相続によって田舎の不動産を取得したものの、うまく活用できずに困っている人も多いのではないでしょうか?
しかし、相続不動産をそのまま放置していてると固定資産税の負担が大きくなってしまったり、特定空家等に指定されるケースもあるため注意が必要です。
相続不動産をセカンドハウスにすることで、固定資産税を減額でき、特定空き家の指定を回避できる可能性があります。
この記事では、田舎の相続不動産をセカンドハウスにする手順と固定資産税を減税できる仕組みについて解説します。
※セカンドハウスの認定により軽減措置を受けるための手続きについては各自治体によって異なります。セカンドハウスへ転用する際は、該当する自治体や税理士への相談を行い、ご自身でもよくご確認のうえご検討ください。
1.不動産を放置すると、特定空家に指定される可能性がある
特定空家とは、放置で倒壊といった保安上危険な状態、衛生上有害な状態になっている、適切な管理を行わないことで景観を損ねている、その他周辺の生活環境の保全から放置が不適切な状態と考えられる空家のことです。
特定空家等に指定されると固定資産税の特例の適用から外されてしまい、税負担が大きくなってしまう可能性があります。
1-1.セカンドハウスと別荘の違い
特定空家等に指定されてしまった場合、固定資産税の控除を受けられなくなります。しかし、相続不動産がセカンドハウスに認定されれば特定空家等の指定から逃れることが可能です。
セカンドハウスとは、第2の家のことで、自宅とは別に生活を営む拠点となります。一方、別荘とは、保養目的として一時的に利用する施設なので、生活を営む拠点にはなりません。
セカンドハウスとして認められる条件は自治体ごとに異なりますが、月1日以上は物件で生活することを条件とする自治体が多い傾向があります。
2.セカンドハウスのメリット
セカンドハウスに認定された場合、住宅用地の軽減措置が適用されるため、固定資産税と都市計画税の両方が減額されます。具体的にどのくらいの減額になるのか詳しく見ていきましょう。
2-1.固定資産税の減額
固定資産税の標準税率は、「課税標準額(固定資産税評価額)×1.4%」です。1,500万円の固定資産税評価額の相続不動産を所有していた場合、標準税率では21万円の固定資産税が不動産を所有しているだけで毎年かかります。
相続不動産がセカンドハウスに認定されれば、200㎡以下の部分は1/6、200㎡超の部分は1/3に減額されます。土地の面積が200㎡以下だった場合、3.5万円と大幅に固定資産税の負担を抑えることが可能です。
上記の例で10年所有した場合、210万円と35万円と数百万円以上の差になることがわかります。セカンドハウスの認定を受け、固定資産税を控除するメリットが大きいと言えるでしょう。
2-2.都市計画税の減額
都市計画税の税率上限は、「課税標準額(固定資産税評価額)×0.3%」です。1,500万円の固定資産税評価額の相続不動産を所有していた場合、税率上限では4.5万円の固定資産税が不動産を所有しているだけで毎年かかります。
相続不動産がセカンドハウスに認定されれば、200㎡以下の部分は1/3、200㎡超の部分は2/3に減額されます。土地の面積が200㎡以下だった場合、1.5万円に負担を抑えることが可能です。
減額幅は固定資産税よりも小さいですが、負担を3分の1にできるのは大きなメリットと言えます。
なお、セカンドハウスにも住民税はかかります。均等割になるため、市町村民税(特別区民税)3,500円と道府県民税(都民税)1,500円を合算した5,000円が別にかかることを覚えておきましょう。
3.セカンドハウスの認定に必要な手続き・手順
セカンドハウスの認定は続不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に申請します。ただし、物件の取得から60日以内など、申請までの期限が設けられているケースもあるので注意が必要です
下記、長野県諏訪郡富士見町の例を見て行きましょう。
富士見町に住宅を所有されている方で、町外に住民票がある場合は、家屋が「セカンドハウス」に該当すると認定された場合に、固定資産税の特例および減額措置の対象となります。
「セカンドハウス」に認定されるためには、「家屋の利用状況に関する申告書」に、家屋を利用された年月日と内容・目的をご記入のうえ、毎月の利用状況がわかる証明書(高速料金や町内小売店、医療機関の領収書など。光熱水費の領収書は不可)を添付し、毎年1月末日までにご提出をお願いいたします。
※長野県諏訪郡富士見町「土地・家屋の特例および減額措置について」より引用
また富士見町の場合、セカンドハウスとして認定を受ける条件として「特定の人が年間を通じ、継続して毎月1泊2日以上居住する家屋」と規定しています。
このように、セカンドハウスの認定要件や必要な手続きは各自治体で異なります。手続きの方法が分からずに困っているという人は、都道府県の窓口や税理士に相談しながらセカンドハウスの認定を進めましょう。
4.セカンドハウスの認定を受けるのが難しい場合の対策
不動産が遠方にあるなどの理由でセカンドハウスの認定を受けるのが難しい場合は、不動産の「土地活用」や「売却」を検討してみましょう。
土地活用の場合、賃貸経営を行うことで「住宅用地の特例」を受け、固定資産税の課税額を減額できる可能性があります。売却は不動産を手放すことになりますが、不動産管理の手間を省き、固定資産税や都市計画税を課税されることが無くなるメリットがあります。
ただし、土地活用は資金が回収できない可能性のある事業投資となります。該当エリアに賃貸ニーズがあるか調査したり、どのような活用方法が適しているか比較したり、慎重に検討することが大切です。
【関連記事】田舎でも検討できる土地活用は?5つの活用事例や注意点を解説
また、不動産売却を検討する場合も1つの不動産会社へ依頼するのではなく、複数社の不動産査定を受けて、査定価格や査定の根拠、担当者の対応内容を比較することが大切です。複数社の査定を受けることで、相場感を知ることにも繋がり、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
【関連記事】はじめての不動産売却、手順や流れは?不動産会社の選び方も
まとめ
不動産を放置していて特定空家に認定された場合や別荘扱いになった場合は、固定資産税の軽減措置の適用を受けられなくなるため、税負担が大きくなるという点に注意が必要です。
しかし、相続不動産がセカンドハウスの認定を受けることができた場合、固定資産税の軽減措置が適用されます。相続不動産を放置してしまっている場合は、セカンドハウスの認定が受けられないか検討してみましょう。
なお、セカンドハウスの認定基準や申請手順は各自治体によって異なります。自治体の窓口や税理士に相談しながらセカンドハウスの認定をスムーズに進めましょう。
※この記事は金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」より転載された記事です。
【元記事】https://hedge.guide/feature/inheritance-real-estate-second-house-procedure.html
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