高品質かつ充実したサービスラインナップを強みに累計1,200件以上の管理物件数を誇り、民泊運用代行サービスの中で圧倒的なシェアを確立している「ファミネクト」。そのファミネクトを運営する株式会社ファミリアリンクは、民泊事業開始前から開始後の運用サポートまでワンストップで行うほか、民泊Wi-Fi「Famifi」、コンシェルジュタブレット「famitabi」、インターネット光回線「民泊光」、民泊運営上のさまざまなリスクを補償する「民泊適用保険」等、民泊ゲストに寄り添ったサービスを展開している。民泊運営代行業の大手がどのような事業理念を掲げ、今後どのような展望を描いているのか、同社の代表取締役を務める柏木氏にお話しを伺った。
1985年生まれ。2014年3月に「株式会社ファミリアリンク」を設立し、代表取締役に就任。同年夏に民泊事業を開始したのち、民泊運営代行サービス「ファミネクト」を提供開始。
インタビュー
ファミリアリンク誕生の経緯
民泊サービスを開始した経緯を教えてください。
私たちはもともと民泊オーナーとして運営していましたが、運営を続けるにつれて、社内スタッフもふくめて民泊の魅力を実感し、もっと広げていきたいという思いが生まれました。1件からはじめた民泊も、運営代行を視野に入れはじめてからはノウハウを得るために10件ぐらいまで増やしました。
民泊事業を考えている方のなかには、私と同じように英語をはじめとする言語が壁となっている場合もあります。「民泊」という文化が発展していくために、そういった方々を支援するサポート役が必要です。そうした思いから、民泊運営代行サービスの「ファミネクト」をはじめました。
自分のために仕事をするのではなく社会に貢献できるビジネスモデルを作りたいという思いがあったので、民泊に関しては、空き家や空きテナントなどの有効活用はもちろん、地域経済の活性化を促進することができます。
また、外国人とのコミュニケーションのなかで日本の良さを発信することができます。外国人の方に地域やお店を紹介するとすごく喜んでもらえますし、地域の方や町内会の会長さんもすごく喜んでくれていました。みなさんの喜ぶ姿を見てやりがいを感じるとともに、もっと多くの人たちを笑顔にしたいという気持ちが生まれ、民泊はもっともっと発展していくべきだと思いました。
御社が大事にしていることは?
弊社の企業理念は「世界中と家族のようにつながる」というものです。国境は関係なく、地球上にいるならみんな家族という思いでやっています。社名の「ファミリアリンク」とサービス名の「ファミネクト」にはそういった意味がこめられており、ファミネクトはファミリーとコネクトの造語です。
弊社では70人いるスタッフ同士のコミュニケーションや一人ひとりの意識を大切にしています。同時に、経営理念である「ミッション・ビジョン・バリュー」にもとづいた行動指針を浸透させるため、去年からある取り組みをはじめました。それは、社内の行動指針にもとづいて行動しているスタッフに対して「頑張った!」や「ありがとう」の気持ちをこめて、月1回表彰するというものです。
具体的には、評価するためのコインをスタッフに付与し、スタッフ同士で送り合うというものです。そして月間でコインの枚数を多く獲得した人、そして送った枚数が多い人を表彰します。表彰された人は、さまざまな商品が入った特大サイズのガチャガチャをまわすことができるという特典付きです。外国人スタッフも多いので、皆がおもしろい、楽しいと感じながら働けるような環境づくりを心がけています。
ファミネクトのサービス内容
ファミネクトのサービス内容を教えてください。
ファミネクトでは、土地の仕入れから物件の建築、物件の仕入れ、企画、開発、ウェブマーケティング、部屋のコーディネート、設営までを行っています。また、民泊の運営開始後は予約の管理、OTAやバケーションレンタルサイトの管理、ゲスト対応、清掃まで民泊の運営代行サービスをワンストップで行っています。一番の特長は、ゲスト対応をすべて社内で行い、24時間365日、日本語、英語、中国語、韓国語で対応している点です。
弊社は民泊事業をはじめた当初から「管理品質」をもっとも重要視しています。ゲスト対応を外注していたこともありましたが、高いクオリティを求めることは難しいと判断し、すべて社内で対応することにしました。ゲスト対応やホスト対応はもちろん、現場の問題をいかに迅速に解決できるかなど、管理品質を高めていくために職員が一丸となって取り組んでいます。
ファミネクトにはどのような特長がありますか?
弊社には「クオリティマネジメント」という部署があり、パートナーの清掃会社とは常にやりとりをしながら連携して現場の課題解決にあたっています。また、特に管理件数が多い清掃パートナーとは月1回は必ず直接会い、現在の課題をまとめて共有し、相談する機会を設けています。弊社は社内だけではなく関わる人たち全員が家族のようにつながっていると考えているので、下請けではなく仲間として、どのようにすれば解決できるのかを一緒に思案し、運用に反映しています。

物件数やエリアについて教えてください。
現在、管理している物件は約700件です。全国エリアに対応していますが、東京、大阪、京都が中心です。あと沖縄には別荘型の簡易宿泊所があります。アジア圏の言語をカバーしているので、利用者の70%から75%ぐらいは中国、台湾、韓国、東南アジアの方です。
大量の物件をどのように管理しているのですか?
弊社では独自に開発した民泊管理ツールを使って運用しています。物件管理や価格調整、ゲスト対応のメッセージ機能などがあります。メッセージ機能は言語の判別ができるので、例えば中国人の方から中国語でメッセージが届いたら中国語でメッセージを自動返信します。海外の管理ツール導入を検討したこともありましたが、現状では自社で開発したツールが一番使いやすいと感じています。
今後の展望について
新法施行後の戦略は?
いまの民泊市場には住宅宿泊事業法に適合しない物件が多くあります。180日規制もかかるため、事業者目線でいうと新法は決して魅力的なものではありません。弊社では1年以上前から住宅宿泊事業法の枠組みに乗って事業を展開するのではなく、簡易宿泊所やホテル、旅館の管理に特化して運営しています。
そのため、現在は既存のホテル事業者が参入してこない小規模な土地や建物を有効活用していくことを考えています。ニッチな市場でコストを抑えながら収益を高めていけるような50室未満の小規模なアパートメント型ホテルや、別荘型の簡易宿所の展開を新たに進めているところです。住宅宿泊事業法に関してはフタを開けてみないとわからないというところもありますが、弊社としては簡易宿泊所、ホテル、旅館の運用、そして管理運用支援という形で舵を切っています。
また、2020年以降は海外進出も視野に入れています。運用オペレーションと運用コストを下げ、私たちが日本で培っているノウハウや開発したシステムをもとに、海外で支援ができると考えています。今後は大手も参入し健全なマーケットができるので、そのなかでいかに私たちの特長を活かして展開していくかということに面白さも感じています。
民泊運営で感じている課題点はありますか?
民泊は遠隔で管理している都合上、トラブル発生時に即座に駆けつけることが難しいといった課題があります。私たちはゲストの皆さんに「この施設に泊まってよかったな」と思ってもらいたいですし、訪日観光客の方であれば「日本に来てよかったな」と、最高の思い出をつくる窓口のような存在でもあるので、少しでも嫌な気持ちで帰ってもらいたくはありません。
例えば、会議室や駐車場などのスペースを時間貸しするのであれば「空いてる時間にとりあえず使って」という、シェアリングエコノミーのビジネスモデルなので、そこまでおもてなしする必要は特にないかもしれません。しかし、宿泊においてはゲストをおもてなしするホスピタリティがとても大切です。「人とつながる」という部分に立ち返ったときに、やはり人の温かさは欠かせません。
そういったことから、無人オペレーションノウハウを活かしながらローコストで有人管理し、何かしらトラブルがあった際にすぐに解決できる、そして交流ができるというサービスを提供していきたいと思い、簡易宿泊所やアパートメント型のホテルに注力してきました。町家などポツポツあるところに常にいるというのは難しいかもしれませんが、そうしたサテライト民泊においてもしっかりとゲストに対面して提供するサービスを作っていきたいと思っています。
Livhub読者へのメッセージ
弊社は、事業者の方への利益還元はもちろん、宿泊施設に訪れるゲストがいかに感動できるサービスを提供できるかを重視しています。小規模だからこそできる、大型ホテルにはない「おもてなし」を大切にしており、そのために日々満足することなく改善を重ね、品質を高めています。運用オペレーターとして、弊社が管理する施設に宿泊する皆さんが「ここに泊まってよかった」と思ってもらえるサービスを提供できるよう、こだわりをもって取り組んでいます。

インタビュー後記
柏木氏のお話しを伺うなかで一貫して感じたことは、人と人のつながりによる温かさがサービスの根底にあるということです。クオリティの高いおもてなしでゲストを迎えることができるよう、社内のみならず社外スタッフとも同じ目線で意見交換し、連携を取っている同社の姿勢からは、妥協を許さず高いクオリティにこだわる並々ならぬ強い意思を感じました。宿泊ゲストや宿泊施設周辺の地域の方と交流して生まれる笑顔にやりがいを得たという柏木氏の言葉で、土地に根づいた民泊ならではの魅力をあらためて実感しました。6月に施行される民泊新法を機に民泊の在り方や関連事業の方向性が変化していくなか、同社はホスピタリティへの高い意識のもとでどのような事業展開を行っていくのか。今後も目が離せません。
株式会社ファミリアリンクの概要
サイト名 | faminect(ファミネクト) | |
対応エリア(都道府県) | 全国 | |
会社名 | 株式会社ファミリアリンク | |
本社所在地 | 〒162-0066 東京都新宿区市谷台町7-1 HAL21ビル2階 |
|
サイトURL | http://faminect.jp/ | |
運用代行料金 | 初期費用 | なし |
料金体系 | 成功報酬制 | |
運用代行費用 ※完全運用代行時 |
売上(宿泊費+清掃費)×20%+清掃費用 | |
運用前サポート | 物件選定、簡易宿泊所物件紹介、旅館業法営業許可申請サポート、インテリア内装サポート【△オプション対応(別途料金)】、アカウント作成、プロカメラマンによる部屋写真撮影代行、ページ作成代行(日本語、英語、中国語、韓国語) | |
Airbnb運用 | アカウント管理、リスティング上位表示対策、宿泊料金調整、予約・問い合わせ管理、24時間メッセージ対応、電話対応 | |
ツール作成 | ハウスルールガイド、注意喚起POP、アクセスガイド、Thanks Letter(日本語、英語、中国語、韓国語) | |
ゲスト対応 | 部屋説明・チェックインサポート、トラブル時・現場出勤【△オプション対応(別途料金)】、レビュー作成・管理、コンシェルジュサービス(タクシー・レストラン手配等) | |
宿泊後サポート | 清掃代行 | |
言語対応 | 日本語、英語、北京語・広東語、台湾語、韓国語、マレーシア語、ポーランド語、フランス語 | |
集客対応サイト | Airbnb、Home Away、AsiaYo!、途家、自在客、Booking.com、Expedia、楽天トラベル、じゃらん等 |
※上記は2018年2月調査時点での情報となります。最新情報についてはHPをご確認ください。
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