空き家対策に使える補助金・助成金は?自治体の主な取り組みや調べ方を解説

地方自治体では、空き家問題が社会問題化している背景もあり、様々な空き家対策に利用できる補助金・助成金制度を設けています。

しかし、各地方自治体によって空き家対策への取り組み方は異なっており、それぞれの枠組みの中でどのような補助・助成がおこなわれているのか、が非常に分かりにくいと言えます。

本記事では、各自治体の取り組みを整理し、空き家対策に利用できる補助金・助成金についても分かりやすく分類して説明します。

※この記事は2020年8月時点での情報をもとに作成されています。空き家対策の取り組みは各自治体の対策状況によって内容が異なる可能性があるため、実際に補助金の利活用を検討する際は該当する各自治体へ直接お問い合わせ下さい。

1.地方自治体の主な空き家対策は

全国の各地方自治体によって、様々な空き家対策がおこなわれています。補助金・助成金制度は、各地方自治体の施策の一環として位置づけられていることがほとんどです。

まずは、どのような空き家対策が推進されているのか、を知ったうえで、所有する空き家に対して受けられる行政サービスを受けてみるとよいでしょう。

各地方自治体の施策は、空き家の情報収集といった簡易なものから、空き家の活用・流通を促進するためのサポート、そして、空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家対策法)に基づく行政代執行等の措置に分けられると言えます。

空き家の活用・流通を促進のためのサポート形態は、相談窓口の設置や専門家の紹介などが多いですが、補助金・助成金を出すというケースもあります。

  • 空き家の情報の収集
  • 空き家の流通・利活用の促進
  • 特定空き家に対する措置
  • 費用補助、税制優遇

それぞれについて、具体的な事例を挙げて解説していきます。

1-1.空き家の情報収集

空き家対策の計画策定の準備段階として、空き家の情報収集を行っている地方自治体は、全国的に多いと言えます。

たとえば、岡山県岡山市の住宅を含む全建物の空き家の実態調査では、2015年から2016年にかけて外観目視によって住宅の不良度を5段階にランク付け、所有者特定を行い、データベース化しました。これをもとに、2016年3月に空き家対策の計画策定をおこなっています。(岡山市「岡山市空家等対策計画」を参照)

また、実態調査では、所有者の意向調査をも並行して行っている自治体もあります。三重県津市では、2015年から2016年にかけて空き家の特定と老朽度判定のほか、空き家所有者に対して、将来の利活用などの意向調査をおこなっています。これをもとに、2017年3月に空き家対策の計画策定をおこなっています。(津市「津市空家等対策計画」を参照)

1-2.空き家の流通・利活用の促進

空き家の流通促進については、地元の不動産事業者等と連携・委託し、空き家の賃貸・売買のマッチングをおこなう空き家バンクの運営に取り組んでいる自治体は多いと言えます。

特徴的な空き家バンクの取り組みをおこなっている事例として、愛知県瀬戸市があります。同市では、伝統工芸等の産業振興施策の一環として、空き家を有効利用することを前提に、空き家見学ツアーを開催しています。

観光や伝統工芸などの特徴的な資源がある自治体では、このような産業と結びつけた空き家対策を行っているケースもあります。

空き家の利活用促進事例として、京都府京都市では、地域連携型空き家流通促進事業をおこなっています。同事業では、自治体等の地域団体が主体となって行う空き家の発生予防や活用等の取り組みを支援しています。

このほか、利活用に関する相談窓口を設置し、専門家の紹介派遣などを行っている自治体は数多くあります。

1-3.特定空き家に対する措置

空き家対策法によって特定空き家に指定された空き家に対して、行政代執行を行う事例も近年になって増えています。

たとえば、2016年5月の東京都品川区の行政代執行の事例では、敷地内のゴミ等が散乱し、集積して外壁の一部が崩壊していた空き家に対し、ゴミ等の撤去と外壁等の修復を代執行しています。

周辺住民の安全にも重大な支障があるとの理由で特定空き家と認定、2006年から2016年にかけて数十回にわたる指導、助言をおこなったものの改善がなかったため、代執行に至ったものです。

このほか、各地方自治体で、倒壊の恐れがあるなどの理由で、特定空き家に対する解体の行政代執行がおこなわれています。なお、行政代執行にかかった費用は、空き家の所有者に請求されます。

【関連記事】放置した不動産が「特定空き家」に指定されたらどうなる?注意点や対策も

1-4.空き家対策の費用補助、税制優遇

空き家対策の費用補助は、各地方自治体の空き家対策の計画に沿って、主に、除却、改修、取得の各段階でおこなわれると言えます。詳細は後述します。

税制優遇については、相続後3年以内の一定の空き家に対して、譲渡所得の計算の際、3,000万円の特別控除を受けられる制度があります。ただし、管理不全の空き家のまま譲渡されることを防止するため、家屋の耐震リフォームまたは取り壊しが条件になっています。

税制については、優遇とは逆のペナルティの措置もあります。特定空き家に指定されて、行政の改善勧告に従わない場合、固定資産税の住宅に関する優遇措置が解除され、最大6倍まで固定資産税が上がる可能性があります。

2.空き家対策への補助金・助成金の調べ方と事例

各地方自治体の空き家対策への補助金・助成金は、「全国補助金一覧サイト」、「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト」、「空き家・空き地バンク全国自治体支援制度サイト」などで検索することができます。

主に、除却、改修、取得の各段階で補助、助成される形態に分類することができますが、検索サイトではすべての地方自治体を網羅しきれていない可能性があります。

空き家の所在する地方自治体のウェブサイトで、最新の情報を確認した方がよいでしょう。市区町村単位だけでなく、都道府県単位のものもあるので注意が必要です。

ただし、ウェブサイトにすべての情報を掲載していない地方自治体も存在します。そのような場合は、直接、住宅担当の部署に問い合わせるとよいでしょう。

2-1.空き家の除却に対する補助金・助成金の事例

除却に対する助成金・補助金としては、解体工事費用の一部を補助するものが多いと言えます。補助の条件は各地方自治体の都市計画による側面もあり、様々な種類があります。

たとえば、神奈川県横須賀市の「空き家解体費用助成事業」では、老朽度判定点数、市内解体業者利用、解体工事着手前の申請を条件に、解体費用を2分の1(35万円限度)まで助成するとしています。

また、大阪府大阪市では「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」を設け、特定の優先地区内の前面道路幅員一定未満の木造住宅につき、解体費用を2分の1(75万円限度)まで補助するとしています。

2-2.空き家の改修に対する補助金・助成金の事例

空き家の改修を補助、助成するものは、各地方自治体によって多種多様な形態がみられます。最も一般的な形式は、空き家のリフォーム費用に一定額を補助するものです。

リフォームについては空き家バンクの利用を条件とするものもあります。このほか、空き家を使って事業を行う際に費用補助する形式もあります。そのほか、空き家を問わず、旧耐震住宅の耐震改修に一定の補助金を交付するパターンも多くみられます。

空き家リフォーム費用の補助金

空き家のリフォーム費用に一定額を補助する一般的な形式のものに、たとえば、神奈川県海老名市の「空き家活用促進リフォーム助成金」があります。6カ月以上の空き家住宅であり、耐震基準を満たすことなどを条件に、リフォーム費用の2分の1(50万円限度)までを助成するとしています。

また、新潟県村上市の「空き家の改修費補助制度」では、空き家バンクに登録されている物件を購入し、市外から移住することを条件に、登録物件のリフォーム費用の最大3分の2(100万円限度)を補助するとしています。

このように、空き家バンク登録を条件にするもの、移住を条件にするもの、など各地方自治体の施策によって様々な条件があるので、ウェブサイトで詳細を確認するようにしましょう。

空き家を利用する事業の費用を補助する補助金

空き家を利用する事業の費用を補助する形態もあります。

たとえば、神奈川県藤沢市の「令和2年度藤沢市空き家利活用事業補助金」では、1年以上使用されていない一戸建ての空き家を利用した、社会的及び地域的課題の解決の一助になるような地域貢献事業で、おおむね10年間継続できる見込みがあるものに対して、対象経費の3分の2(100万円限度)を補助するとしています。

このように、事業の費用補助は、地方自治体のその年度の予算の範囲で行われることも多く、事業についての審査がある場合もあるので、注意しましょう。

旧耐震住宅のリフォーム費用を補助する補助

空き家にかかわらず、旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建築された住宅等につき耐震リフォームをおこなった場合、その費用の一部を補助する制度もあります。

たとえば、神奈川県鎌倉市の「耐震改修工事等費用の補助制度」では、市又は市が指定した事業者が行った耐震診断の結果、総合評点が1.0未満であった建物につき、耐震改修工事等を行った場合、その費用の2分の1(100万円限度)を補助するとしています。

2-3.空き家の取得に対する補助金・助成金の事例

空き家の取得に対するものは、転入や特定地域への住み替えを条件にするものが多いと言えます。

たとえば、栃木県栃木市の「令和2年度まちなか定住促進住宅新築等補助金」では、市外からUIJターンにより移住した者を対象に、5年以上市内市街化区域に所在する住宅を購入した場合、20万円を定額補助(新築の場合、30万円)するという制度です。世帯人数が増えると加算金額もあります。

まとめ

空き家対策に利用できる補助金・助成金は、除却、改修、取得の各段階で、様々なものがあります。

本記事を参考に、各地方自治体のウェブサイトや施策をチェックしたうえで、補助金・助成金を受けるだけでなく、どのような空き家対策を講じるのか、検討する際の材料にするとよいでしょう。

※この記事は金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」より転載された記事です。
【元記事】https://hedge.guide/feature/unoccupied-house-subsidy-municipality.html

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Livhub 編集部

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