民泊投資を始める前に知っておきたい8つのリスクとは?プロが解説

民泊投資は高収益を狙える反面、高リスクの投資であるといえます。そのリスクの一端は、2020年のコロナ禍によって顕在化していると言えるでしょう。

民泊投資を始める前に、どのようなリスクがどの程度生じうるのか、把握しておきたいと考えている方は多いのではないでしょうか。本記事では、民泊投資を始める前に知っておきたいリスクについて、収入面、支出面と手間・トラブル・規制面から、8つ紹介します。

1.民泊投資のリスクとは

民泊投資は、投資戦略や経営努力によって高収益を狙える投資手段ですが、同時に高リスクでもあります。

民泊投資のリスクとして、収入が得られなかったり不安定になったりする収入面からのリスクと、他の投資手段と比較して支出が大きくなる支出面からのリスク、手間・トラブル・規制からのリスクと、大きく3つに分けることが出来ます。

高収益を狙うには、いずれのリスクもできる限り抑えたいところですが、収入面のリスクを抑えようとすると、支出が大きくなる場合もあり、両者のバランスをとるのは難しいといえます。

また、手間やトラブル、規制のリスクは、単純に支出面のリスクにも結びつくだけでなく、場合によっては民泊投資から撤退しなければならない事態に発展しかねないので注意が必要です。

2.収入面からのリスク

民泊投資の収入面からのリスクとして、次のような点が挙げられます。

  • 収入が宿泊ニーズによって変動する
  • 規制などにより収入ゼロのリスクも
  • 売却しにくい

収入は不安定であり、全くゼロであることもあるだけでなく、いざ売却して現金化しようとしても難しいという点がリスクとなります。以下で、それぞれの内容を説明していきます。

2-1.収入が宿泊ニーズによって変動する

民泊投資では、収入を宿泊料から得るため、収入は宿泊ニーズによって変動します。

宿泊ニーズは、インバウンド需要、立地環境や利便性、競合の存在、観光事業、などに依存しています。コロナ禍は、インバウンド需要の激減をもたらしていますが、このような未曽有の出来事でなくとも、外国人観光客の求めているものによって宿泊ニーズは変わります。

観光地へのアクセスや交通便などの立地環境の違いも、少し違いが宿泊ニーズに大きな影響を及ぼします。競合の民泊施設が新しく近隣にできた場合は、宿泊客を奪われてしまうこともあります。

地方であれば、各自治体が観光事業に力を入れている地域かどうかで集客に差が生じてきます。

2-2.規制などにより収入ゼロのリスクも

民泊投資では、収入が不安定なばかりだけではなく、全くないことがあります。

住宅宿泊事業法による民泊は年間180日の営業日制限があります。残りの185日は、原則として宿泊料収入はゼロです。

また、開業当初の住宅宿泊業法による届出や旅館業法による簡易宿所の許可、特区民泊の認定手続きには一定の期間がかかりますが、この期間に宿泊料収入は見込めず、住宅取得後のローンの支払や賃貸契約後の賃料、経費が発生しています。

2-3.売却しにくい

民泊物件の売却は、不動産としての売却という側面以外に、事業としての売却という側面を持つため買い手が限られ、売却しにくいというリスクがあります。

物件を所有している場合は不動産としての価値があるため、賃貸物件と比較して売却は用意と言えます。しかし、収益不動産として買い手を探すことになり、売却までには数か月程度の期間がかかることも珍しくありません。

また、物件を賃借している場合で利益が出ていなければ売却は非常に厳しいといえます。コロナ禍によって売上が激減している現在の市況では営業を続けても赤字が累積していく可能性もあるため、譲渡も難しいケースも見られます。

3.支出面からのリスク

民泊投資の支出面からのリスクとして、次のような点が挙げられます。

  • 初期投資コストがかかる
  • 運営コストがかかる

初期投資コストはアパート経営ほどではないものの、数百万円から数千万円かかることも少なくありません。賃貸の不動産投資に比べて運営コストが高くなる分、リスクが高いといえます。

以下で、それぞれの内容を説明していきます。

3-1.初期投資コストがかかる

民泊投資では、宿泊業を開業・運営するために、初期投資に多額のコストを要します。

宿泊施設の物件を購入する場合は数千万円単位、賃借する場合であっても、物件の敷金・礼金のほか、法規制の条件を満たすためのリフォーム費用として数百万円の資金を必要するケースも少なくありません。

このほか、家具、寝具などの宿泊用の備品の準備費用として数十万円程度を見込んでおくことも必要です。このような初期投資による支出は、収入が安定しないリスクがあることから、必ずしも回収できるとは限らないため、大きなリスクになります。

3-2.運営コストがかかる

民泊投資では、運営コストが割高になります。住宅宿泊事業法の家主不在型の民泊では、住宅宿泊管理業務を指定業者に委託しなければなりません。管理業務の委託手数料は、売上の20%程度かかり、賃貸の不動産投資と比べるとかなりの割高といえます。

この他にも、物件を賃借している場合には家賃がかかり、収入が上がらなくても家賃コストだけは発生することになります。赤字が累積することにもなりかねず、民泊特有のリスクといえるでしょう。

4.手間・トラブル・規制からのリスク

収入面、支出面のリスクのほか、手間・トラブル・規制面からリスクがあります。主に、次のような点が挙げられます。

  • 開業や運営に手間がかかる
  • ゲストや近隣住民とのトラブルが起こりうる
  • 法規制の影響を受ける

以下で、それぞれの内容を説明していきます。

4-1.開業や運営に手間がかかる

民泊投資では、住宅宿泊事業法の届出、あるいは旅館業法の簡易宿所の許可、もしくは特区民泊の認定を受ける必要があります。開業には、役所の関係部署とのやり取りが必要になり、手間がかかります。

運営においても、手間がかかるといえます。宿泊管理業務として、衛生管理、宿泊名簿作成・提出、緊急・災害時の対応などの業務が必須となります。

いずれもオーナー自身がおこなう必要はありませんが、業者に委託する場合には、そのコストがかかります。

開業手続きや運営業務を委託したとしても、キャッシュフローの把握と、宿泊業の意思決定は、経営者であるオーナーの業務です。月次決算など経営状況の把握を頻繁に行い、迅速かつきめ細かい対応も重要となります。

これらの業務もオーナーの義務ではありませんが、リスクの高い民泊運営の収益率を高めるために重要なポイントと言え、運営開始前にそれらの手間や労力をかけることのできるか慎重に検討することが大切です。

4-2.ゲストや近隣住民とのトラブルが起こりうる

ゲストとのトラブルとして備品の汚損や紛失、近隣住民とのトラブルとして騒音やゴミ出しなどの問題が起こり得ます。ゲストとのトラブルは、民泊施設の評判にも影響し民泊投資の将来的な運営に支障をきたしかねません。

また、近隣住民とのトラブルは、都道府県知事からの業務停止命令などにもつながりかねず、適切な対処を求められます。民泊投資ではこのような宿泊事業運営上のリスクに経営者として判断対処していくことが必要です。

4-3.法規制の影響を受ける

住宅宿泊事業法の民泊は各自治体の条例によって営業地域や営業期間などにつき、独自の規制をかけている場合があります。同様に旅館業法の簡易宿所の許可も、条例により独自の規制をかけている場合があります。

このような規制動向は情勢によって変化することがありえるため、規制改正によっては民泊や簡易宿所の営業形態を変えたり、撤退を余儀なくされたりすることもあるので注意が必要です。

5.民泊投資のリスク対策

ここまで民泊投資で起こり得るリスクについて解説してきました。民泊投資を始める前にはこれらのリスクを踏まえ、リスクに見合ったリターンが見込めるかどうか慎重に検討することが大切です。

また、民泊投資は高リスクな投資手段であることを考慮し、他の投資方法とリスクとリターンのバランスを比較したり、投資資金を集中させずに他の投資方法と並行して運用することで資産分散させておくことも重要なリスク対策となります。

5-1.不動産を所有しており、活用方法を検討している場合

すでに不動産を所有している中で活用方法を検討しているのであれば、民泊投資以外の不動産活用方法と並行してリスク・リターンを比較することも大切です。

例えば「HOME4U(土地活用)」では、マンション経営やアパート経営、駐車場経営、賃貸併用住宅、大規模施設など土地の活用方法を選択することで、最大7社からの収益最大化プランを比較することができます。

【関連記事】土地活用がしやすい地域の特徴は?田舎でもできる活用方法も併せて紹介

5-2.これから不動産を取得・賃貸して民泊投資を検討する場合

また、これから新規で不動産を所有・賃貸して民泊運用を検討している方は、少額から不動産投資が出来る不動産投資型クラウドファンディングを利用することも検討してみましょう。不動産投資型クラウドファンディングでは、複数の投資家がファンドへ投資することで1人あたりの投資額を少なくし、低リスクの資産運用が可能となります。

例えば、株式会社ブリッジ・シー・キャピタルが運営する不動産投資型クラウドファンディング「CREAL」では、個々の投資家の資金がまとめられて不動産投資案件に出資される仕組みになるため、投資家一人あたりの負担額は全ての案件について1万円からの投資が可能です。

CREALでは民泊物件はまだ募集を行っていませんが、観光施設やホテル物件のクラウドファンディング案件を募集した実績があり、今後も同様の観光客向けの宿泊施設の案件を取り扱う可能性があります。

【関連記事】クラウドファンディングで民泊投資、物件運用との違いや判断のポイントは?

まとめ

民泊投資では、収入面、支出面からリスクが高いといえます。収入面のリスクとして、将来的な宿泊ニーズの変動に大きな影響を受けるリスクは予測することが難しい傾向があります。

一方、法規制のリスクや立地環境・利便性のリスクなどの予測しやすいリスクには、事前調査をすることで対応することも可能です。

支出面のリスクとして、宿泊業を運営する上で、一定以上の運営コストがかかるのは避けられないでしょう。初期投資コストは収入に与える影響とのバランスが重要になってくるといえます。

手間・トラブル・規制のリスクは、宿泊事業の運営の基盤に関わる部分であり、民泊投資のオーナーとしての経営判断が求められるといえます。

いずれのリスクについても、あらゆるケースを想定し、自らが許容できる範囲で投資をおこなうことが大切になります。事前の調査や準備を慎重に行い、リスクとリターンのバランスを取った投資を検討しましょう。

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Livhub 編集部

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