アジア8拠点でグローバルコンサルティングを展開するアウンコンサルティング株式会社(以下:アウンコンサルティング)は2月15日、2016年におけるインバウンド市場動向と、同社が予測する今後のインバウンド市場の展望を公表した。
2016年の訪日外国人観光客数は前年比21.7%増の約2,404万人(+430万人)に達し5年連続の増加となった。分布としては、アジアだけで訪日客全体の約84%となり、アウンコンサルティングは引き続き重視すべき訪日客はアジアに多いと見ている。
しかし、2015年に流行語となった、主に中国からの訪日客が家電やブランド品を大量に購入するいわゆる「爆買い」は、2016年の関税引き上げや為替影響等で減少。同時に、訪日客の消費行動も「モノ」から「コト」へ変化し、観光や食・美容等へ関心が移った。
2016年の中国訪日客の滞在中の支出金額は、2015年と比較して平均購入者単価が約18,000円減少したが、現地通貨に換算するとほぼ前年と変わらない。買い物代は日本円にして約50,000円、現地通貨100万元ほど減少したが、飲食費・交通費は現地通貨換算で合計約100万元増加した。
2020年に向けて、一人あたりの消費金額は減少しつつも、訪日客数の伸びがカバーし、最終的な消費金額総額は増加していくと見込んでいる。しかし、政府が目標とする8兆円には届かないと予測。「訪日客数の目標以上増加」や「訪日客の消化金額増加施策(一人当たりの単価増)」をさらに強化していく必要を指摘した。
また、中国訪日客を中心に、これまで多かった団体ツアー客が個人旅行へとシフトしている傾向がある。欧米からの訪日客は2015年、2016年ともに90%以上が個人旅行であったが、訪日客全体でみても個人旅行は前年比6%増加し、アジアだけで見ても前年比8%増加した。各国・地域別で見ると1%から2%ほど変化がみられる。
アウンコンサルティングは、今後アジア地域の個人旅行比率が欧米並みに伸びる可能性があるとしている。これはアジア地域の訪日客のリピーターが増えることにも影響すると見ており、観光時の行動を考慮するとリピーターが多い国・地域においてはさらに「モノ」から「コト」、「首都圏」から「地方圏」が進むと想定する。
消費行動が変化しつつある状況においては、買い物やレジャーの合計単価を増やすよりも、地方や地域を観光してもらう等、一人あたりの宿泊日数を増やしてもらう事で最終的な消費金額を増やす方法が現実的とした。
その一方で、中国においてはリピーターが40%に満たない。総人口に占める訪日者数が他のアジア圏と比べて少ないことを考慮し、今後も一定数の新規訪日者が増加すると期待を寄せている。訪日客数の増加を図るためには、「行きやすい国」「行ける国」よりも、「行きたい国」になることが重要だとした。
【参照ページ】アウンコンサルティング発表 2016年のインバウンド市場動向総括と今後の展望 ~2020年に向けて必要なことは何か~
(Livhubニュース編集部 平井 真理)
平井 真理
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