自転車旅・サイクルツーリズムを楽しむ!しまなみ海道サイクリングロード<前編>広島県尾道~生口島

生口島からお隣の島岩城島へのフェリー乗り場

今回はサイクルツーリズム(自転車旅)の魅力を、広島県の尾道市と愛媛県の今治市を結ぶしまなみ海道サイクリングロードを例に挙げて紹介します。

サイクリングルートそのものの魅力

しまなみ海道サイクリングロードは青い空と海を眺めながら、自転車で空中散歩ができる全長約70kmの瀬戸内海のサイクリングルートです。1999年に開通し、2014年にはCNNが選ぶ世界7大サイクリングルートに選ばれ、以後、訪日客の旅の目的地としても人気に火がつきました。また、国が2019年から指定を始めたナショナルサイクルルートのひとつでもあります。ナショナルサイクルルートとは、「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」を認定する制度です。

しまなみ海道サイクリングロードでは、車道の外側線の内側に「ブルーライン」と呼ばれる青い線を引き、サイクリストだけでなく、旅行者にも分かりやすく、進行方向と行き先の地名や残り距離を示していることが全国的に先進的な試みでした。レンタサイクルの会社も多くあり、自転車を持たずとも一般の旅行感覚で楽しむことができる点が人気に拍車をかけました。多くの学校が修学旅行でサイクリングの体験をするほど人気のサイクリングルートでもあります。

サイクリングルートは、こうしたコースの使いやすさだけではなく、その土地に住む人の生活や文化、歴史など、その他の要因がうまく組み合わさることで魅力を発揮します。

サイクリングルートを楽しむには計画も重要!1泊2日のおすすめルート

また、サイクリングルートの魅力を存分に味わうためには計画も重要です。

今回は、しまなみ海道サイクリングロードの魅力を探る尾道から今治までの1泊2日のルートを紹介します。しまなみ海道を訪れる前に読み、訪れたときにガイドブックの代わりに読んでいただけたら、しまなみ海道サイクリングをより楽しんでいただけるかと思います。もちろん、これらをすべて急ぎ足でまわる必要はありません、サイクリングを楽しみながら、その中のひとつかふたつでも巡ってみてください。

ルートは、しまなみ海道サイクリングに訪れるのが初めて、もしくは数回の方に向け、サイクリングをしながら地域を楽しめることを基準に選びました。そのため、できるだけ登り坂は通らず、島の暮らしが満喫でき、かつわかりやすいルートとなっています。また、距離は一般的に推奨されているルートより少し長くなっています。

おすすめルートの紹介の前に、しまなみ海道サイクリングロードを走る際、まず覚えておいてほしい3つの基本情報があります。

  1. しまなみ海道には6つの島がある。
  2. 少し坂がきつく距離が長いのは、因島と大島。
  3. その他4つの島は、平地が多く、比較的走りやすい。

サイクリングはイメージです。以上3つを知っているだけで、走るときの心の余裕が大きく違うはずです。準備ができたところで出かけましょう。

尾道から「広い海と砂浜の島・向島(むかいしま)」へ

尾道から向島へは渡船で渡ります。この渡船は地元では生活の足で、特に朝夕は通勤通学で混みあいます。朝8時前後は特に通勤通学ラッシュです。

5分ほどで対岸の向島の兼吉というところへ着きます。そこには、右手に小高い丘があります。丘の上には「しーそー」という宿があり、宿の手前の広場からは、いま渡ってきた尾道の街を一望できます。春には丘全体に桜が咲き誇ります。また、お昼時であれば、この宿の中にある地元でも人気のイタリアンレストラン「Rondine(ロンディネ)」で尾道の四季を眺めながらのランチも格別です。また、夏は近くの後藤鉱泉所のラムネもすっきりしておいしいです。ここはビンをリユースして、なんと100年近くラムネやサイダーを作っています。

向島から「はっさくと除虫菊の島・因島(いんのしま)」へ

ここから歌港という港を目指します。その後、南の海岸線に沿って走ると、晴れた日に条件がそろえば、石鎚山(いしづちさん)など四国山地を望むことができます。実は、渡船で渡ってきた尾道水道の狭い海からは想像がつかないほど、向島の南岸は、島がほとんどなく海の広がる地域です。ガードレールがない昔のままの海沿いの道から楽しめます。また、天然の砂浜が多く残っていることも魅力のひとつです。こうした砂浜は砂の粒子が細かく、踏んだ感触が柔らかいのが特徴です。そのまま海岸線に沿って進むと、最初の橋、因島大橋へつながる道が見えてきます。

因島大橋は上に自動車道、その下に自転車、バイク、そして歩行者が通る道がある橋です。そのため、真夏や雨の日は陽射しや雨をしのげます。橋は真ん中まではゆるく登っています。

因島に入ったら、自分にご褒美をあげましょう。因島名物の「はっさく大福」です。因島大橋を渡り切り、長い坂を下った先を右折すると「はっさく屋」というお店があります。定期的な栄養補給はサイクリングには不可欠。はっさくのほどよい酸味もたまりません。また、インスタントコーヒーのサービスがあるのもうれしい。渡ってきた因島大橋を店内から見渡しながら休憩できます。

「はっさく屋」から海岸線沿いをブルーライン沿いにしばらく進むと、少し坂を登ったところに「除虫菊」と書いた看板があります。ここは「馬神除虫菊畑」、小さな港を望む小高い丘です。除虫菊というのは、蚊取り線香の原料の白い可憐な花です。昔はこのあたりで生産し、出荷していましたが、今では観賞用に地元の方が育てておられます。例年、ゴールデンウィークには見頃になり、除虫菊の花で丘は真っ白に染まります。鳥の声と風の音が心地よい、とても気持ちのいい場所です。

馬神除虫菊畑

「馬神除虫菊畑」を過ぎると、昼食を取る時間になります。私のイチ押しは「たくま商店」。地元で取れた活きの良い魚とおしゃれな盛り付けは食欲が増します。そして因島出身の大将の軽妙なトークもグッド!つい時間を忘れてしまいます。

生口島へ渡る生口橋はもう目の前、坂を登っていくと、因島大橋と橋の形が少し異なることに気がつきます。この橋は斜張橋という優雅な形で、走り進むと、ハープの弦のようなワイヤーが迫ってくる感じに不思議さを覚えます。この橋からは高速道路の横を自転車道で渡っていきます。

後編に続く

【関連ページ】地域観光を促進するサイクルツーリズム・自転車旅の魅力

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宗近朗

10歳の頃から、地図と時刻表を持ってひとり旅。米国立公園のレンジャーに憧れ、キャンプインストラクターへ。その後地元に戻り、日本一忙しいレンタサイクルで主に欧米豪の旅人を出迎える。その後、しまなみ海道でサイクリングガイドに。旅を通じて、せとうちのふんわりとした空気感を伝えたい。モットーは「旅と自然から、すべてがまなべる」。

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10歳の頃から、地図と時刻表を持ってひとり旅。米国立公園のレンジャーに憧れ、キャンプインストラクターへ。その後地元に戻り、日本一忙しいレンタサイクルで主に欧米豪の旅人を出迎える。その後、しまなみ海道でサイクリングガイドに。旅を通じて、せとうちのふんわりとした空気感を伝えたい。モットーは「旅と自然から、すべてがまなべる」。