戸建を高く売るコツや手順は?売却後に後悔しないための注意点も

戸建の売却価格は1割の違いでも数百万単位になったり、ちょっとした売却活動の差が大きな収入の差につながることがあります。

しかし、戸建の売却は手続きも複雑で手間もかかり、高く売るためにはどのようなポイントに注意して売却活動を行えばよいのか、売却経験のない方や不動産について詳しくない方にとってわかりにくいと言えます。

そこで、本記事では、戸建売却で後悔しないために、戸建の売却の流れに即して、特に注意したい点を8つ挙げて解説していきます。

1.戸建売却の手順・流れ

戸建はマンションに比べて売却に手間や時間がかかるケースが多くあります。戸建には土地が付いており、土地の境界や土地が接する道路状況について確認する必要があるためです。

戸建売却のおおまかな手順について詳しく見て行きましょう。

1-1.売却予定の戸建に関連した書類を集める

できるだけスムーズに売却を進めるために、売却する戸建に関連した書類を集めておきましょう。

購入時の売買契約書・重要事項説明書、固定資産税評価証明書(土地・家屋)、登記識別情報(権利書)など、手元にある書類から順に集めると良いでしょう。

なお、もし手元になかったり収集方法が分からない場合は、仲介を依頼する不動産会社へ相談することでアドバイスをもらえることがあります。まずは分かる範囲で書類を集めておき、その後は必要に応じて適宜対応していくとスムーズです。

1-2.複数の不動産会社へ不動産査定を依頼する

準備が整ったら、売却査定を依頼する不動産会社を選ぶことになります。この際、1社だけではなく複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定価格や査定の根拠、不動産会社の対応力を比較し、より良い条件で売却ができる不動産会社を選定することが重要です。

複数の不動産会社へ査定依頼ができる「不動産一括査定サイト」を利用すると、効率的に作業を進めることができます。実際の売却依頼は査定後に決めることができるため、まずは価格を知りたい、という場合にも利用を検討してみましょう。

下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは悪徳な不動産会社の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴があります。

1-3.不動産会社と媒介契約を締結する

査定を依頼した不動産会社の中から、実際に売却を依頼する不動産会社と媒介(ばいかい)契約を結びます。媒介契約は売主と不動産会社が結ぶ契約で、売却依頼の条件や期間について定めています。

媒介契約には、同時に依頼できる不動産会社の社数や期間、不動産会社による売却活動の報告義務などの条件が異なる3種類の契約方法があります。下表、媒介契約の種類と条件について解説しています。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

一般媒介契約は複数社と締結できるメリットがありますが、不動産会社にとっては競合が増えることとなり、広告費をかけた積極的な売却活動を行ってくれない可能性があります。

一方、専任・専属専任媒介契約は報告義務・レインズへの登録義務が発生し、不動産会社の積極的な売却活動が期待できる反面、1社にしか依頼できないデメリットがあります。

依頼する不動産会社に迷った場合は、まず一定期間は一般媒介を締結し、その期間内で売却が進まない場合は専任・専属専任媒介契約を締結するなど、工夫してみましょう。

1-4.戸建の売却活動

売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動開始となります。売却活動は、基本的には不動産会社に任せることになりますが、買主候補者から価格交渉が入った場合や物件について要望事項があった場合などは、売主が対応する必要が生じてきます。

1-5.不動産売買契約の締結・引渡し

買主が決まったら、売買契約の締結となります。戸建の売却では、買主はローンを利用することが多く、この場合ローンの承認が下りてからの決済・引渡しとなります。売却活動を開始してから売却が完了するまで、3か月から1年程度かかる傾向があります。

2.戸建の売却で後悔しないための注意点

戸建売却の流れを踏まえたうえで、戸建の売却で後悔しないための注意点について解説します。

売却前に準備しておきたいポイントとして、土地と建物に関する問題の確認と解決、価格相場の調査が挙げられます。

売却活動をおこなう際には、不動産会社選びに注意し、物件のアピールポイントを整理しておくことも重要です。売却活動中は、買主候補への対応や、水回り設備の管理に注意しましょう。

2-1.土地の境界を明確にできるようにする

戸建を売却する際は、土地の境界を確定あるいは明示する必要があります。明示されていない場合、隣地の所有者との立ち会いの下、境界の確認や境界標の設置を行うことも検討しておきましょう。確定測量をおこない、確定測量図を作成できればなおよいでしょう。

売却活動をおこなう前に、「境界標はあるか」、「確定測量図があるか」、という点を確認し、ない場合は隣地所有者と境界について話し合いをする準備をしておくとよいでしょう。

なお、隣地との交渉や所有者の確認は不動産会社へ相談することも可能です。境界が明示されていない場合は、あらかじめ担当者へ伝えておきましょう。

2-2.越境問題、道路問題の解決を図る

戸建の売却では、土地の越境物が問題となり、売却価格を低下させることがあります。

特に問題となるのは、上下水道などのライフラインの越境です。土地に埋設された上下水道の私設管が、隣地に越境して引かれており、隣地に無断で使用することができない場合があります。

このような場合、買主が引き続き使用できる旨の承諾書を、隣地所有者から取るとよいでしょう。

道路が私道の場合は、特に私道の所有権持分がない場合、道路の通行掘削の承諾を得られるかどうかが問題となり、値引きの原因となります。該当する場合は、通行掘削承諾書を取るようにしましょう。

2-3.建物の瑕疵(欠陥)を修繕する

建物の重大な瑕疵が、戸建の売却価格を引き下げる要因となることがあります。雨漏りや建物の傾き、シロアリ被害による柱などの腐食がある場合、それらの建物の瑕疵を修繕することで、売却価格を引き上げられる可能性があります。

ただし、建物が古く修繕費用が多額になる場合、その修繕費相当額を売却価格に上乗せできないことも考えられます。売却前の修繕についてどの程度行うのか、不動産会社へ相談しながら慎重に検討することが大切です。

2-4.不動産会社へ依頼前に自分で相場を調べる

不動産会社へ依頼する前に、自分で戸建の売却相場を調べることも重要です。不動産会社から査定価格を提示されたり、売却計画の提案をされたりしても、それを評価する基準がないと妥当なものなのか判断するのが難しくなるためです。

適切な価格で売り出すためにも、自分で売却する戸建の相場価格を調べておきましょう。ポータルサイトから戸建と類似した条件の戸建の価格を収集し、比較してみましょう。この時、築年数やエリア、面積、戸建の個別性の高さにも注意しましょう。

2-5.戸建の売却に強い不動産会社を選ぶ

戸建売却の成否には、戸建の売却に強い不動産会社に依頼することが重要になります。

戸建の売却に強いかどうかは、査定価格の根拠に説得力があるか、具体的な売却方法の提案があるか、条件の近い物件の売却実績があるか、などによって判断しましょう。担当者の営業力や専門知識の有無なども考慮に入れるとよいでしょう。

2-6.物件のアピールポイントを整理する

戸建の売却には、物件のアピールポイントを整理し、競合との差別化を図ることも重要です。

たとえば、学区の違い、商業施設・公共施設へのアクセス、物件の修繕履歴、などがアピールポイントになります。不動産会社と相談しながら、売却活動のなかで適切にアピールしていくことで、買主が見つかりやすくなります。

2-7.買主候補には丁寧に対応する

買主候補が現れたら、丁寧に対応しましょう。内覧に備えて、できる限り清掃や整理整頓をおこない、清潔な印象を保つようにしましょう。

なお、買主候補が買い付けを出したタイミングで要望事項を出してくることがあります。成約のチャンスを逃さないためにも、応じられる項目と応じられない項目を明確にしておき、なるべく早く返事をするようにしましょう。

内覧があったのに買い付けに至らなかった場合は、その理由をヒアリングし、対応できる内容であれば改善するように努めましょう。

2-8.水回り設備はできる限り清掃・修理する

キッチン、バス、トイレの水回り設備は、生活に必需の設備です。これらが利用できる状態であるかどうか、清潔感があるかどうか、という点は買主にとって目に付きやすい部分となるためです。

水回り設備を清掃し、壊れている箇所があれば修理しておくことで、買主に良い印象を与えることにもつながります。ただし、戸建には、購入後個別にリフォームしたいというニーズがある可能性もあるため、売却のために全面的なリフォームをするのは慎重に検討しましょう。

まとめ

戸建をできる限り高く売却するには、売却前、売却開始時、売却活動中、の各段階で注意したい点があります。

戸建の売却活動は、競合物件の状況や売出時期の市場環境など様々な要素に影響を受けるため、想定通りに売却できないケースも少なくありません。

本記事では、戸建売却で注意しておきらいポイントについて解説しています。できる限り対策を行い、売却後に後悔しない売却活動を目指していきましょう。

※この記事は金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」より転載された記事です。
【元記事】https://hedge.guide/feature/detached-house-high-sell-tips-procedure.html

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