民泊物件をレンタルスペース(時間貸し)に転用するには?転用の注意点も

新型コロナウイルスの影響によって、海外からの観光客を主な顧客とした民泊物件のオーナーの中には、物件を他の用途に転用を検討したり、実施したりする方も増えています。

そこで本記事では、民泊物件をレンタルスペースに転用する時にはどのような手続きが必要なのか、またどういった設備が必要なのかその点についてお伝えしていきます。民泊物件をレンタルスペースに転用して活用することを検討している方は、ご参考下さい。

1.民泊物件をレンタルスペースに転用する手順

民泊物件をレンタルスペースに転用する場合、時間貸しが可能な事業登録をしているか、またレンタルスペースに転用した場合に収益が見込めるのか、事前の確認や調査が必要です。それぞれ詳しく見て行きましょう。

1-1.民泊廃業・用途変更の申請が必要かどうか確認する

民泊物件のレンタルスペースへの転用を検討する際は、民泊物件をどのように事業登録しているのかで変わります。

民泊新法(住宅宿泊事業法)を活用した民泊は、「時間貸し」が禁止されているため、並行してレンタルスペースとして運用することができません。民泊用の建物として申請しているために、民泊については廃業申請をする必要があります。

ただし、旅館法業に則って民泊物件を運営していたケースで、一部の部屋で民泊を続ける場合においては、民泊事業が継続して行われているため廃業申請が不要となり、並行してレンタルスペース(時間貸し)が検討できます。

1-2.転用を検討しているエリアのニーズを調査する

レンタルスペースへ転用する前に、該当するエリアでニーズが見込めるかどうか事前に調査をすることが大切です。

例えば、コワーキングスペース用途中心のレンタルスペースの転用は、オフィス街の中であれば需要が見込める一方で、観光がメインとなる立地ではニーズを獲得できない可能性があります。

一方、繁華街が近くであったり、ターミナル駅付近など、交通の便の良い場所に位置している場所であれば、様々な物件への転用も検討しやすいと言えます。

ただし、周辺に競合物件がないか、逆に、自分が運営を考えている物件と競合する物件の稼働率はどの程度なのかなど、情報サイトなどを参考に稼働率を把握しておきましょう。

1-3.設備の変更を行う

これまで民泊運営をしていた場合、ベッドやテレビ、テーブル、ソファなどホテルに近い設備が置いてあります。これらの設備を処分するか、別の場所へ移動させるのか、検討する必要があります。

また、サラリーマン向けのコワーキングスペースを検討している場合、ビジネス向けのデスク、OA機器、高速インターネット回線などが必要となってきます。ニーズに合わせて必要な設備についても調査しておきましょう。

1-4.宣伝媒体を考える

次に、レンタルスペースの宣伝媒体について検討しましょう。例えばSpaceeや、スペースマーケットなどのウェブサイトに登録し、自分の運営するレンタルスペースをネット上に掲載することが出来ます。

また、事前にこれらのサイトをチェックすることで、レンタルスペースへの転用を検討しているエリアでニーズがあるか、競合物件が無いか、調査することも可能です。

2.レンタルスペースに必要な設備とは

民泊物件からレンタルスペースへの転用を検討する際にどのような設備が必要なのか、見て行きましょう。

2-1.パーティールームに必要な設備

レンタルスペースのニーズには、パーティーなどの集まりに活用されることがあります。皆で食事や飲料を持ち込み、そこで大きなテレビでゲームなど楽しむ場所としてスペースを借りる目的となります。

この場合は何人でも座ってくつろげる大きなソファを設置したり、みんなでゲームやスポーツを観戦できるように大型のテレビが準備されていることがあります。その他テレビを置くスペースがない場合には、投影用のプロジェクターが設置されているケースもあります。

2-2.撮影スタジオ向けの内装設備

レンタルスペースを撮影スタジオ代わりに使うコスプレ愛好家や、動画撮影者も増えています。このような撮影スタジオとしてのニーズを獲得する場合は、内装のテーマを決め、写真映えのする設備を整えると良いでしょう。

2-3.コワーキングスペース・会議室向けの設備

また、テレワークへ移行する企業が増加する中、コワーキングスペース・会議室の需要も増えています。これらの外出先の打ち合わせや、自宅で仕事がしづらいサラリーマンの需要があります。

会議室として貸し出す場合、プロジェクターなど画面投影設備や、高速インターネット回線やテーブル、デスク、ホワイトボードなどが利用されることがあります。

3.レンタルスペース運営時の注意点

レンタルスペースを運営する時には、周囲の部屋、住人との関係性の構築も重要です。レンタルスペース運営時の注意点について詳しく見て行きましょう。

3-1.部屋のオーナーの許可だけではなく管理組合の許可が必要

マンションなどの一室を借りてレンタルスペースを運営する場合、マンションやビルの管理組合の許可が必要です。マンションやビルの利用規約に違反していないか、事前に確認をしておきましょう。

また一旦許可をもらっても、その後トラブルが起きて利用が禁止される場合もあります。最初に許可をもらうだけではなく、問題なく運営をするために適切なオペレーションマニュアルを作成し、運用することが大切です。

3-2.騒音問題に発展する可能性がある

パーティールーム目的で部屋を貸し出していると、利用者の騒音が発生することがあります。管理組合の許可を得て、レンタルスペースの運営ができていたとしても、周辺のビルや住人から苦情が入る可能性があります。

このような騒音問題は民泊物件の運営でも起きていた問題ですが、利用者に節度を持った利用をしてもらうようにきちんと伝達する、防音設備に気を配る、定期的な巡回で注意を促すと言った作業が必要となってくるでしょう。

3-3.定期的な清掃が重要になる

レンタルスペースの運営において、こまめな清掃は必須です。宿泊を伴わない時間貸しの場合、利用者の清掃への意識が薄れ、一度利用した後にそんなに汚れていなければそのままでいいだろう、と考える可能性があります。

また、情報サイトでの口コミは稼働率への影響が大きくなります。部屋の清潔感は口コミに書かれやすい項目のため、一層の注意が必要です。

汚れていた、掃除が行き届いていない、周辺の住民からクレームが入ってきたという悪い口コミが増えると、稼働率が悪化する可能性もあります。そのようなことがないように、定期的な清掃を心がけましょう。

まとめ

民泊物件からレンタルスペースでの転用で気をつけるべきことは、まずは転用が可能であるかどうか、確認をすることです。民泊新法(住宅宿泊事業法)を活用した民泊は、「時間貸し」が禁止されているため、並行してレンタルスペースとして運用することができません。

また、どのようなレンタルスペースの需要があるかを調査し、それに相応しい設備を整えることも重要です。

民泊物件は基本的には宿泊施設であり、それほど物件ごとに大きく運営が変わることはありません。しかし、レンタルスペースでは、パーティールームや撮影スタジオ、会議室、などと場所によって需要が大きく異なるため、必要な設備も変わってきます。

まずはレンタルスペース情報サイトなどを見ながら、自分が運営を計画している場所付近の需要、レンタルスペースの種類を見極め、稼働率も定点観測でチェックしてみることを検討しておきましょう。

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