新経済連盟は5月25日、国土交通大臣・観光庁長官、経済産業大臣、経済財政政策担当大臣宛てに「観光立国実現に向けた追加提案」を提出したことを公表した。
新経済連盟は3月に政府がとりまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」や「観光立国推進基本計画」にはおおむね賛成の立場だが、観光立国をもう一段前に進めるための具体的施策を「観光立国実現に向けた追加提案」で示している。
その中で「観光立国2020」において「年間訪日外国人数 1億人」と「訪日外国人年間旅行消費額」の2つの目標を掲げた。これは政府目標の約倍の目標値だ。インバウンド消費は自動車産業をも超える最大の輸出産業になりえる可能性も示唆している。
「観光立国実現に向けた追加提案」では、多くの外国人に訪日してもらうことを目的とした「デジタルマーケティング戦略」、訪日した外国人に消費してもらう「一人当たり消費単価の拡大」、リピーター確保を目的とした「スポーツを活用した地方創生」を掲げた。
まず「デジタルマーケティング戦略」については徹底的に重視すべき項目であるとする。訪日外国人は、訪日前、訪日中のいずれもインターネットを中心に情報を収集していることに着目している。
具体的には、政府のデジタルマーケティングを統括する司令塔(政府CMO)の設置や、観光庁・JNTOのデジタルマーケティング体制・予算の拡充など、観光産業拡大には行政の役割が非常に大きいことを示した。特に出発前にインターネットで情報収集する外国人旅行者が多いにも関わらず、JNTOサイトの全体設計が最適化されておらず、最適化を図る必要があるとした。また、SNS時代のマーケティング戦略とし「美術館などにおける“撮影禁止”の原則禁止」や「撮影ポイントに漏れなくWiFi環境を整備」することを提言した。
続く「一人当たり消費単価の拡大」では、訪日外国人旅行者数は増加傾向にあるがいわゆる「爆買い」ブームが一段落したことにより総消費額が伸び悩んでいる状況においては「コト消費(体験)」で消費単価を上げることができるとした。
具体的には民泊を代表とした「シェアリングエコノミー」を優良コンテンツに仕上げるための法の明確化に加え、富裕層向けコンテンツの開発・マーケティング「ラグジュアリーツーリズム」における具体策を設けるだけでなく民間によるコンテンツ開発への政府の後押しも必要であること、さらには消費を促すため歩いて楽しい街づくりを促す「都市型観光の推進」や未開拓である「ナイトタイムエコノミー(夜間市場)」の促進を国の観光立国施策の柱の一つとして明確に位置づけることなどを提言した。
「スポーツを活用した地方創生」においては、東京オリンピック・パラリンピックの前後に世界的なスポーツイベントが日本で集中的に開催されることに着目し、各種イベントを一体的なものとしてとらえ、各運営委員会が連絡・調整する場を設置することで効果的な施策が実施可能であるとした。
その効果的な施策の内容についてはイベントを契機とした地方創生策を打ち出していくべきとし、例えば東京をショーケース化するなど、インターネットでの海外配信の推進、SNSの活用等によるグローバル展開を行い、日本を売り込む一方で、プロスポーツリーグ所属チームの多くが赤字経営であることに着目し、全体の底上げを図ることや魅力的なスポーツ施設を設置するためにそれらの施設の容積率の緩和や補助等、財政支援などの環境整備も必要とした。
【参照リリース】観光立国実現に向けた追加提案
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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