沖縄県今帰仁村で1か月ワーケーション。沖縄ならではの宝物に囲まれる

古宇利島と古宇利大橋が見える風景。夢のような青い海。

観光地として国内外から人気を集める沖縄県は近ごろワーケーションでも注目されている。今回は特に滞在先として選ばれることが多い那覇市ではなく、沖縄本島の北にある今帰仁村(なきじんそん)を拠点にし、ワーケーションを行った。

文:ロジャー・オング、編:秋山哲一

※新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向け、2022年1月20日現在、沖縄県は県外からの来訪者に対して往来に関するお願いを県公式ホームページ新型コロナウイルス感染症特設サイト上に公開しております。来訪検討前にご確認をお願いいたします。

初めての沖縄県で今帰仁村に滞在する

沖縄を訪れるときは観光の中心地であり、もっとも人気がある那覇市に滞在するのが一般的だ。そして仕事をするにも、那覇市を選べばコワーキングオフィスやコンビニといった便利な施設があるため、困ることはない。

私は各地に最低1か月は滞在して働くアドレスホッパーとして生活しているため、仕事に適した環境を探すことも欠かせない。しかも、初めての沖縄県で今帰仁村を選ぶことに多少の不安もあった。ただ、今帰仁村でどのようにワーケーションをするかを考えることも楽しみだった。

実際に村を訪れてみると、周辺は穏やかで、沖縄ならではの独特の雰囲気があった。ワーケーション先に選んだのは、静かで緑に囲まれていて、仕事に適した環境があり、近くにアトラクションやたくさんの穴場カフェがある拠点だ。

今帰仁の周辺は素朴な印象だが、沖縄の独特の雰囲気がある。

今帰仁の周辺は素朴な印象だが、沖縄の独特の雰囲気がある。

沖縄ならではの「宝物」に囲まれる

今帰仁村は沖縄本島北部の名護市の北にある。

今帰仁村は本島北部名護市の北に位置する

今帰仁村は本島北部名護市の北に位置する

初めての沖縄への訪問で今帰仁村を選んだことに後悔はなかった。瀬底島の夕日や古宇利の青い海の美しさ、隠れ家のようなカフェでの静けさに浸ることができた。

たくさんの人形を飾る「かかし広場」。何のために作られたのか。誰が作ったのか。今帰仁村の探索が始まる。

たくさんの人形を飾る「かかし広場」。何のために作られたのか。誰が作ったのか。今帰仁村の探索が始まる。

予想通り、無料で利用できるWi-Fi設備が整っている場所はあまりなかった。ポケットWi-Fiやテザリングできる端末を持参することをおすすめする。もちろん、民泊やホテルでリモートワークをする場合、Wi-Fiの接続や速度は問題ない。

車を運転する場合は、折りたたみ椅子や日焼け止め、スリッパ、ビーチウェアも持参するとより楽しめる。ビーチがいくつかありアクセスしやすいため、海を臨んでの仕事の合間に辺りを散歩し、泳ぐこともできる。

古宇利島と古宇利大橋が見える風景。夢のような青い海。

古宇利島と古宇利大橋が見える風景。夢のような青い海。

今帰仁村には沖縄ならではの多くの宝物があった。

静かな宿泊施設で過ごす価値

アドレスホッパーとしての生活では、ADDressやHafhといった多拠点居住サービスも滞在先によって活用するものの、宿泊できる物件の選択肢が豊富なAirbnbを利用することが多い。今回もAirbnbで今帰仁村に宿をみつけることができたのは幸運だった。しかも、ほかの宿泊施設であれば2名分の宿泊料金で8人が宿泊できる家に滞在できたため、寝食ともに快適だった。

緑に囲まれていたこともあり、たくさんの虫も覚悟していたが、滞在していた1か月間、囲まれずに済んだ。また、ここの水は硬水で、日本で硬水が出る場所に滞在するのは初めてだったのも私にとっては新鮮な経験だった。

緑に囲まれていたこともあり、たくさんの虫も覚悟していたが、滞在していた1か月間、囲まれずに済んだ。また、ここの水は硬水で、日本で硬水が出る場所に滞在するのは初めてだったのも私にとっては新鮮な経験だった。

ホストからは午後8時以降、静かにするよう案内があった。この案内が意味することがはじめは何なのか、知る由もなかったが、滞在しているうちにこの地での静寂は貴重で誰もが守りたいものだとわかった。そして、それは耐え難い沈黙を約束するものではなく、感謝の念すら覚えるものだった。

静寂のなかで星をみつめること。

これは都市生活とは真逆の体験だった。天を見上げ、人生をあらためてみなおすことにもつながるひとときは、晴天の夜だけのかけがえのない時間だった。

沖縄美ら海水族館と古宇利島

今帰仁村は、2つの人気スポットにも近い。西には、日本最大の水族館であり、世界第3位の規模を誇る沖縄美ら海水族館がある。そして、東には、古宇利島がある。たくさんの見どころがあり、印象深い美しい海に囲まれた小さな島だ。

古宇利大橋。長さは約2km。対岸の島は古宇利島。もっとも美しい海と空のコントラストに心が躍る。橋をゆっくりと歩いても同じような心持ちになる。

古宇利大橋。長さは約2km。対岸の島は古宇利島。もっとも美しい海と空のコントラストに心が躍る。橋をゆっくりと歩いても同じような心持ちになる。

車を運転すれば、空と海の愛情のこもった抱擁を身に感じながら、すぐに古宇利島のカフェやレストランにたどりつく。島ではイルカのショーやフィジーを思わせるランチ、それにビーチでの散歩も楽しめる。

沖縄美ら海水族館。沖縄方言で「ちゅら」は「優雅」を意味する。ジンベイザメが巨大な水槽の中を泳いでいるのをみると、いかに名前にふさわしいかがわかる。

沖縄美ら海水族館。沖縄方言で「ちゅら」は「優雅」を意味する。ジンベイザメが巨大な水槽の中を泳いでいるのをみると、いかに名前にふさわしいかがわかる。

おすすめの移動手段

今帰仁村を「いなか」と呼ぶ人もいるだろう。ただ、人里離れたというよりはリゾート感がある。たしかに車がないと移動が困難だと感じることもあった。自転車を用意していたことが功を奏したが、移動手段がなければ食料品を買いに出かけるにしても毎回2kmは歩かなければならない。

バスも便利だが、あらかじめアクセスのよさを検討しておくことをおすすめする。

今帰仁城跡。車を使えば、いろいろな場所で待ち受けるアドベンチャーを楽しめる。

今帰仁城跡。車を使えば、いろいろな場所で待ち受けるアドベンチャーを楽しめる。

フェリー移動でまさかの船酔い

自転車で日本中を旅する私にとって、フェリーはもっとも利用しやすい移動手段だった。しかし、今回ばかりは次にフェリーに乗るときの穏やかな海を想像せざるをえなかった。荒波の中で船酔いしたのだ。沖縄までフェリーで移動する時間はベッドに突っ伏し、うめきながら過ごす地獄のような行程となった。

フェリーに乗る前の高揚感は船上で消えた。地獄が待ち受けることになるとは思わなかった。

フェリーに乗る前の高揚感は船上で消えた。地獄が待ち受けることになるとは思わなかった。

船酔いに強い場合でも、フェリーでのパソコン作業はWi-Fiのアクセスとスペースの確保が課題となり、難しく感じるだろう。フェリーは沖縄に到着後、さまざまな島をめぐるときに、短時間ずつ利用するのがおすすめだ。

沖縄までの移動は飛行機、沖縄での移動はレンタカーの組み合わせが便利だ。

医療サービスについて

ワーケーションをしやすい環境が整っている都市部では医療機関が充実しているため、特に病院に気を配ることはなかった。しかし、今回の旅ではなんと自転車で事故に遭ってしまった。人生で初めて旅行中に整形外科を探すことになったがなかなかみつからず、焦りを感じた。多くの医療機関は水曜日が休診で、診療中の整形外科までかなりの距離を移動することになった。何か疾患がある場合は事前に医療機関を調べておくことをおすすめする。

今帰仁・本部のおすすめカフェ・レストラン

その土地の料理を味わうこともワーケーションの醍醐味だ。今帰仁村のほか、隣接する本部町(もとぶちょう)でも印象に残ったカフェ・レストランを紹介する。

【本部】cafeハコニワ

【本部】cafeハコニワ

みつけたとき、驚いたカフェだ。1時間ほど自転車に乗り、休憩をとろうとすると、木々のなかに押し込まれたように佇んでいる建物があった。cafeハコニワを訪れる理由は、平和と静けさを求めることにあるのだろう。この場所の美しさを堪能できるのは雨が降った後だ。温かい茶と自家製の菓子を味わいながら、鳥が空想にふけって歌うとき、その美しさは至上のものとなる。

【今帰仁】Airando FIJI Restaurant & Cafe

【今帰仁】Airando FIJI Restaurant & Cafe

沖縄以外の料理を紹介するのは趣旨から外れるだろうと思っている。ただ、フィジー料理を味わう機会もなかなかないと思い、立ち寄ったレストランを紹介する。フィジーレストランアイランド では、晴天のパティオ席で、おいしいフィジー料理を味わいながら、古宇利大橋の景色を楽しむことができる。親切なスタッフの対応も忘れ難い。間違いなく訪れる価値のある店だ。

【本部】アイスクリンカフェ アーク

【本部】アイスクリンカフェ アーク

アイスクリンカフェ アーク」は、本部のとある丘の上にある。小さな邸宅のようなカフェは居心地のよいインテリアを備え、海に囲まれた美しい景色を眺めることができる。ちなみに、店主の女性は植物学の知識が豊富なため、興味がある人はぜひ話してみてほしい。

【沖縄県内】「子どもの貧困を解決するタコライス」を食べよう!

【沖縄県内】子どもの貧困を解決するタコライスを食べよう!

「タコライスラバーズ」をご存じだろうか。「タコライスラバーズ」は、子どもに無料でタコライスを提供する仕組みを整えているカフェやレストランのネットワークだ。レストランでの食事後、「未来チケット」を購入するとボードに載せることができる。そして、子どもなら誰でもそのレストランで、誰かがボードに載せた「未来チケット=タコライスの無料チケット」がもらえる。「タコライスラバーズ」には沖縄の子どもの飢餓を撲滅したい想いがつまっている。

忘れられない、あの青さ

都市での生活は快適だ。仕事ができるコワーキングオフィスや気軽に食事ができるレストラン、歩ける距離に複数あるコンビニエンスストア。しかし、それに慣れてしまうことで、遠く離れてしまう喜びもあることを、今回のワーケーションでも実感した。ユニークな体験もさることながら、その土地の人の逸話を酒を酌み交わしながら聞くのも味わい深く、すべてが沖縄のかけがえのない思い出だ。今帰仁村の青さが恋しい。またいつか訪れるだろう、食事の味や歌、風との再会を待っている。

※新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向け、2022年1月20日現在、沖縄県は県外からの来訪者に対して往来に関するお願いを県公式ホームページ新型コロナウイルス感染症特設サイト上で公開しております。来訪検討前にご確認をお願いいたします。

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