飛行機のCO2を減らす方法。直行便・座席・荷物・陸路など手配でできる7つのこと

旅客機の窓から見た主翼と、青空に湧き上がる白い雲

年末年始の航空券を探していると、画面には「乗り継ぎ1回」の安い便が並ぶ。予約ボタンを押す手前で、ふと地球のことが頭をよぎる人もいるはずだ。

飛行機をやめなくても、手配の段階でできることはいくつもある。一番効くのは、飛ぶ回数と距離を減らすことだ。陸路で行ける区間は鉄道やバスにし、飛ぶときは直行便・エコノミー・軽い荷物を選ぶ。そして遠くへ行くなら、そのぶん長くいる。

どれも、旅を我慢するための工夫ではない。移動の時間を景色や人と向き合う時間に変える、旅の組み立て方でもある。

1. 飛行機のCO2を減らすために、手配でできる7つのこと

スーツケースの横で膝に書類を置き、携帯電話を見る手元

飛行機の排出量は、便そのものと、乗る人の選び方の両方で変わる。ここでは予約の前後で自分で決められることを並べた。全部をそろえる必要はない。今回の旅で取り入れやすいものから選べばいい。

1-1. 陸路で行ける区間は、鉄道や高速バスに切り替える

同じ距離を移動するなら、一人あたりのCO2は、鉄道のほうが飛行機よりずっと小さい。本州の中の移動のように、新幹線や特急で無理なく行ける区間は、陸路にするだけで排出をはっきり減らせる。

時間の差も、思ったほど大きくないことがある。飛行機は空港までの移動や保安検査、搭乗までの待ち時間がかかる。駅は街の中心にあることが多い。ドアからドアまでで比べると、差が縮まる区間は少なくない。

一方で、費用は陸路のほうが高くなることもある。旅行比較サイト「トラベルコ」の最安値一覧では、2026年10月19日時点で、東京発10月出発分の例として、東京―大阪の片道(大人1名・諸税込)が、航空券5,560円、新幹線1万3,870円、高速バス1,500円と表示されていた。安さだけで比べると、新幹線は不利に見える。高速バスなら費用も抑えられるが、そのぶん時間はかかる。

往復のどちらか片方だけを陸路にする方法もある。行きは飛行機で時間を稼ぎ、帰りは列車で車窓の冬景色を眺めながら旅の余韻にひたる。移動そのものが、土地の風景とつながる時間になる。

1-2. 飛ぶなら、直行便を選ぶ

飛行機は、離陸して巡航高度まで上がるときに燃料を多く使う。乗り継ぎ便は離着陸の回数が増え、経路も遠回りになりやすい。同じ目的地なら、直行便のほうが排出を抑えやすい。

乗り継ぎ便は運賃が安いことが多い。ただ、乗り継ぎ空港での長い待ち時間や深夜の到着は、体力と現地での時間を削る。差額を、旅の時間と体の疲れも含めて比べると、直行便を選ぶ理由が見えてくることがある。

1-3. 座席はエコノミーを選ぶ

便全体の排出量は、乗っている人で分け合う考え方で一人あたりに割り振られる。ビジネスクラスやファーストクラスは一席あたりの床面積が広いぶん、一人あたりの排出の割り当ても大きくなる。

長距離の移動でゆったり休みたい場面もあるだろう。そのときは、ほかの工夫で埋め合わせる、と考えれば十分だ。毎回の旅で必ず守る決まりにする必要はない。

1-4. 荷物を軽くする

機体が重くなれば、飛ぶのに必要な燃料も増える。一人ぶんの荷物の数キロは機体全体から見ればわずかだが、乗客みんなの荷物が積み重なれば差になる。

荷物を軽くする良さは、空の上だけで終わらない。スーツケース一つを手で持てる重さに収めれば、現地で路線バスや徒歩を選びやすくなる。大きな荷物を運ぶためだけにタクシーやレンタカーを使う場面が減る。冬の旅なら、重いコートを何着も持たずに、重ね着で寒さに備えるのも一つの手だ。

1-5. 空港までと、現地での移動も公共交通にする

旅の排出は、飛行機に乗っている間だけで生まれるわけではない。自宅から空港まで、空港から宿まで、そして滞在中の移動も旅の一部だ。

空港へは鉄道やリムジンバスで向かう。現地では路線バスや自転車、徒歩を組み合わせる。歩く速さで町を回ると、車では通り過ぎてしまう商店や、地元の人との短い会話に出会いやすい。移動を減らす工夫が、そのまま人とのつながりを増やす工夫になる。

1-6. 回数を減らして、そのぶん長くいる

年に何度も短い旅で飛ぶより、まとまった休みに一度、長めに滞在する。往復の排出は滞在日数にかかわらずほぼ同じなので、長くいるほど、旅の1日あたりの移動の排出は小さくなる。

「遠くへ行くなら、長くいる」。このスローな旅の考え方は、排出のためだけのものではない。2泊3日では観光地を回るだけで終わりがちだが、1週間いれば、行きつけの食堂ができたり、朝の市場の顔ぶれを覚えたりする。仕事を持ち込めるならワーケーションにして滞在を延ばす、二拠点の暮らしのように同じ土地へ通い続ける、といった組み立て方もある。

1-7. SAFやカーボンオフセットは「減らしたあと」に使う

SAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)は、廃食用油や植物などを原料にした航空燃料だ。化石燃料からつくるジェット燃料に比べて、原料の調達から燃やすまでの全体で排出を抑えられる。カーボンオフセットは、減らしきれない排出を、森林の保全や再生可能エネルギーの事業などへの資金で埋め合わせる仕組みだ。

航空会社によっては、予約のときや会員向けに、こうした仕組みに参加できる選択肢を用意していることがある。中身は会社ごとに違うので、申し込む前に、支払ったお金が何に使われるのかを読んでおくと安心だ。

ただ、これらは排出そのものを消すわけではない。1-1から1-6で減らせるだけ減らしたうえで、残りをどうするかを考えるための道具として使うと、気持ちよく旅を続けやすい。

工夫 手間 費用への影響 取り入れやすい場面
陸路への切り替え 移動時間が延びることがある 区間と手段で上下する 国内の中距離、往復の片道だけでも
直行便を選ぶ 便の選択肢が減ることがある 高くなることがある 直行便が飛んでいる路線
エコノミー席 ほぼ無し 抑えやすい ほとんどの旅
荷物を軽くする 持ち物を見直す時間 預け荷物の料金が減ることも 短中期の旅、公共交通で動く旅
空港・現地の公共交通 乗り換えの下調べ 抑えやすい 都市部や交通網のある地域
回数を減らし長く滞在 休みの取り方の調整 宿泊費は増え、移動費は減る 長期休暇、ワーケーション
SAF・オフセット 中身を読む時間 上乗せになる 減らしきれない排出があるとき

この表は一般的な傾向をまとめたもので、詳細は各航空会社・鉄道会社の公式情報で確かめてほしい。

2. やりがちな失敗と、気をつけたいこと

よかれと思って選んだことが、別のところで排出や負担を増やしてしまうことがある。よくあるのは次のような場面だ。

  • 運賃の安さにひかれて乗り継ぎ便を選び、深夜に着いて空港からタクシーで宿へ向かう。運賃は浮いても、移動の排出と疲れが増えてしまう。
  • カーボンオフセットに申し込んで安心し、ほかの工夫をやめてしまう。オフセットは減らしたあとの残りに使うものだ。
  • 陸路に切り替えようとしたら、年末年始の指定席がすでに埋まっていた。混み合う時期は、列車の予約が始まる日を早めに把握しておくと動きやすい。
  • 荷物を減らしすぎて、現地で使い捨ての日用品を買い足す。軽さと、現地でごみを増やさないことの両方を考えて持ち物を決めたい。
  • 全部を一度に完璧にやろうとして、旅が窮屈になる。一つでも取り入れれば前進だ。

3. 陸路や長期滞在が合わない人もいる

ここまでの工夫は、誰にでも同じように合うわけではない。小さな子どもと一緒の帰省や、体調に不安があるときは、長時間の列車移動より短い飛行時間のほうが負担が少ないこともある。休みが数日しか取れない人にとって、「長くいる」は現実的でない場合もあるだろう。

離島や海外のように、そもそも陸路の選択肢が無い行き先もある。そんなときは、直行便とエコノミー、軽い荷物、現地での公共交通のように、自分の状況で選べる工夫を組み合わせれば十分だ。できないことを数えるより、できることを一つ選ぶほうが、次の旅も続けやすい。

4. 列車と宿をまとめて手配する方法もある

陸路に切り替えるとき、列車と宿を別々に探すのが手間に感じる人もいるはずだ。交通と宿泊を組み合わせたパッケージなら、一度の予約で済む。

楽天トラベルの「楽パック(交通+宿)」には、新幹線・特急と宿を組み合わせる「JR楽パック」がある。企画・実施は日本旅行で、予約は同社のサイトへ移って進める。楽天トラベルの案内では、楽パックの予約は出発前日の15時59分までだ(2026年10月19日時点)。航空券と宿を組み合わせる「ANA楽パック」「JAL楽パック」も同じページで選べる。

「じゃらんパック」でも、JRとホテル、JAL・ANAの航空券とホテルを組み合わせられ、レンタカーを足すこともできる。料金は日程と条件を入れて検索すると表示される。

パッケージは、交通と宿のキャンセル規定が個別の手配と異なることがある。予約の前に、キャンセル料がいつから、どれだけかかるかを読んでおきたい。

5. 移動を決めたら、泊まり方と旅の考え方へ

移動の選び方が決まったら、次は滞在の中身だ。長く泊まる宿を探すなら、国内・海外の旅行予約サイト(OTA)15選で、各サイトの特徴や強みを比べられる。

環境だけでなく、訪れる地域の経済や暮らしまで含めて旅を考えたい人には、サステナブルツーリズムの考え方がそのまま当てはまる。行き先そのものを探すなら、旅行・観光の記事から、長く滞在したくなる土地を見つけられる。

6. まとめ

飛行機のCO2を減らす近道は、飛ぶ回数と距離を減らすことだ。陸路で行ける区間は列車やバスに、飛ぶなら直行便とエコノミー、軽い荷物を選ぶ。空港までと現地の移動も公共交通にし、SAFやカーボンオフセットは減らしたあとの残りに使う。

そして、遠くへ行くなら長くいる。移動を減らした分の時間は、その土地の人や自然と向き合う時間になる。

年末年始の便を選ぶときは、運賃の安さより先に、直行便があるか、片道だけでも列車にできる区間かどうかを見るといい。

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Livhub 編集部

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