複数のAirbnbリスティングを管理している民泊ホストや民泊運用代行会社にとって、とても手間がかかるのが、ゲストとのチャットのやりとりだ。
予約の問い合わせからチェックイン・チェックアウト時のやりとり、レビュー獲得のためのフォローアップメールにいたるまで、Airbnbではリスティングの評価やレビューの質を上げるためにはゲストに対する迅速かつ親切なメール対応が欠かせない。
しかし、多くのリスティングを同時に運用・管理している場合、その都度アカウントにログインし直したり、何度も同じようなメールを送ったりといった作業が大量に発生し、結果として対応が遅れがちとなり、ゲストの満足度やリスティングの質を下げてしまう。また、ゲストのチェックイン・チェックアウトのスケジュール管理や、英語や中国語などでのゲスト対応に苦戦している方もいるだろう。
こうした問題を解決するために、ゲストのメール対応だけは代行会社を利用したり、自分なりにメールのテンプレートを用意したりすることでゲスト対応の効率化に励んでいる方も多いかもしれないが、そんな方にぜひおすすめしたいツールが登場した。それが、メトロエンジン社が提供を開始した「メトロチャット」だ。現在はβ版で、無料で利用できる。
(※メトロチャットの管理画面)
メトロチャットは、同社が提供する民泊運用の一元管理ツール、「民泊ダッシュボード」の機能の一つだ。複数のリスティングのゲスト対応を一括管理できるため、大量のリスティングを運用している方は、アカウントを連携させるだけでも作業効率は大きく向上する。
民泊運用におけるゲスト対応を最適化するために様々な機能が搭載されているが、ここではLivhub編集部が利用してみて実際にこれは便利だと感じたポイントをご紹介したい。
- 変数を使った定型文の設定
- 物件ごとの任意変数の設定
- 定型文を利用した自動返信
- 自動翻訳機能
1. 変数を使った定型文の設定
メトロチャットでは、定型文を利用することでゲストとのやりとりを効率化できる点が特徴だ。予約時やチェックイン・アウト時など、必ずゲストとのやりとりが発生するタイミングでよく使用する定型文を複数パターン登録し、ゲスト対応を高速化しつつ、手間を削減できる。
作成したテンプレートはカテゴリで管理可能なほか、通常のEメール用、Airbnbメッセージ用とそれぞれのテンプレートを用意できる点もありがたい。
また、民泊ホストや民泊運用代行会社のなかには既にテンプレを作って運用している方も多いかもしれないが、そんな方にとってもさらに嬉しい機能がある。それが、メトロチャットでは「変数」を用いた定型文を作成できるという点だ。
(※画面右側が使用できる「変数」の一覧)
たとえば “Hello {{guest_first_name}}” という変数入りの定型文を作成すれば、予約をしてきたゲストの氏名が自動的に変数部分に挿入されるという仕組みだ。オーナーやゲストの氏名や連絡先といった情報はもちろん、リスティングの住所やチェックイン・アウト日、ゲスト数や支払い金額などの予約情報にいたるまで、メールの文面内で使用するあらゆる部分を変数化できるため、自己流テンプレを使って宛先だけを入れ替えるといった手間や、テンプレの横流しでゲストの氏名を間違えたまま送ってしまうといったミスも減らすことができるのだ。
最初にテンプレをしっかりと用意するのは時間がかかるが、一度作り上げてしまえば、その後のゲスト対応にかかる手間は大幅に軽減されるので、この変数を使った定型文設定はぜひとも活用したい機能だ。
2. 変数を使った定型文の設定
変数を使った定型文でテンプレートを作成できるだけでもとても便利だが、メトロチャットのすごい点は、さらに自ら物件毎に個別の任意変数を自由に設定することもできるという点だ。
(※物件毎に個別の任意変数を設定可能)
例えば、各物件に設置しているゲスト向けのモバイルwifiのパスワードなど、物件ごとに固有の情報を変数にすることで、その変数をチャットのテンプレートや定型文、自動レビューなどに活用することができる。
物件ごとに異なる個別の情報を変数に格納することができるため、より一層チャット管理を簡単に行うことができる。自由度の高い任意変数を使いこなせば、ゲスト対応の手間を大きく削減できるだろう。
3. 定型文を利用した自動返信
メトロチャットでは変数を使用した定型文を作成できるだけではなく、それらの定型文を利用してゲストに対して自動返信することもできる。
自動返信は「予約日」「5日前」「チェックイン日」「チェックアウト日」「3日後」のタイミングで送信が可能なので、このタイミングで定型文を配信することで、ゲスト対応のほとんどを自動化してしまうことすら可能だ。
また、この自動返信設定はEメール、Airbnb上でのメッセージそれぞれで設定できるほか、管理しているリスティングごとに設定可能なので、このリスティングについてはEメールで、送るのはこの文章、このリスティングはこのタイミングだけは定型文を使わない、といった個別の細かい対応が可能になる。
この変数つき定型文と自動返信設定を使いこなすことができれば、ゲストに対するレスポンス速度は格段に向上して満足度が上がるだけでなく、ゲスト対応の手間が大幅に軽減されることは間違いない。
4. 自動翻訳機能
さらに、メトロチャットには英語が苦手なホストにとって大変ありがたい機能、「自動翻訳機能」もついている。これは、ゲストにメールを返信する際、「英語に翻訳して返信」というスイッチをONにするだけで、日本語のメールを英語に翻訳してくれるのだ。
(※メール返信画面のスイッチをONにするだけで日英翻訳)
他にもこんな便利な機能が!
上記に加えて、Livhub編集部が使用してみてここは便利だと感じたのは、ゲストから大量に送られてくるメールのうち、未読メールのみをソートできる機能だ。これにより、定型文だけでは対応できないメールも漏れなく確実に対応できる。
また、自動返信設定画面では、リスティングごとにどのタイミングで自動返信をするかを細かく設定できるのだが、それだけではなく複数のリスティングのタイトルを一括で編集することができる。リスティングのタイトル変更も、複数の物件を運用している代行会社にとっては手間がかかる作業だが、これが一つの画面で対応できる点はとてもありがたい。
こうしたダッシュボード管理ツールは読み込み動作のスピードにストレスを感じることも多いが、メトロチャットの画面は読み込み速度も速いので、ストレスなく作業できる点もポイントだろう。
まとめ
いかがだろうか?上記で説明してきたように、メトロチャットでは定型文・変数・自動返信設定・翻訳という機能を使いこなすことで複数物件の民泊運用をシステム化し、ゲストの満足度向上とリスティング評価の向上、運用工数の削減という3つを同時に実現することができる。
ゲストとのやりとりを定型文により自動化することは一見「おもてなし」に反するようにも思えるが、実際にはその逆だ。メトロチャットにより、ゲストのメールに対する返信速度を圧倒的に早め、適切なタイミングで適切な情報を漏れなく送ることができるようになれば、ゲストの満足度は上がることは間違いない。
現在は無料で利用できるので、まだ運用物件数は少ないという方でもぜひ一度試してみてはいかがだろうか?
(Livhub 編集部)
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