株式会社コンカーは11月2日、世界44,000社、5,610万人が利用する出張・経費管理クラウド「SAP Concur」のデータに基づき、「出張(Business Travel)」と「レジャー(Leisure)」を併せた「ブリージャー(Bleisure)」に関する調査結果を公表した。同調査によると、ブリージャーをする出張者が全世界で急増していることがわかった。
ブリージャーは出張に観光やレジャーの日程を追加した出張の形態だ。2017年1月から12月までのSAP Concurのデータによると、全世界で全出張件数の約10%となる220万件以上のブリージャーが行われ、これは前年比約20%増だった。出張を利用して、旅行をリーズナブルに楽しむ出張者が増えてきたこと、また企業がそれを認めている背景がうかがえる。
ブリージャーの傾向としては、まず、ミレニアム世代から特に人気を集めており、他の世代からもよく利用されていることがあげられる。1983年から1999年までに出生したミレニアル世代からの人気がもっとも高く、2017年には南北アメリカ地域で全世代の38%を占め、また1965年から1976年までに出生したジェネレーションX、1946年から1964年までに出生したベビーブーム世代でも、ともに31%が利用していた。なお、日本は他国ともっとも傾向が異なり、ブリージャーの割合はミレニアル世代が36%であったのに対し、ジェネレーションXが44%と高かった。
次に、世界中で利用が拡大しており、観光旅行で人気の上位20都市での滞在が多い特徴があった。2016年と比較して2017年はEMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)で46%、アジア太平洋地域で45%、南北アメリカ地域で19%の割合でブリージャーが増加していた。また、人気上位3都市はアジア太平洋地域では東京、シンガポール、上海、EMEAではテルアビブ(イスラエル)、ロンドン、パリ、南北アメリカ地域ではニューヨーク、シカゴ、ロサンジェルスだった。この結果から、出張者は人気の高い観光都市での滞在時間を伸ばしたいと考える傾向にあることがわかる。
そして、ブリージャーにおいては、ホテル以外にAirbnbの利用を通じた宿泊先が出張者にとって重要となっていることもわかった。例えば、トレードショーが重なる時期にホテル予約が取りにくく宿泊費が急騰するケースや、団体での出張の際、同じ宿泊施設に泊まる必要があるケース、ブリージャー目的で利用するケースなどで活用されている。SAP Concurのデータによると、ブリージャーでの出張はホテル宿泊の場合、全体の10%であるのに対し、Airbnbを利用した場合は70%と高い。また、ホテル以外の宿泊が急増している都市や時期をみると、ホテルの宿泊料は通常より16%も高騰していた。これらの要因がAirbnbほか、ホテル以外の宿泊に拍車をかける要因となっている。さらに、SAP Concurの経費データによると、Airbnbを利用したブリージャーでは76%がミレニアル世代の利用であり、ベビーブーム世代はわずか6%という特徴がみられた。
最後に、ブリージャーの時期や期間は世界的に同一の傾向にあるものの、業種には偏りがみられた。世界的に9月と10月は他の時期と比べて、ブリージャーの件数がそれぞれ15%、18%と増加傾向にある。また、業種については、製造、技術、金融サービスがブリージャーを利用する上位3業種であり、2017年のブリージャーの4割を占めた。そして、ブリージャーでの追加日数は平均2日で、政府から受注を受ける政府請負業者については、他の業種よりも1日長かった。
社員にとって、便利で効率よく、料金もホテルでの宿泊より安価である傾向がみられ、さらにレジャーも楽しめるブリージャーという新しい出張スタイルは人気が高まっている。従業員の生産性や満足度向上の面からも企業の注目を集めており、GBTAの調査によると、78%の企業が社員に対し、会社の出張用オンラインブッキングの手段を使ってブリージャーの手配をすることを許可している。今後、ブリージャー利用者のさらなる増加が期待される。
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(MIPNAKU.Bizニュース編集部)
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