるが、旅行商品が GoToトラベル事業の支援対象であり旅行商品を販売する業者が参加事業者登録を受ける必要がある。
- GoToトラベルキャンペーンの予算がなくなっていない状況である。
- 旅館業法の許可を得た又は住宅宿泊事業法の届出をした住宅、国家戦略特区法の認定を受けた特区民泊で、「適正な執行管理のための体制が確保されていること」が条件
※当面の間、東京都在住者または東京行きの旅行は除く(2020年8月時点)
宿泊旅行は1人1泊あたり2万円、日帰り旅行は1万円が給付上限となり、自治体とのキャンペーン併用は自治体の判断に委ねることになります。
民泊における「適正な執行管理のための体制が確保されていること」とは「宿泊施設の予約システムを通じて宿泊記録が外部に確実に蓄積・保管される仕組みが構築されている」といった宿泊施設として事業者が適正な記録・管理を行っている事を指します。
GoToトラベルキャンペーンは予算がなくなった時点で事業は終了する見込みですので、GoToトラベルのウェブサイトやマスコミの報道など予算状況について確認をしておきましょう。「予算がなくなった」と通知された際は、GoToトラベルキャンペーンを利用出来なくなります。
給付金の申請は事業者または第三者機関がGoToトラベル事務局に月次報告書を送付し審査を受けた後、支払われることになります。
3.GoToトラベルキャンペーン申し込みの手順
民泊の場合第三者機関である一般社団法人日本民泊協会への会員登録と、GoToトラベルキャンペーン対象の宿泊事業者として登録、日本民泊協会の感染症対策安全評価認定制度で認定を受けた後自社ホームページを作成し「感染症対策済みロゴマーク」を掲示する必要があります。
まずはGoToトラベルキャンペーンの登録・申請対象者を下図で確認してみましょう。
※GoToトラベル「登録申請について」より引用
旅館業法・住宅宿泊事業法・国家戦略特別区域法(特区民泊)のいずれかに従い運営する施設で、第三者機関である日本民泊協会に宿泊記録のデータを保管、事務局に提出できる体制が整っていることが条件となります。
3-1.日本民泊協会への登録方法
まずは一般社団法人日本民泊協会への会員登録方法を解説していきます。日本民泊協会の会員は一般会員とJAPA会員という賠償保険が適用になる2つの会員制度があります。
入会金や年会費・特典は以下の通りです。
一般会員 | JAPA会員 | |
---|---|---|
入会金 | 0円※2021年3月まで 通常5万円 |
5万円 ※自社ホームページ作成不要の場合は0円 |
年会費 | 年間1200円(非課税) | 年間24000円(非課税) |
特典 | ・日本民泊協会認定の感染症対策済みロゴマークが使用できる ・大阪観光局や各地の観光機関との提携で「安心安全の施設」として宣伝できる |
・日本民泊協会認定の感染症対策済みロゴマークが使用できる ・大阪観光局や各地の観光機関との提携で「安心安全の施設」として宣伝できる ・自社ホームページを5万円で作成可能 ・施設内で物品を損壊された時の補償(損害保険)付き |
※一般社団法人 日本民泊協会「料金表」より引用
日本民泊協会認定の感染症対策済みロゴマークとは、協会が独自に定めた感染症対策安全評価認定制度により貰えるもので、ロゴマークを施設内に掲示することで旅行者が安心して滞在する事を目的とする試みです。
ロゴマークはガイドラインに基づいた感染対策を行っている、講習会に参加し専門的な知識を習得しより効果的な感染症対策ができている等の基準により1つ星、2つ星、3つ星と3段階で認定されます。
自社ホームページは自分で作成するか、日本民泊協会のJAPA会員となり5万円で作成を依頼することができます。
一般会員として登録したい場合は日本民泊協会のホームページのトップ画面「一般会員入会はこちら」から会員登録ページへと進みましょう。
※一般社団法人 日本民泊協会「GoToトラベル」より引用
3-2.GoToトラベルキャンペーンへの登録方法
次に、GoToトラベルキャンペーンの登録方法について解説します。
GoToトラベルキャンペーンの「トップページ」上のメニュー「申請」をクリックした後、真ん中の「宿泊事業者の方へ」のボタンをクリックしましょう。
クリック先のページでは、給付金の申請方法に3つのパターンがある事が説明されています。
※GoToトラベル「宿泊事業者の方へ」より引用
宿泊事業者の旅行商品の販売方法・給付金の申請者により3つのパターンに分かれます。それぞれのパターンの概要と必要書類を見ていきましょう。
パターンA
日本民泊協会の「Gotoトラベル事業 宿泊業者参加解説」によると、事業者はパターンAでは情報の登録のみで参加が可能で予約のデータ管理やGoToトラベル事務局への月次報告書作成、送付等は日本民泊協会が行います。
必要書類は情報登録申請書・GoToトラベル事業参加同意書旅館業・住宅宿泊事業等の許可・届出番号等が記載された証明書類の写しとなり、法人の場合は法人番号、複数の宿泊施設を有する場合は宿泊施設リストも提出します。
パターンB
パターンBでは宿泊事業者が予約のデータ管理を行い日本民泊協会に報告、月次報告書の作成・送付も同様に事業者が行います。
必要な書類は給付枠申請書・取扱実績報告書兼販売計画書・GoToトラベル事業参加同意書・口座確認書・口座情報が確認できる書類(通帳の写し、キャッシュカードの写し、口座証明書等)・旅館業・住宅宿泊事業等の許可・届出番号等が記載された証明書類の写しで、パターンAと同様法人の場合は法人番号を提出します。
事務局が提出を求めた時には直近の決算報告書が必要となります。
パターンC
パターンCでは事業者は予約のデータ管理のみを行い日本民泊協会が施設ごとにデータを保管、月次報告書の作成・送付は協会が行います。
情報登録申請書・宿泊施設リスト・GoToトラベル事業参加同意書・口座確認書・口座情報が確認できる書類(通帳の写し、キャッシュカードの写し、口座証明書等)・旅館業・住宅宿泊事業等の許可・届出番号等が記載された証明書類の写しが必要な書類です。
パターンBと同様法人の場合は法人番号を提出します。事務局が提出を求めた時には直近の決算報告書が必要となります。必要書類はGoToトラベルキャンペーンのウェブサイトからダウンロードできます。
新型コロナ感染拡大防止のため、オンライン申請が推奨されていますので、可能な限りオンラインで申請を行いましょう。
まとめ
GoToトラベルキャンペーンの民泊への適用条件は住宅宿泊事業法の届出をした住宅、国家戦略特区法の認定を受けた特区民泊であり、宿泊記録や旅行者のデータ管理といった適正な執行管理のための体制が確保されていることが条件となります。
民泊の場合、GoToトラベルキャンペーンに加え日本民泊協会への登録を行う必要があり申請が煩雑ですが、この記事で手順を理解して効率的に申請を行いましょう。
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